日本近代史概論
 Introduction to Japanese Modern History
 担当教員:小幡 圭祐(OBATA Keisuke)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
日本の歴史において近代は、それまでの国家・社会のあり方を大きく変容させた時代であると同時に、私たちが生きる現代と密接な関わりをもつ時代です。ゆえに、日本の近代の特徴を知ることは、現代のさまざまな問題を考えるうえでも、極めて重要な意味を持っています。本授業では、日本の近代の歩みを、その時代的特質である中央集権国家と国際化(西洋化)の二つの観点を軸に考察することを通じて、日本近代史に関する基礎的な知識・時代背景の理解を得るとともに、近代から現代のさまざまな問題を歴史的な視点から考えるための思考力を身につけることを目的とします。

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、
1)日本近代史に関する基礎的な知識、当時の日本が置かれていた国内・国外の状況について説明することができる【知識・理解】
2)中央集権国家や国際化(西洋化)といった特定の観点から歴史を捉えることができる【態度・習慣】
3)得られた知識・態度を基礎に、具体的な用語・人物・出来事を事例として挙げつつ、自身の考えを述べ、論理的な文章に表現できる【技能】

【授業概要(キーワード)】
歴史学,日本近代史,明治時代~昭和時代,中央集権国家,国際化(西洋化)

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:26~50%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この授業は、日本の近代の歩みを特定の観点から考察することを通じて、人文社会科学の専門領域(歴史学)について中核となる学術的成果を修得し、これに関して問題を発見し、論理的・批判的思考の結果を意見としてまとめることができる能力を培うを目的とする専門基礎科目です(人文社会科学部のディプロマ・ポリシー)。

【授業計画】
・授業の方法
この授業はオンデマンド型遠隔授業です。授業時間までにWebClassにレジュメ(PDF)と授業動画(YouTube)のURLをアップしますので、レジュメをもとに授業動画を聴講してください。聴講終了後、WebClassを通じて授業のコメント(授業に関する疑問・疑問への回答)を提出してもらいます。疑問への回答の提出は任意です。提出されたコメントは次の授業の授業資料として配付し共有するとともに、その一部を次の授業の冒頭で紹介し、応答を行います。
・日程
第1回 はじめに―日本の近代を考える意義 / 第2回 地球規模の国際環境への参入―開国 / 第3回 中央集権国家の成立―廃藩置県 / 第4回 国家建設期の内政―1870年代 / 第5回 国家建設期の外交―1870年代 / 第6回 近代国家確立期の内政―1880年代 / 第7回 近代国家確立期の外交―1880年代 / 第8回 日清戦争期の内政と外交―1890年代 / 第9回 日露戦争期の内政と外交―1900年代 / 第10回 第一次世界大戦期の内政と外交―1910年代 / 第11回 戦間期の内政と外交―1920年代 / 第12回 日中戦争期の内政と外交―1930年代 / 第13回 アジア・太平洋戦争期の内政と外交―1940年代 / 第14回 戦前と戦後の連続と非連続―1950年代 / 第15回 おわりに―現代への展望

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義の内容を丸暗記することは求めません。講義で取り上げた事柄が現代とどのような関わりがあるのかを自分自身で考えながら聴講しましょう。またコメントは授業の感想ではなく疑問を必ず挙げることを求めるので、積極的に自分の意見や問いを発する構えで講義に臨みましょう。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
単位制度の実質化のため、以下の点に留意して授業外における予習・復習等の自主的な学修に取り組んでください。
1)準備学修に必要な学修時間の目安は 4.5時間/週 です。
※大学設置基準で、1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することが標準と定められています。
2)参考書にあらかじめ目を通し、疑問点を明瞭にしておくことが望まれます。レジュメで各回の内容を深めるために適切な文献を紹介します。
3)また、コメントで挙げた疑問については、参考書や各講義で紹介する文献に当たるなどして、自身で調べる習慣をつけましょう。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した3つの目標に対応し、下記の3つの条件を満たすことを合格の基準とします。
1)日本近代史に関する基礎的な知識とおおまかな流れを説明できる。
2)日本近代の時代的特質と現代との関連を自分の言葉で説明することができる。
3)講義に積極的に参加し、自発的に意見・問いを発し問題解決に結びつけることができる。
・方法
期末レポート(70点):授業内容にもとづくレポートを課します。
コメント(30点):各回の授業終了後にコメントの提出を求め、その内容から授業への参加姿勢を評価します(1回の授業につき2点)。何もコメントをしなかったり(「特になし」も含む)、内容が当日の授業を踏まえたものでなかった場合は点数を与えません。
※Webclassで疑問への回答を提出した場合、提出した回答が授業で紹介された場合は、その内容と頻度に応じ15点を上限に加点します。

【テキスト・参考書】
テキスト:各回の授業でレジュメを配付します。
参考書:小風秀雅編『大学の日本史 教養から考える歴史へ 4近代』(山川出版社、2016年)1800円+税
清水唯一朗・瀧井一博・村井良太『日本政治史 現代日本を形作るもの』(有斐閣、2020年)2100円+税
→予習をする場合には上記の参考書をおすすめします。
『日本の近代』全16巻(中央公論社・中央公論新社、1998~2001年)
『日本近代の歴史』全6巻(吉川弘文館、2016~2017年)
 ①奥田晴樹『維新と開化』(吉川弘文館、2016年)https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000034402
 ②大日方純夫『「主権国家」成立の内と外』(吉川弘文館、2016年)https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000036332
 ③飯塚一幸『日清・日露戦争と帝国日本』(吉川弘文館、2016年)https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000040160
 ④櫻井良樹『国際化時代「大正日本」』(吉川弘文館、2017年)https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000040895
 ⑤河島真『戦争とファシズムの時代へ』(吉川弘文館、2017年)https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000041656
 ⑥源川真希『総力戦のなかの日本政治』(吉川弘文館、2017年)https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000042229
→授業の疑問点などを調べる際には上記の参考書がおすすめです。『日本近代の歴史』に関しては上記のURLからウェブ上で閲覧可能です(同時3アクセス)。学外からのアクセスにはID・パスワードが必要です(https://www.lib.yamagata-u.ac.jp/yttop/e-resource_guide/authentication/)。
※このほか、授業で配布するレジュメの最後に、各回の授業に関連する文献を紹介します。

【その他】
・学生へのメッセージ
授業では多くの用語・人物・出来事を話題にしますが、全てを暗記する必要は全くありません。各回の授業でその用語・人物・出来事をなぜ取り上げられているのかが大事になりますので、考えることを重視しながら授業に臨むことをおすすめします。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を小幡研究室(人文社会科学部1号館4階)において、月曜日の11:30~13:30に設けます。
※上記時間外においても相談を受け付けますが、その場合は事前に連絡してください。連絡先は初回授業時にお知らせします。

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