【授業の目的】
本授業では日本社会に特有の側面である「世間」について理解していく。世間は日本中のいたるところ,大都市や地方に,広い範囲のものから,狭いものまで,様々な形で浸透している。世間においては,人々がお互いに助け合うという特長もある一方,生きづらさを感じさせる特徴も持っている。山形で学ぶということは,山形における世間を知る絶好の機会である。本授業では学生一人ひとりにとっての世間に着目し,今,山形大学で学ぶということを通じて自分の世間を客観的に表現でき,世間とうまく付き合えるようにしていく。
【授業の到達目標】
1)世間を対象化し,客観的に表現できる。 2)個人的なエピソードを客観的な視点で分析できる。
【授業概要(キーワード)】
学生主体型授業(アクティブラーニング)▽▼△☆〇◎,世間,空気,社会
【科目の位置付け】
この授業は,基盤教育の基本理念のうち,山形という地域の具体的・実践的な視点から日本や世界を把握する力を育むための科目である。<基盤教育については,『基盤教育マニュアル』「山形大学基盤教育の基本方針」を参照のこと>
【授業計画】
・授業の方法
第2回までは世間に関する基礎的な講義を行う。第3回から第12回までは世間が有する主要な特徴について検討していく。第13回では世間に適応する方法を取り上げる。ここまでは主として4人程度の小グループ形式で議論する形式をとる。第14回で個人ごとに取り組みテーマを定め,各自検討していく。
・日程
1.オリエンテーション 2.「世間」とは ・なぜ世間を扱うのか ・世間の良い点・怖い点 3-4.「恩返し」の検討 5-6.「上下関係」の検討 7-8.「共通意識」の検討 9-10.「ウチとソト」の検討 11-12.「自然宗教」の検討 13.「世間」に適応する ・世間への順応方法 ・世間の縛りから逃れる方法 14.テーマ検討 ・個人的に取り上げたいテーマの選定 ・個別テーマの検討 15.全体まとめ
注)履修者数や授業の進行状況に応じて順番や内容が変更されることがある。
【学習の方法】
・受講のあり方
この授業では個人ワークやグループワークの中で個人的なエピソードを扱うことがある。このため,お互いのプライバシーの保護と尊重が求められる。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
この授業では日々の生活の中で体験することを題材として扱うことになる。そのため,サークル・部活の活動やアルバイト経験など,様々な場面での体験が授業で学んだ事とどう結びつくのかを考えることが大切になる。
【成績の評価】
・基準
世間という概念を客観的に表現できることと,自分の世間にまつわる個人的なエピソードを客観的な視点で分析できることを合格の基準とする。
・方法
中間レポート(30点)と期末レポート(70点)で評価する。 授業ルールを設定し,これに同意した者のみ成績評価する。
【テキスト・参考書】
この授業の参考書には以下のものがある: ・阿部謹也『「世間」とは何か』,1995年 ・鴻上尚史『「空気」と「世間」』,2009年 ・佐藤直樹『目くじら社会の人間関係』,2017年 ・山本陽史『「世間」と「社会」-日本社会論の試み』“VarsityWaveeBooks”(全国大学生協連合会)
【その他】
・学生へのメッセージ
日本の中での「あたりまえ」に違和感を持ったり,生きづらさを感じている人がいるが,これは「世間」によるものかもしれない。自分なりの問題意識を持って授業に参加することをお勧めする。
・オフィス・アワー
火曜日・水曜日の12:00~13:00/研究室(理学部3号館A402号室)
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