【授業の目的】
憲法とは、国の組織と作用に関する基本的な規律を意味し、日本国の場合、その大要は昭和21年に公布された「日本国憲法」により定められている。同憲法の各規定に何が定められているのか、それが各国家機関によってどのように実践されているのか、それらがいかなる考え方によって基礎づけられているのか、そして、憲法解釈に争いのある事例が、どのような考え方の違いによって惹き起こされているかについて学修することを目的とする。
【授業の到達目標】
1.各国家機関の組織と権限、 基本的権利の内容とその実現方法について理解する。 2.憲法の基礎にあってこれを支える考え方について理解する。 3.個別具体的な事例において日本国憲法に関連する論点を挙げて私見を記述できる。 4.私見とは別の見解を考慮し、これに対する反論を記述できる。
【授業概要(キーワード)】
法学、憲法、国家、権力、基本的人権
【科目の位置付け】
この授業は、日本国憲法の各規定の意味、その実践のありよう、これらの基礎にある考え方、そして、憲法解釈の仕方を分かつ考え方の相違を学ぶことにより、健全な批判精神に裏打ちされた幅広い知識を習得するものである。
【授業計画】
・授業の方法
教科書は使用せず、各主題ごとに印刷物を配付し、これに基づいて授業を進行する。
・日程
[01]導入 [02]憲法とは何か [03]憲法の法源と法律事項 [04]非法律事項とその統制 [05]予算及び条約 [06]日本国憲法にもとづく裁判権 [07]法律にもとづく裁判権 [08]裁判所の裁判権の限界 [09]違憲審査制 [10]基本的人権総論 [11]基本的人権各論(1)具体的な事例の解説のための事前学習 [12]基本的人権各論(2)具体的な事例の解説 [13]平和主義 [14]内閣 [15]達成目標への到達道の評価
【学習の方法】
・受講のあり方
(1)授業中は自分で用意したノートに授業内容を筆記するようにする。 (2)不明点は、授業後に口頭、質問用紙またはウェブクラスを利用して担当教員に質問する。 (3)授業には、日本国憲法その他の法令を参照できる書物または機器を必ず持参し、適宜参照する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
(1)事後学修の基本 ノートに記述した授業内容を配付印刷物の空白部分にまとめていくこと。 ウェブクラスを参照すること。 (2)課題の実践 授業において出題する課題を丁寧に実践すること。 (3)事前学修 [01]導入:日本国憲法の全文を一読しておくとともに、日本国憲法第21条第1項と刑法第175条との関係について考察しておくこと。 [02]憲法とは何か:「国が奈良の大仏をつくった。」「聖武天皇が奈良の大仏をつくった。」「仏像職人が奈良の大仏をつくった。」上記の三つの文章はどういう関係にあるのか考察しておくこと。 [03]憲法の法源と法律事項:国会は「国の唯一の立法機関」(日本国憲法第41条)であるが、現実には、他の機関が多くの立法をなさざる得ない。このようなときはどうするべきか、考察しておくこと。 [04]非法律事項とその統制:配布印刷物第02章を再確認し、法律事項について復習しておくこと。 [05]予算及び条約:日本国憲法第4章と第5章を再読し、国会と内閣との役割分担を考察しておくこと。 [06]日本国憲法にもとづく裁判権:日本国憲法第6章を再読しておくとともに、配布印刷物第01章第1節、第02章第2節第3節、第03章第1節を再確認し「権利」や「法規」について復習しておくこと。 [07]法律にもとづく裁判権:配布印刷物04章を再確認し、日本国憲法にもとづく裁判権を復習しておくこと。 [08]裁判所の裁判権の限界:配布印刷物第03章と第04章とを再確認し、国や地方公共団体を法で統制する仕方を復習しておくこと。 [09]違憲審査制:配布印刷物第04章を再確認し、裁判所が裁判権を行使する場合を復習しておくこと。 [10]基本的人権総論:配布印刷物第02章第2節、第06章を再確認し、日本国憲法により保障された権利がどのように制限され、その制限がどのように審査されるのかを復習しておくこと。また、配布印刷物第01章を確認し、法律学における基本的なものの見方と憲法の定義を復習しておくこと。 [11]基本的人権各論(1)具体的な事例の解説のための事前学習:到達目標の達成度評価の仕方により変更されるので授業において告知する。 [12]基本的人権各論(2)具体的な事例の解説:事前に配付する「小冊子資料」を精読しておくこと。 [13]平和主義:配布印刷物第01章第1節、第03章第3節を再確認し、法律学における基本的なものの見方と国際法の基本について復習しておくこと。 [14]内閣:日本国憲法第5章を再確認しておくこと。 [15]達成目標への到達道の評価:本講義の到達目標及び初回配付印刷物(6)に記載された評価の目安を確認し、「小冊子資料」及び補章プリントを復習しておくこと。
【成績の評価】
・基準
「授業の到達目標」の1から4までを充たすことが合格の基準である。その前提として、問われたことについて論理的な文章をもって丁寧に説明できることを要する。 1.各国家機関の組織と権限、 基本的権利の内容とその実現方法について理解する。 2.憲法の基礎にあってこれを支える考え方について理解する。 3.個別具体的な事例において日本国憲法に関連する論点を挙げて私見を記述できる。 4.私見とは別の見解を考慮し、これに対する反論を記述できる。
・方法
下記の通り評価する。 1.講義において提出を求めた課題等への取組(30%) 履修者は、正当な理由のない限り、すべての課題等に取り組まなければならず、取り組まない者は単位の修得資格を失う。 ※課題は、講義において回収し、その直後に解説を行う。
採点の目安 各課題への解答を10点満点で評価して、全問題の合計点を30点満点で換算する。 ・十分に説明を試みている解答には6点を付与する。 ・「正答」している場合にはその度合いに応じて加点する。 ・十分に説明を試みていない解答はその度合いに応じて減点する。 ・提出期限後の提出は、正当な理由のない限り、5点減点する。 ・無回答及び無提出は加点しない。
2.達成目標への到達度評価(70%) 実在の裁判例あるいは仮設事例について、日本国憲法に関連する論点を提示した上でこれに論評することを求める。評価の基準は次の通り。 (1)具体的事件における日本国憲法の関連の仕方を論理的に記述できる。 (2)具体的事件における日本国憲法に関連する論点を記述できる。 (3)具体的事件における論点について、自分の見解を日本国憲法に照らして理由を付して提示できる。 (4)自分の見解とは別様の見解を考慮し、これに反論できる。
【テキスト・参考書】
テキスト テキストは使用しない。
参考書 ・大石眞・大沢秀介『判例憲法(第3版)』(有斐閣2016年) ・大沢秀介編『判例ライン憲法 第2版』(成文堂2011年) ・辻村みよ子著『憲法(第6版)』(日本評論社2018年) ・長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選Ⅰ第7版』『同Ⅱ第7版』(有斐閣2019年)
【その他】
・学生へのメッセージ
本科目は、教諭免許取得ための必修科目であり、それゆえ教室の収容人員に起因する履修者調整を行う場合がある。
・オフィス・アワー
授業に関する学生からの質問は,各回の授業終了後または開始前に受け付けます。
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