【授業の目的】
経済法は、市場メカニズムの上に立った経済政策立法の体系で、その中心は市場における自由競争制限と公正競争阻害に対する国家的規制の法であり、競争政策の法である。経済法制の中核である独占禁止法の解釈・適用を判例及び公正取引委員会の審決・排除措置命令の検討を通じて学ぶことにより、法的なものの見方・考え方を身につけるとともに、関連する経済分析の手法を学び、法的分析と総合する手法を修得するとともに、企業活動に対する法的規制のあり方を競争政策の観点から考察することを目的とする。
【授業の到達目標】
1.経済活動における公正かつ自由な競争の意義を述べることができる。 2.設例の事実関係に法的・経済的な分析を行って、基本的な問題に独占禁止法を解釈・適用できるようになる。
【授業概要(キーワード)】
独占禁止法 競争政策 競争法 経済法 不公正な取引方法 私的独占
【科目の位置付け】
この授業は、独占禁止法の問題について、競争政策の観点から論理的に分析し、解決策を提案する力を身につけて、多様な場面での応用可能な法的知識とその運用能力を養うために編成された専門展開科目である。
【授業計画】
・授業の方法
テキスト中心の講義である。WEBCLASS に次回までに考えておくべき課題と資料を掲載した上で、授業中に配付する。講義では、課題に関して、学生に発言を求めることがある。なお、講義で説明したことを踏まえて次の時間の講義が行われて、説明が積み上げられていくので、継続的な履修が必要である。
・日程
第1回 不公正な取引方法の規制:総論及び取引拒絶 第2回 取引拒絶 第3回 差別対価・差別的取扱い 第4回 不当廉売 第5回 排他条件付取引 第6回 再販売価格の拘束 第7回 拘束条件付取引:委託販売、地域制限 第8回 拘束条件付取引:取引先の制限、販売方法の制限 第9回 不当な顧客誘引 第10回 抱き合わせ販売と取引妨害 第11回 優越的地位の濫用 第12回 国際取引と独禁法 第13回 私的独占の規制:概要と事案 第14回 私的独占の規制:新たな展開 第15回 試験と解説
【学習の方法】
・受講のあり方
授業は講義を中心とするが、事前に WEBLASS に掲載される課題・資料と関係する独占禁止法の条文、及びテキストを読んで予習しておくこと。特に条文を読んで自らどう解釈すべきかを考えてみること。疑問点を明確にして問題意識をもって、受講すること。板書や説明のポイントをノートに記しておくこと。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
事前に WEBLASS に掲載される資料と条文とテキストを読んで予習しておくこと。特に条文を読んで自らどう解釈すべきかを考えてみること。受講後は、改めて条文とテキストを読んでノートにまとめ直しておくこと。基本概念を説明できるように記憶しておくこと。疑問点を整理して、文献を調査して読んだり、教員に質問したりすることにより、疑問点を解消するように努めること。公正取引委員会のHPを参照すること。
【成績の評価】
・基準
独占禁止法に関する事例問題に対して、事実関係を分析して法を適用し、違法性の有無を判断して、競争政策の観点で論理的に説明できているかにより評価する。
・方法
レポート(30点) 期末試験(70点) レポートは、課題(事例問題)を特定して課す。指定期日までに関連する文献を調査の上で、提出すること。試験の際には、電子機器を除いて、何でも持ち込んで利用することを認める。筆記試験である。
【テキスト・参考書】
<テキスト> 川濱ほか「ベーシック経済法(第5版)」有斐閣 2310円(2020) <参考書> 金井ほか「独占禁止法(第6版)」弘文堂 4600円(2018) 公正取引委員会のホームページ http://www.jftc.go.jp/ に、参考になる資料が掲載されている。
【その他】
・学生へのメッセージ
必須ではありませんが、経済法1を履修してから受講すると十分に理解できます。法的分析と経済的分析を総合するような法分野ですが、基幹科目の法律学と経済学の科目をきちんと履修しておけば理解できるように解説します。主として法律学を学ぶ学生には経済分析の考え方を、主として経済学を学ぶ学生には法的分析の考え方を、合わせて習得できる科目です。
・オフィス・アワー
授業に関する学生からの質問は,各回の授業終了後または開始前に受け付けます。
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