【授業の目的】
2018年(平成30)は、明治に元号が改まってからちょうど150年の年にあたり、政府の主導により「明治150年」を祝う記念行事が営まれ、政治の場で活躍した「偉人」の顕彰が行われました。本授業では、このような動きからは等閑視されがちな、衣食住などの生活に根ざした文化や、ごく普通の人々が生きた社会の動向から、明治という時代がどのような時代であったのかを把握するとともに、歴史的な視点から現代のさまざまな問題を考えるための構えを養うことを目的とします。
【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、 1)明治時代の文化や社会の特徴を説明できる【知識・理解】 2)現代の文化・社会にまつわるさまざまな問題を歴史的な経緯を踏まえて考察することができる【態度・習慣】 3)得られた知識・態度を基礎に、自身の考えを文章に表現することができる【技能】
【授業概要(キーワード)】
明治時代 日本近代史 文化史 社会史
【科目の位置付け】
この授業は、明治という時代を文化や社会などさまざまな視点から考察することを通じて、日本近代史に関する基礎的な知識や歴史的なものの見方・考え方を養う、基盤共通教育科目(教養科目)の一つです。なお、本授業では間接的にしか触れることのできない、明治時代を含む日本近代の政治に関する事柄については、人文社会科学部の専門教育科目「日本近代史概論」(2年次以上の学生が対象、前期)で詳しく扱っています。
【授業計画】
・授業の方法
当日配布するレジュメをもとにスライド(パワーポイント)を使用しながら授業を進めます。授業の最後に記入を求めるコメントペーパーにおける質問事項は、次の授業の冒頭で紹介し、応答を行います。
・日程
第1回 ガイダンス 文化と社会から見た歴史 第2回 明治の文化① 「明治」とは? 第3回 明治の文化② 「富国」を目指して 第4回 明治の文化③ 衣 第5回 明治の文化④ 食 第6回 明治の文化⑤ 住 第7回 明治の文化⑥ 時間 第8回 明治の文化⑦ 健康 第9回 明治の社会① 「富国」の光と影 第10回 明治の社会② 都市貧困者の衣食住 第11回 明治の社会③ 貧困者救済の制度 第12回 明治の社会④ 政府の掲げる国民像 第13回 明治の社会⑤ 頑張る国民 第14回 明治の社会⑥ 女性にとっての明治時代 第15回 明治の社会⑦ 男性にとっての明治時代
【学習の方法】
・受講のあり方
講義で取り上げた内容を丸暗記する必要は全くありません。明治時代の文化・社会に共通する特徴は何かを自分なりに考えながら、明治時代と現代の文化・社会の違いやつながりを意識しながら授業を聴講しましょう。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
第9回~第15回の授業については、テキストの第1章~第7章の章構成に準じた授業を行うので、該当部分をあらかじめ読んでおくことをおすすめします。また、参考書や授業のなかで紹介した図書に目を通すことで、授業で扱った事柄に対する知識をさらに深めることができます。
【成績の評価】
・基準
授業に主体的に参加するとともに(授業参加)、授業を通して得られた知識にもとづいて明治時代の文化・社会について自らの意見を述べることができること(期末レポート)が合格の基準です。
・方法
授業参加・期末レポートの得点の合計をもって評点とします。 ・授業参加(45点)=各回の授業の最後にコメントペーパーの提出を求め、その内容から授業への参加姿勢を評価します(1回の授業につき3点)。たとえ出席したとしても、コメントペーパーに何も記入しなかったり(「特になし」も含む)、コメントペーパーの記述が当日の授業を踏まえたものでなかった場合は点数を与えることができません。 ・期末レポート(55点)=授業内容にもとづくレポートを課します。レポートの課題は初回の授業で示します。
【テキスト・参考書】
テキスト:松沢裕作『生きづらい明治社会』(岩波書店、2018年)800円+税 参考書:増田美子『日本衣服史』(吉川弘文館、2010年) 江原絢子・石川尚子・東四柳祥子『日本食物史』(吉川弘文館、2009年) 小沢朝江・水沼淑子『日本住居史』(吉川弘文館、2006年) 内田正男『暦の語る日本の歴史』(吉川弘文館、2012年) 新村拓『日本医療史』(吉川弘文館、2006年) 町田祐一『近代都市の下層社会』(法政大学出版局、2016年) 湯澤規子『胃袋の近代』(名古屋大学出版会、2018年) 稲葉光彦『日本社会福祉制度概説』(慶応義塾大学出版会、1991年) 竹内洋『立身出世主義 増補版』(世界思想社、2005年) 脇田晴子・林玲子・永原和子編『日本女性史』(吉川弘文館、1987年) 阿部恒久・大日方純夫・天野正子編『男性史1』(日本経済評論社、2006年) 藤野裕子『都市と暴動の民衆史』有志舎、2015年)
【その他】
・学生へのメッセージ
高校で日本史を学んでいない学生にも理解できる講義を目指します。高校の日本史を学んだ学生も、自身が持っている明治時代のイメージを見直す良い機会になるのではないかと思います。
・オフィス・アワー
月曜日 11時30分~13時30分 小幡研究室(人文社会科学部1号館4階) 上記時間外においても相談を受け付けますが、その場合は事前に連絡してください。連絡先は初回授業時にお知らせします。
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