【授業の目的】
私たちの生きる社会を資本主義社会と呼びます。では、「資本」とは何でしょうか?この経済社会の「主役」とは、今を生きる人々であると共に実は「資本」でもあります。私たちの社会は、生産力の高度な発展により「豊かさ」を実現する一方で、富裕と貧困の格差、過酷な労働による過労(自)死、あるいは環境問題など、さまざまな社会問題を抱えています。この授業の立場は、こうした社会現象には「資本の運動」が深く関与していると捉えています。 この授業の目的は、現実の「働くこと」の諸問題にも目を配りながら、「資本の運動法則」の基礎理論を学ぶことです。なお、この授業の立場は少数派の経済学説(マルクス経済学)です。とはいえ、世の中の「常識」を批判的に検討し、経済社会の諸問題を自分に引き付けて考える姿勢を培う契機になればと思います。
【授業の到達目標】
この授業を履修した学生は 1)社会経済学の基礎概念を理解し、説明することができる。【知識・理解】 2)経済社会の諸問題を自分に関わる問題として思慮し,自分の考え方の参考にすることができる。【態度・習慣】
【授業概要(キーワード)】
マルクス経済学、富裕と貧困、学生主体型授業(アクティヴラーニング)▼△
【科目の位置付け】
この授業は、資本主義経済の理論を「働くこと」の諸問題を参照しながら学ぶことを通して、現代社会の諸問題に関心を持ち、自己の意見を形成する態度の涵養と、幅広い教養を身に着けることに資するものである。
【授業計画】
・授業の方法
1)配布するレジュメと資料に基づいて授業を進めます。授業中は、たびたび教員から質問をします。 2)宿題(小レポートまたは練習問題)を出します。一人で回答を発表します。または各自が持ち寄った回答をグループで討議して発表します。
・日程
主要なテーマと順序は次のとおりです。受講者の反応によって、各回のテーマやグループ討議(課題と回数)を変更することがあります。 第1回目 4/13(月) 授業ガイダンス 第2回目 4/20(月) 経済社会を歴史的、構造的に見る 第3回目 4/27(月) 商品とは何か 第4回目 5/11(月) 貨幣とは何か 第5回目 5/18(月) 「おカネがすべて」だと思うのはなぜか 第6回目 5/25(月) 資本と剰余価値 第7回目 6/1(月) 労働時間(日)と剰余価値/長時間労働と過労死 第8回目 6/8(月) 富裕と貧困 19世紀と現代の事例から考える 第9回目 6/15(月) 生産力の発達と剰余価値 第10回目 6/22(月) 競争と剰余価値 第11回目 6/29(月) 生産技術の発達は労働を「ラク」にするか 第12回目 7/6(月) 産業革命、工業化―生産技術の革新と労働者 第13回目 7/13(月) 資本の再生産 第14回目 7/20(月) 資本と失業 第15回目 7/27(月) 授業のまとめ(試験を含む)
【学習の方法】
・受講のあり方
1)配布するレジュメの空欄を埋めていき、板書をノートにとるなどし、内容の理解に努めましょう。 2)講師からの質問に答えましょう。「間違ってよい」(「ヘリクツ」でもよい)ので「わかりません」はなるべく避けましょう。 3)宿題は一人で発表します。グループ討議では、各自が用意した回答を持ち寄って検討し、代表者が発表します。討議では積極的に聞き、話し、回答をまとめるために協力しあいましょう。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1)宿題(小レポートまたは練習問題)は必ず行い、発表できるように文書で準備してください。 2)宿題で自分の考えをまとめる際には、図書館などを利用し自分なりに調べてみましょう。 3)専門用語を覚え、概念を理解することに努めましょう。参考書も活用しましょう。 4)わからない点があれば放置せず、授業後に講師に気軽に聞いてください。
【成績の評価】
・基準
授業で解説する基礎概念と用語とを正しく理解して、適切に説明できることを合格の基準にします。
・方法
宿題(小レポートの提出3回)で30点、期末テスト70点の配点とします。
【テキスト・参考書】
配布するレジュメと資料に拠りながら講義を進めるのでテキストを指定しません。ただし、下記の参考書が授業内容の理解に役立ちます。 『政治経済学の再生』柴田信也編、2011年、創風社。 『経済原論 資本主義経済の構造と動態』富塚良三、2007年、有斐閣。
【その他】
・学生へのメッセージ
予備知識は特に必要ありません。経済社会と「働くこと」への関心を深める契機になればと思います。
・オフィス・アワー
授業に関する学生からの質問は,各回の授業終了後または開始前に受け付けます。
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