数学特別講義D
 Current Topics in Mathematics D
 担当教員:小島 秀雄(KOJIMA Hideo)
 担当教員の所属:理学部非常勤講師
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:1単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
アフィン代数多様体を研究する上でその多様体が加法群スキームの作用をどの位持つかを考えることは重要であり, アフィン空間の自己同型群, アフィン空間の消去問題等のアフィン代数幾何学における中心的な課題に対して重要な結果が得られている.アフィン代数多様体の加法群スキームの作用はその座標環上の局所有限階層的高階導分に対応し, その核は作用の不変式環になる. 本講義では多項式環上の導分や高階導分に関する基礎事項を説明し, 加法群スキームのアフィン空間への作用や消去問題に関する最新の結果を紹介する.

【授業の到達目標】
多項式環上の導分と高階導分に関する基礎事項を理解し, 具体的な問題を処理できるようになる. 低次元アフィン空間上の加法群スキームの作用に関する結果を理解する.

【授業概要(キーワード)】
多項式環, 導分, 高階導分, アフィン空間, 消去問題

【科目の位置付け】
この授業は理学専攻ディプロマポリシー「研究の背景と意義を説明するための専門的知識および技能を体系的に修得している.」に関連する.

【授業計画】
・授業の方法
数学の論理を整理したノートを板書し, 講義を進める. 適宜演習問題を出す.
・日程
次のように進める.
第1回: 導分とその核
第2回: 局所冪零導分, 高階導分
第3回: 高階導分の核, 高階導分の延長
第4回: 体の超越次数, 高階導分の核の環論的性質
第5回: 局所有限階層的高階導分
第6回: 局所有限階層的高階導分の核とその構造
第7回: アフィン空間上の加法群スキームの作用
第8回: アフィン空間に対する消去問題

【学習の方法】
・受講のあり方
板書される講義内容をノートに筆記するとともに, 内容の理解に努める.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
大学学部で学ぶ環論と体論の基礎的事項を復習してから講義に臨むと良い. 講義ノートの内容を理解するよう可能な限り努力して欲しい.

【成績の評価】
・基準
多項式環上の導分と高階導分に関する基礎事項を理解し, 具体的な問題を処理できること. 低次元アフィン空間上の加法群スキームの作用に関する結果を理解していること.
・方法
平常点20パーセント, レポート80パーセント. 受講生からの質問やコメントの内容を平常点の評価に用います.

【テキスト・参考書】
レベルの高い参考書は講義中に適宜紹介する. 環論と体論を復習するための参考書としては, 次を挙げておく.
参考書:雪江明彦著「代数学2環と体とガロア理論」日本評論社

【その他】
・学生へのメッセージ
アフィン代数幾何学の最新研究に触れるには, 本講義で扱う代数的側面を強くした議論が一番の近道になります. 抽象的と感じることもあるかもしれませんが, 導分や高階導分の扱いにじっくり取り組んでそれを磨くことができれば, 数学の先端研究を理解することができることでしょう.
・オフィス・アワー
授業に関する学生からの質問は, 各回の授業終了後または開始前に受け付けます.

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