【授業の目的】
この授業は、現在のグローバル経済史において、既に広く認識されている学説について、ゼミ員自身が文献を読んでそれをまとめて議論し、自ら問題を発見して解決する力を養うことを目的としています。今年度は、K. ポメランツ著、川北稔監訳『大分岐 : 中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成』の輪読を中心に授業を進めます。この著書は、1750年頃までヨーロッパとアジアの経済水準は同程度で、それ以降の経済発展の差は制度よりも資源量の問題であると議論したものです。この議論は、E.L.ジョーンズ『ヨーロッパの奇跡』などに代表される、従来のヨーロッパとアジアの経済発展の相違は近世初期から顕在化しており、その原因はヨーロッパの市場経済と制度の発展と、それを阻んだアジアの社会、経済、文化的要素にあるとした議論に大きく見直しを図ったという点で画期的でした。この本の輪読を通して、グローバル経済史の基本的な問題意識を把握していきます。
【授業の到達目標】
(1)担当した文献の範囲について、分かりやすく簡潔に要約したレジュメを作成できる。 (2)要約に基づいて自分なりの問題提起をすることができる。 (3)グローバル経済史の基本的な問題意識について理解して、人に説明することができる。
【授業概要(キーワード)】
生産要素の市場化、産業革命、東西世界経済の歴史的比較検討
【科目の位置付け】
グローバル経済史において広く認識されている議論を理解し、自分なりの問題意識を持てるようにします。
【授業計画】
・授業の方法
K. ポメランツ著、川北稔監訳『大分岐 : 中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成』の輪読を中心に授業を進めます。
・日程
基本的に1週に1章のペースで進めますが、学生の理解に応じて、復習やまとめの回を適宜設けることを予定しています。
【学習の方法】
・受講のあり方
テキストの指定された範囲を授業前に熟読して授業に臨んでください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
知らないワードなどがあったら、積極的に自分で調べて理解を深めていきましょう。
【成績の評価】
・基準
レジュメがよくまとまっていること、そして、積極的に議論に参加し、理解を深めていこうという姿勢を評価します。
・方法
成績は、議論への参加度(50%)、レジュメの完成度(50%)の割合で評価し、決定します。
【テキスト・参考書】
K. ポメランツ著、川北稔監訳『大分岐 : 中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成』名古屋大学出版会、2015年。
【その他】
・学生へのメッセージ
非常に大風呂敷で捉えるのも難しい分野ですが、それだけに奥深さがあります。是非ともトライしてください!
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィスアワー」を諸田研究室(人文社会科学部2号館4階)において、月曜10:30-14:30の間に設けます。
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