場の量子論
 Introduction to Quantum Field Theory
 担当教員:衛藤 稔(ETO Minoru)
 担当教員の所属:理学部理学科
 開講学年:1年(平成29年度以降入学者用)  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:理工学研究科(理学系)博士前期課程  科目区分:分野専門科目(物理学分野) 
【授業の目的】
粒子の生成や消滅などの現象、すなわちフォノンや高エネルギーの素粒子の反応などを記述するには、場の量子論が必要となる。場の量子論の基礎を修得することで、自然の理解を深めることが目的である。特に、場の量子論では、どのようにして粒子概念が生まれるか、粒子の生成・消滅、相互作用がどのように記述されるかを理解することを目的とする。

【授業の到達目標】
場の量子論の基礎を学ぶことで、粒子概念とは何か、それがどのように生み出されるのかを理解できる[知識・理解]。粒子の生成・消滅がどのように記述されるか説明できる[知識・理解]。相対論的な波動方程式を理解し、その量子論において、ボソン、フェルミオンなどの概念を理解できる[知識・理解]。相互作用のある場合の場の量子論において、摂動論の初歩を理解し、議論ができる[知識・理解]。

【授業概要(キーワード)】
多粒子の量子力学、正準量子化、生成・消滅演算子、場の量子化、相対論的場の方程式、スカラー場、ディラック場、相対論的摂動論

【科目の位置付け】
研究の背景と意義を説明するための専門的知識および技能を体系的に修得している。
(大学院理工学研究科(理学系)のディプロマポリシー参照)

【授業計画】
・授業の方法
1)板書による講義を行う。
2)必要に応じて配付プリントも使う。
3)教員からの一方通行の講義でなく、学生の自発的な質疑応答を尊重して講義を進める。
・日程
Part.1 非相対論的場の量子論
1. 正準量子化と調和振動子の演算子による解法
2. 電磁場の量子化の概要(量子力学)
3. 散乱の量子力学の概要
4. 場の古典論
5. シュレーディンガー場の量子論
6. 場の量子論における粒子描像
7. 場の量子論と1粒子量子力学
8. シュレーディンガー場の量子論2:フェルミ粒子
Part.2 相対論的場の量子論
9. 相対論的場の理論:クラインゴルドン方程式,ディラック方程式
10、11 場の量子化1:スカラーボソン
12.13 場の量子化2:フェルミオン
13、14 摂動論とファインマン則:スカラー場
15. ゲージ場について

【学習の方法】
・受講のあり方
1)板書をしっかり理解し、場の量子論の基本的計算のポイントを押さえること
2)理解ができないところは積極的に質問する
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1)講義中に示された計算を自分の手を動かして再現してみること。
2)宿題として出された課題は必ずやること
3)英語で書かれた場の理論の教科書も積極的に参考にすると良い

【成績の評価】
・基準
1)粒子概念とは何か、それがどのように生み出されるのかを正しく理解できる。
2)粒子の生成・消滅がどのように記述されるか正しく説明できる。
3)相対論的な波動方程式を理解し、その量子論において、ボソン、フェルミオンなどの概念を正しく理解できる。
4)相互作用のある場合の場の量子論において、摂動論の初歩を理解し、適切な議論ができる。
・方法
課題に対するレポート(60点)および平常点(40点)により評価する。
ただし受講人数に応じて若干変更する場合もありえますが、その場合は別途指示します。

【テキスト・参考書】
参考書:坂本真人「場の量子論」(裳華房量子力学選書)
参考書:坂井典佑「場の量子論」(裳華房フィジックスライブラリー)

【その他】
・学生へのメッセージ
大学で学んだ量子力学を多粒子系に拡張したものが場の量子論です。現代物理学のほぼすべての分野で利用できる基本的な学問なので積極的に授業に参加し学んでください。
・オフィス・アワー
原則として 火曜日 16:00-17:00とします。(出張等で不在の場合もあります。)

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