本年度は、清朝時代、北京とモンゴル高原との往来を取り上げ、ヒトやモノ、情報がいかに行き交ったかを分析し、清朝統治の特質とその社会的影響について考察する。
具体的には、清朝がモンゴル統治のために作り上げた、物流インフラ（駅站網）や、人的物的移動を規定した諸制度（封禁、朝覲、家畜貢納など）を整理し、モンゴル各地そして中国本土との間でのヒト・モノ・情報の往来の実態を明らかにし、清朝のいわゆる帝国的統治がモンゴル社会にいかなる影響を与えたのかを考察する。

（1）内陸アジア史に関する専門的知識や、講義で設定したテーマについて深く理解し、論理的に記述することができる。
（2）講義を手がかりに、自分で通時代的・地域横断的なテーマを設定し、文献を調べ、分析することができる。

モンゴル史，往来・物流，参勤制度，駅站

A-1．ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。：51～75％
B-1．学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。：1～25％
A-2．小レポート等により、事前学習（下調べ、調査等含む）が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。：26～50％
B-2．事前学習（下調べ、調査等含む）をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。：26～50％
A-3．習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。：26～50％
B-3．習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。：26～50％

この授業は、内陸アジア史を題材に、人文社会科学の専門領域（歴史学）について中核となる学術的成果を修得し、これに関して問題を発見し、論理的・批判的思考の結果を意見としてまとめることができるようになるための科目です（人文社会科学部のディプロマ・ポリシー）。

04.質の高い教育をみんなに

基本的には講義形式で行うが、受講者からのコメントに応じて柔軟に内容を調整する。

（１）問題の所在：江戸時代の参勤交代
（２）清朝の統治構造とモンゴル統治
（３）ヒトの往来：駅站網、封禁制度、朝覲制度
（４）モノの往来：皇帝牧廠と漢人商人
（５）情報の往来：北京のモンゴル王公
（６）清末民国初の往来の様子
（７）まとめ
※講義中、期末レポートに向けて、テーマの設定の仕方、文献の調べ方、まとめ方などを学ぶ回を設けます。

　講義内容をきちんと復習し、不明な点は積極的に調べ質問すること。紹介された参考文献を中心に、できるだけ多くの文献を読むこと。

単位制度の実質化のため、以下の点に留意して授業外における予習・復習等の自主的な学修に取り組んでください。
１）単元毎の課題コメントで授業内容の理解度を確認します。ほかの学生のコメントも参考にして、理解が不足している部分は自分で調べ補ってください。
２）課題コメントを発展させ、期末レポートに向けて自分でテーマを決めて文献を調べ、分析を進めてください。

　授業の到達目標で示した2つの目標に対応し、下記の2つの条件を満たすことを合格の基準とします。
１）内陸アジア史に関する専門的知識や、講義で設定したテーマについて深く理解し、論理的に記述することができる。
２）講義を手がかりに、自分で通時代的・地域横断的なテーマを設定し、文献を調べ、分析することができる。

　主に毎回の授業における課題コメントの内容を評価する（50％）、基準２）については学期末レポートで評価する（50％）。

各回の授業資料についてはWebClassにアップロードします。
以下は講義で取り上げる参考書です。
岡田英弘、神田信夫、松村潤『紫禁城の栄光：明・清全史』講談社（学術文庫) 、2006年。

　講義ではありますが、半分演習のような、自分で考え、調べることを重視します。もちろん、考え方、調べ方、まとめ方は授業中に丁寧に教えていきます。

火曜日　１４時４０分～１６時３０分　中村研究室（人文学部１号館４階）