【授業の目的】
現在のグローバル化の時代において、私たちは、地球温暖化などの環境問題、貧困、難民・移民、女性や子どもの人権、人身売買・テロリズムなどの国際犯罪、核兵器をめぐる問題など、さまざまな問題に直面している(グローバル・イシュー)。これらの問題は、一つの国家だけで対応することが困難であり、国家間協力や、国際機構、地域機構、非政府組織(NGO)との協力関係を構築することが求められている(グローバル・ガバナンス)。 この授業では、国家だけでなく、人間にも焦点をあて、①現代の国際社会にはどのような問題があるのか、②このような問題を解決するために、国際社会がどのような取り組みをしているのかについて学んでいく。これまで世界の舞台で主役を演じてきた国家は、今日のグローバル化した社会において、まだその役割を果たすことはできているのか、人権を保障し、環境問題を解決し、第三世界の貧困を乗り越える国際的な制度や取り組みはどのようなものなのか、グローバル・ガバナンス論IIでは、とくに国際社会における問題として、貧困や軍縮、人権や環境問題などの事例を取り上げる。
【授業の到達目標】
(1)国際関係論の基礎的な概念と理論に関する知識を深めながら、現代の国際社会における諸問題の本質を分析し、理解することを目標としている。(2)受講者自身が国際社会の一アクターであるという認識を持ち、グローバル・イシューをより身近な問題として考えることにできる力を身につける。
【授業概要(キーワード)】
グローバル・イシュー、グローバル化、グローバル・ガバナンス、人間の安全保障、人権、国家、国際機構、地域機構、非政府組織(NGO)
【科目の位置付け】
この授業はカリキュラム・マップにおける「横断基礎科目」であり、社会科学の基礎的な知識を身に付け、現代社会・国際社会の課題を理解する能力を養う。
【授業計画】
・授業の方法
国際社会の時事問題に関するメディアの記事などを取り上げるだけでなく、スライドやDVDの視聴を積極的に取り入れる。また、受講生によるディスカッションやプレゼンテーションの機会を設ける。
・日程
第1回 総論と歴史:主権国家と国際社会 第2回 理論:国際社会をみる理論 第3回 事例1:グローバル化と貧困について考える 第4回 事例2:軍縮―どのように達成するか 第5回 事例4:戦争のルールと人道支援 第6回 事例5:テロ―新しい形態の暴力とどう向き合うのか 第7回 事例6:難民―難民をどのように保護したらよいのか 第8回 事例7:女性―戦時・平時における女性への暴力 第9回 事例8:性的マイノリティを考える―多様な性と社会 第10回 事例9:子ども―使い捨てにされる子どもたち(児童労働・子ども兵士) 第11回 事例10:拷問―拷問を止められるのはだれか 第12回 事例11:人身売買―なぜ人が売買されるのか 第13回 事例12:人種差別―排除される人々 第14回 事例13:地球環境―地球上から陸がなくなる? 第15回 結論と総括―21世紀におけるグローバル社会とグローバル・ガバナンスの 課題
【学習の方法】
・受講のあり方
講義はスライドや板書で行うため、必ずノートをとること。また、質問や議論の場では積極的に発言すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
参考図書にも目を通し、講義の内容を復習して自分で深めること。また、日頃から新聞やインターネットなど様々なメディアに幅広く触れ、講義で学んだ事項を踏まえながら、時事問題について考える習慣をつけること。
【成績の評価】
・基準
知識の習得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いの4つの基準により評価する。より具体的な評価の基準は以下のとおりである。 ①国際関係論の基礎的な概念や理論が理解できているか。 ②現代の国際社会における諸問題の本質を分析し、理解できているか。 ③諸問題に対する自分の意見を述べ、解決策を提案できるか。
・方法
授業参加20%、中間レポート30%、期末レポート50%で評価する。
【テキスト・参考書】
テキストは特に指定しない。以下は参考書として挙げておく。 ●グローバルガバナンス委員会著、京都フォーラム監訳『地球リーダーシップ―新しい世界秩序を目指して』NHK出版、1995年。 ●へドリー・ブル著、臼杵英一訳『国際社会論―アナーキカル・ソサイエティ』岩波書店、2000年。 ●ジョセフ・S・ナイ・ジュニア著、デイヴィッド・A・ウェルチ著、田中明彦・村田晃嗣訳『国際紛争―理論と歴史(原書第10版)』有斐閣、2017年。 ●長有紀枝『入門 人間の安全保障―恐怖と欠乏からの自由を求めて』中公新書、2012年。 ●石井香世子編『国際社会学入門』ナカニシヤ出版、2017年。 ●庄司真理子・宮脇昇編『新グローバル公共政策』晃洋書房、2011年。 ●藤原帰一・大芝亮・山田哲也編『平和構築・入門』有斐閣、2011年。 ●ホーン川嶋瑤子『アメリカの社会変革?人種・民族・ジェンダー・LGBT』ちくま新書、2018年。
【その他】
・学生へのメッセージ
新聞やテレビを通じて、国際社会の様々な出来事を知るだけでなく、それが自分の日常生活とどのような関係があるのかを考えてみよう。そして、自分自身が将来の日本や国際社会の担い手であることを自覚し、授業で習得したことを踏まえて行動してほしい。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を中村研究室(2号館3階)において、月曜日の14:00-16:00の間に設けます。出張等で不在にすることがあるので、確実に面談したい場合は事前にメールで希望日時を相談して下さい。
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