歴史学基礎演習b
 Introductory Seminar on History (b)
 担当教員:中村 篤志(NAKAMURA Atsushi),小幡 圭祐(OBATA Keisuke)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
過去の歴史をひもとくという行為は、皆さんが生まれるずっと前から行われています。学術的に意義のある論文を書くためには、先人たちが行ってきた研究(=先行研究)を正確に理解する力と、それらを批判的に読解する構えが不可欠です。この授業では、歴史学プログラムに所属する教員が書いた論文を読み、実際に論文を書いた教員との議論を行うことで、歴史学という学問がどのような学問であるかを知るとともに、先行研究を読解するために必要な能力・構えを養うことを目的とします。

【授業の到達目標】
この演習を履修した学生は、
1)歴史学の先行研究の概要・意義を正確に理解し説明することができる【知識・理解】
2)歴史学の先行研究を批判的に読み、問題発見に結び付けることができる【態度・習慣】
3)自身の考えを報告し、討論の場で述べることができる【技能】

【授業概要(キーワード)】
歴史学,先行研究,日本史,アジア史,ヨーロッパ史,考古学

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:51~75%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:26~50%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:51~75%
D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:26~50%

【科目の位置付け】
この授業は、歴史学に関する先行研究の読解を通じて、人文社会科学の専門領域(歴史学)について中核となる学術的成果を修得し、これに関して問題を発見し、論理的・批判的思考の結果を意見としてまとめることができる能力を身につけることを目的とする専門基礎科目です(人文社会科学部のディプロマ・ポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
第1回~第3回の授業は、担当教員によるガイダンス・解説を行います。あわせて第4回以降の報告の日程決めを行います。
第4回以降の授業は、2回ごとに各分野の論文を読んでいきます。1回目は報告担当者が論文を要約したレジュメを用意し、全員でその内容を確認します。2回目は報告担当者以外の参加者が論文要約をもとに疑問点を用意し、報告担当者と応答を行います。各回で扱う先行研究については、WebClassを通じて事前にPDFを配布します。
・日程
第1回 ガイダンス
第2回 先行研究の探し方
第3回 先行研究の読み方
第4回~第5回 モンゴル史の論文を読む①
第6回~第7回 日本近代史の論文を読む
第8回~第9回 日本前近代史の論文を読む
第10回~第11回 西洋史の論文を読む
第12回~13回 考古学の論文を読む
第14回~第15回 モンゴル史の論文を読む②

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
報告担当者は事前に配付された先行研究をよく読み、語句などの解説、論文の要約をレジュメにまとめる(その他の参加者も事前に先行研究を読んでくること)。その他の参加者はレジュメを参考にしつつ疑問点を用意し、質疑に備える(報告者も疑問に答えられるように下調べをしてくること)。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
単位制度の実質化のため、以下の点に留意して授業外における予習・復習等の自主的な学修に取り組んでください。
1)準備学修に必要な学修時間の目安は 4.5時間/週 です。
※大学設置基準で、1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することが標準と定められています。
2)報告担当者は、参加者との質疑に答えることができるよう、先行研究をよく読み、基礎的な語句・知識について十分に調べておきましょう。
3)報告者以外の参加者も、建設的な質問が行えるよう、先行研究にあらかじめ目を通し、問題点を明確化しておくことが必要です。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した3つの目標に対応し、下記の3つの条件を満たすことを合格の基準とします。
1)先行研究を的確に理解し、その概要・意義を説明できる
2)先行研究を批判的に読み、問題点を指摘できる。
3)報告・討論に積極的に臨み、自分の意見を発信することができる。
・方法
報告40点・質疑応答40点・期末レポート20点の配分とします。

【テキスト・参考書】
テキスト:各回で扱う先行研究については、WebClassにてPDFデータを配付します。参考までに扱う予定の先行研究を以下に掲げます。
・中村篤志・Sh.ムンフバートル「清代モンゴルのフレー以南14駅站に関する基礎的考察」(『内陸アジア史研究』34、2019年)
・中村篤志「清朝宮廷におけるモンゴル王公」(新宮学編『近世東アジア比較都城史の諸相』白帝社、2014年)
・小幡圭祐「大久保利通と内務省勧農政策」(『日本史研究』2021年刊行予定)
・山崎彰「ブランデンブルク農村社会における社会紛争と土地所有権―レカーン領の農民とビュドナーを事例に」(『社会経済史学』85-3、2019年)
・荒木志伸「城輪柵からみた秋田城-政庁遺構の比較検討から-」(『秋田考古学』57、2013年)
参考書:大学の歴史教育を考える会編『わかる・身につく 歴史学の学び方』(大月書店、2016年)2,000円+税
→報告のために用意するレジュメの作成方法などに困ったら参照してください。

【その他】
・学生へのメッセージ
これを機会に歴史学プログラムの教員がどのような研究をやっているのかを知るとともに、歴史学の面白さを学び取りましょう。先行研究の読み方・探し方や研究報告の方法などに困ったら、参考書に目を通すとともに、担当教員に遠慮なく相談しましょう。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を、以下の時間を設けます。
中村研究室(人文棟1号館4階):火曜日 14時40分~16時20分
小幡研究室(人文棟1号館4階):月曜日 11時30分~13時30分

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