【授業の目的】
この講議では経済学の歴史を学んでもらうのですが,なぜ「歴史」なのでしょうか。経済学は今日,経済現象の諸側面を抽象化し普遍的・論理的な形で扱う科学の一分野として成立していますが,一方で余りにも抽象的であるとか,非現実的であるなどの批判も聞かれます。しかし経済学は決して机上の空論ではなく,特定の時代の現実の経済の抱える諸問題と取り組む中から生まれてきたものであり,そういう意味で私達の生活に密接にかかわる学問でもあるのです。この講義は,経済学と現実の経済との結びつきおよび経済理論の発展の流れを,過去の歴史を振り返りながら確かめてもらうことを目的としています。本講義では、17世紀から19世紀前半にかけての経済学の歴史を扱います。
【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、それぞれの時代の経済学について、 (1)それがどのような歴史的背景の中から生まれて来たのかを理解できる【知識・理解】 (2)説明すべき現象の変化と共に分析手法がどのように変化していったのか,これらの問題を自分で考えることができる【態度・習慣】
【授業概要(キーワード)】
重商主義 重農主義 イギリス古典派経済学
【科目の位置付け】
この授業は、主要な経済学説を歴史・理論・政策の観点から把握することを通じて、経済学の発展とその歴史的意義を理解する能力を身につけるものである。(人文社会科学部地域公共政策コースのカリキュラムポリシー)
【授業計画】
・授業の方法
各時代を代表する経済理論を取り上げ、その理論が生まれた歴史的背景、理論の内容、政策提言について解説する。
・日程
1 イントロダクション 2 初期重商主義 3 後期重商主義(トーマス・マン) 4 重商主義から自由貿易へ 5 イギリス自由貿易論 6 フランス重農主義 7 アダム・スミス『道徳感情論』 8 アダム・スミス『国富論』の経済成長論 9 『国富論』の重商主義批判 10 ロバート・マルサス『人口論』 11 マルサスの救貧法批判 12 デビッド・リカード『経済学および課税の原理』の分配論 13 『経済学および課税の原理』の成長論 14 イギリス古典派経済学批判―フリードリッヒ・リスト 15 まとめと試験
【学習の方法】
・受講のあり方
プリントは学生が受講しながら自分で空欄を補足する箇所を設けてある場合があるので、その際には適切な補足を行う。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
(1)(予習)図書館等で参考文献の該当箇所に事前に目を通しておく。 (2)(復習)ノート、プリントを整理し、次回授業開始時の復習に備える。
【成績の評価】
・基準
授業後の復習チェックシートと記述式試験により、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)のそれぞれについて判定し、その合計点を用いて評価する。復習シートによりそれまでの授業における歴史的背景や理論分析の理解度を確認し、記述式試験によりそれらの知識を総合的に理解し説明できるかどうかを合格の基準とします。
・方法
平常点(復習チェックシート提出) 30点、試験 70点、計100点
【テキスト・参考書】
適宜プリントを配付する。 (参考書) 早坂忠編著『経済学史』ミネルヴァ書房 田中敏弘・山下博編『テキストブック近代経済学史』有斐閣ブックス 美濃口武雄『経済学説史』創成社 八木紀一郎『経済思想』日経文庫
【その他】
・学生へのメッセージ
経済学の基礎知識がない学生でも受講できるよう、数式等の使用は行わず理論の本質的部分を中心に説明します。また必要な歴史的背景についても講義中に説明します。
・オフィス・アワー
毎週月曜日 9:30~11:30 下平研究室 これ以外の時間についても、事前に連絡をいただければ対応します。
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