日本社会論(日本学入門)
 Theory on Japanese Society (Introduction to Japanese Studies)
 担当教員:山本 陽史(YAMAMOTO Harufumi)
 担当教員の所属:山形大学
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
〈日本における社会と世間〉 日本の社会の姿を「世間」をキーワードとして読み解く授業です。「世間知らず」「世間は狭い」とか「世間体が悪い」というように、日本人は世間という言葉をよく使います。では世間は「社会」とはどう違うのでしょうか? このことを考えることが「日本とは何か」を考えるための大きなヒントになります。地域、血縁、学校での先輩後輩など、日本人は大小さまざまの世間に属し、世間からはみ出さないように生きて来たのです。世間からはみ出すと「村八分」や「いじめ」にあってしまうのです。現在でもインターネット上のバーチャルな空間にも世間が形を変えて生きています。この授業では西洋キリスト教社会やアジアの近隣アジア諸国の社会と比較しつつ、日本の社会の特質を考察するとともに、東日本大震災後の東北における世間の現況を知り、今後の人間文化コースでの学び、そして将来国際化の進展した世界で活躍するための指針を得ることを目的とします。あわせて皆さんがこれから大学で学んでいくためのレポート作成能力やプレゼンテーション技術の向上も目指していきます。

【授業の到達目標】
・世間について知り、日本社会の特質について知り、日本人の行動原理や生き方の歴史についての知識を持ち、国際人としての行動の指針を得ることができる。
・東日本大震災以降の東北の位置づけについて把握できる。
・グループワークで適切な話し合いを行えるようになる。
・レポート作成の過程で的確な情報収集と分析ができる。
・レポート・発表で自分の考えを伝えることができる(文章作成力,プレゼンテーション力)

【授業概要(キーワード)】
世間,社会,個人,村八分,いじめ,同調圧力

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:26~50%

【科目の位置付け】
日本と地域を国際的視点から考える起点となるコース必修「日本学入門」の設定科目です。この授業から人間文化コースの学びが始まります。将来の各自の専攻や進路選択につながっていく取り組みを求めます。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
05.ジェンダー平等を実現しよう
10.人や国の不平等をなくそう
16.平和と公正をすべての人に

【授業計画】
・授業の方法
教員による講義とともに、世間について調べ、グループワークでプレゼンテーションを行ったり、個人としてレポートを作成してもらいます。
・日程
1 「世間」って何だろう 2 日本に「社会」はあるのか 3 日本文化は多様か 4 学校と「世間」 いじめはなぜ起きるか 5 なぜ日本人にはキリスト教徒が少ないのか 6 日本文学に見る世間 古代から中世まで 7 日本文学と世間 江戸時代 8 夏目漱石「こころ」はなぜ読まれ続けるのか? 9 文明開化と世間 10 日本文学と世間 近代から現代 11 藤沢周平と世間 12 日本の中の東北と沖縄 13 東日本大震災と世間 14 東アジアの近隣国に世間はあるか 15 インターネットと世間 ※6週目以降原則受講生のプレゼンテーションが入ります。 ※コロナウイルスの蔓延状況によってはウェブクラスやzoomを駆使したオンライン開催も併用する可能性もあります。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
この授業はグループワーク・プレゼンテーションなど学生が主体的に参加する学習活動を含みます。活動内容は授業により異なります。
みなさん自身が社会で必要な基盤的能力、とくにコミュニケーション能力をみがくのが最大の目的です。積極的にグループ活動を行いましょう。
準備学習に必要な時間の目安は週あたり2時間です。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・予習 身近なところに世間は存在しています。どんな振る舞いが世間に影響されているのか考える習慣を身につけましょう。
・復習 グループで話し合ったことをリサーチし、まとめましょう。

【成績の評価】
・基準
中間レポート(複数回)、最終レポート、グループによるプレゼンテーションを課し、知識の修得・理解の度合い・汎用的技能(情報収集能力、分析能力、文章表現力、プレゼンテーション能力)・参加の度合い、これら4項目について判定し、その合計点を用いて判定します。基準は以下の通りです。1)日本の社会と世間の特質と日本人の行動原理や生き方の歴史についての知識を持ったか。2)東日本大震災以降の東北の位置づけについて把握できたか。3)グループワークで適切な話し合いを行えるようになったか。4)レポート作成の過程で的確な情報収集と分析方法が身についたか。5)レポート・発表で自分の考えを伝えることができたか。
・方法
1)中間レポ-ト 20%×2回
2)グループによるプレゼンテーション 20%
3)最終レポート 40%

【テキスト・参考書】
【テキスト・参考書】
テキスト1:山本陽史『世間と社会-日本社会論の試み』 税別¥800(予定)
(大学生協発売の電子書籍です。購入方法、正確な定価は授業開始時にお知らせします)
テキスト2:『なせば成る! スタートアップセミナー 学習マニュアル 三訂版』ISBN:978-4-903966-29-8 \800円+税
参考書:阿部謹也『「世間」とは何か』1995講談社現代新書 ISBN:978-4061492622 税込880円・鴻上尚史・佐藤直樹『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』2020 講談社現代新書) ISBN: 978-4065206621 税込924円

【その他】
・学生へのメッセージ
皆さんはグローバル化が進んだ世界で生きていくことになります。世間というローカルな基準で生きることとの折り合いをどう付けていくかがこれからさらに問われることになるでしょう。この授業でそれを考えてみませんか?
・オフィス・アワー
研究室、またはオンラインで授業時間外に質問・相談を受け付けます。ただし出張が多いため、事前に電子メールで日時を予約してください。

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