【授業の目的】
AIやIoTに代表される第4次産業革命や新興国の労働力高度化により、「ものづくり大国日本」の優位性は薄れ、「ことづくり」に注目が集まるようになって久しい。しかし企業が「ことづくり」を実行するうえで、最初に把握すべきユーザーのニーズは、多様化・深層化が進行しており、どんな「ことづくり」を行うべきか見極めは困難である。このような状況下で必要とされるのは、単に高度な技術を有するだけではなく、ユーザーの真のニーズを見極め、それを的確に商品やサービスの形にしていく「クリエイティブ力」である。この背景を受けて、「企業・大学等において、事業課題を創造的に解決できる人材(高度デザイン人材)」の育成を目的に、本授業を開催する。
【授業の到達目標】
従来技術系の強みであったエンジニアリング力に加え、多様な仲間やユーザーとの共創活動を通じて、皆が気づけていない真の課題(面白い着眼点)を提起していく「サービスデザイン」のアプローチを理解し、身に着けていくことを目指す。
1.製品やサービス全体の設計を考えていく「広義のデザイン」の理解と実行
2.「ユーザー参加型やステークホルダー参加型のクリエイティブワーク」の優位性理解と実行
3.専門領域の異なる人材同士が創造的に課題を解決するプロジェクトを実行、「多様性と共創」の強みを理解する。
【授業概要(キーワード)】
産業理解、社会課題、人間中心設計、イノベーション、クリエイティブ、コクリエイション、サービスデザイン、デザイン思考、行動デザイン、行動経済学、プレイフル、アイディア発想、ビジネスモデル、グループワーク、プレゼンテーション
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:1~25% C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25% D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25% B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:26~50% C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:51~75% D-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
工学部の全ての学科から受講できるので、異分野の人とのチームワークを実践できる。 なお、本講義は「52050 産業理解特別講義」と同時開講する。内容は全く同じだが、1,2年生は「サービスデザインによる社会課題解決」を履修、3,4年生は「産業理解特別講義」を履修すること。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに 08.働きがいも経済成長も 09.産業と技術革新の基盤をつくろう 11.住み続けられるまちづくりを 17.パートナーシップで目標を達成しよう
【授業計画】
・授業の方法
大日本印刷株式会社の山口 博志 客員准教授と松田 久仁子 招聘講師より、サービスデザイン思考を軸とした課題の設定方法から、アイディアの発想法、簡易プロトタイピングによる検証、ビジネスモデルの立案方法などの講義を受ける。演習は山形大学の教員が担当する。学生4〜6人でチームを結成し、各チームごとに社会問題解決のためのプロジェクトを考え実践する。
・日程
二日間の集中講義として開講する。 なお、受講人数、受講者の所属学科・学年等により、全体の構成やスケジュールをアレンジして行う場合もある。
■1日目午前(9時~12時) オリエンテーション サービスデザイン概論(講義) チームビルディング
■1日目午後(13時~17時) サービスデザインの実行:新規事業アイディア発想ワークショップ①(OEJD手法想定)
■2日目午前(9時~12時) サービスデザインの実行:新規事業アイディア発想ワークショップ②(OEJD手法想定)
■2日目午後(13時~17時) プレゼンテーションの準備、発表
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
2日間の集中グループワークを通じ、仮想事業を考案していきます。 「独創と共創の違い」や「ユーザー中心の課題解決と課題提起の違い」等重要なエッセンスを、頭で理解するだけでなく、体感による納得を持って進めます。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
本講座で興味を持ち発展的な学びを持ちたい場合、下記サイトにアクセスすることで学習が深まります。 http://www.dnp.co.jp/cio/servicedesignlab/ また講師が参加する、経産省主催サービスデザイン研究会のサイトにも参考となるレポートが掲載されています。 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/service_design/20200420_report.html
【成績の評価】
・基準
チームで米沢の課題解決に向けたアイディアを発想し、事業プランを作成・調査・発表できることを合格の基準とする。
・方法
出席点50点+最終発表会50点 最終発表会では下記を評価する。 a)課題を解決できるアイディアかどうか b)検証データや裏付けの正当性 c)実現性 d)わかりやすい資料かどうか e)わかりやすい説明かどうか
【テキスト・参考書】
テキストは使用せず、重要な情報は毎回プリントにまとめて配布した上で、プロジェクターを用いた講義を行う。 参考書: 『START INNOVATION ! with this visual toolkit.』 ハイス・ファン・ウルフェン(著) 山口博志(監修)ビー・エヌ・エヌ新社 『サービスデザインの教科書』 武山政直 (著) NTT出版 『まんがでわかるデザイン思考』 坂元勲(著) 小学館
【その他】
・学生へのメッセージ
技術系の強みであるエンジニアリング力に加え、多様な仲間やユーザーとの共創活動を通じて、皆が気づけていない真の課題(面白い着眼点)を世の中に提起していく「広義のデザイン力(サービスデザイン、デザイン思考)」を身に着けましょう。プレイフルな講座なので、気軽に参加してください。
・オフィス・アワー
月曜日16:00~17:00、グリーンマテリアル成型加工研究センター303
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