日本近世文学特殊講義a
 Topics on Japanese Early Modern Literature a
 担当教員:山本 陽史(YAMAMOTO Harufumi)
 担当教員の所属:山形大学
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
〈国際化の中の奥の細道〉 松尾芭蕉の『奥の細道』は江戸時代元禄2(1689)年の東北・北陸の旅を元にして書かれた紀行文です。日本文学の代表作の一つとして海外でも広く読まれています。海外の人に東北地方の歴史と文化を広く理解してもらうためには、私たちが芭蕉・俳文学・『おくのほそ道』について知ることが大事です。加えて、異文化の人々に日本文化を伝えるためには何に留意すべきかを知ることも重要です。

【授業の到達目標】
1)俳文学・芭蕉・『おくのほそ道』についての基本的な知識を持ち、解説ができる。【知識・理解】
2)東北地方の歴史と文化についての解説ができる。【知識・理解】
3)文学・文化を異なる言語・文化背景を持つ人びとに説明できる。【技能】
4)俳句や東北の文化を海外に発信するための方策を提案できる。【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
松尾芭蕉,奥の細道,俳諧,みちのく,国際化,ドナルド・キーン

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
日本学主専攻プログラムの設置科目の一つで江戸時代の日本文学の様相を深く知る講義です。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
11.住み続けられるまちづくりを

【授業計画】
・授業の方法
まず俳文学・松尾芭蕉についての知識を整理し、その後『奥の細道』を、芭蕉に同行した門人河合曽良の旅日記と比較しつつ読み、旅の実態を知るとともに、芭蕉がいかなる意図で、どのようにしてこの作品を作り上げていったのかを分析します。また、ドナルド・キーン、ドロシー・ブリトンによる2種類の英訳も分析していきます。授業の後半からは『おくのほそ道』に関するテーマを各自で設定し、発表してもらいます。
・日程
1.俳文学とは 2.芭蕉とは 3.奥の細道の旅の概要 4~7 『奥の細道』を曽良日記、英訳本と対照しつつ読み、解説を加える 8~15 講義に加え学生による発表 ※コロナウイルスの蔓延状況によっては適宜ウェブクラスやzoomによるオンデマンド授業を併用する可能性があります。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
『奥の細道』はすでに習ったことのある親しみやすい文献ですが、実際の旅との比較、国際化という視点で考えると新しい発見があると思います。作品の主な舞台となった山形で学ぶという機会を積極的にとらえ、取り組んでください。
準備学習に必要な時間は1時間/週です。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・予習 ネットにも奥の細道についての情報が文字や画像・動画で豊富に出ています。コロナの状況により現地に出向くことが難しい場合でもネットで情報収集を行うとたくさんの知識がつきます(信頼できるサイトは授業中に紹介します)。
・復習 発表でダメ出しされた点について発表者だけでなく聞いていた人も補充の調査を行ってください。

【成績の評価】
・基準
発表と最終レポートを課し、知識の修得・理解の度合い・汎用的技能(情報収集能力、分析能力)・参加の度合い(自身の発表と他の発表に対する質疑応答など)、これら4項目について判定し、その合計点を用いて判定します。基準は以下の通りです。1)俳文学と芭蕉についての基本的な知識が備わったか 2)『奥の細道』の句文を読解できているか 3)曽良日記との比較により、旅の体験が文学作品へと消化していく過程が理解できたか 4)異文化の言語への翻訳する際の留意点が理解できているか
・方法
1)発表 40% 2)最終レポート 60%

【テキスト・参考書】
テキスト:潁原退蔵・尾形仂『新版おくのほそ道 現代語訳/曾良随行日記付き』 (角川ソフィア文庫) 角川書店 2003 ISBN-13: 978-4044010041 ¥821 ※電子書籍版もあり
参考書:『芭蕉自筆 奥の細道』 (岩波文庫) 岩波書店 2017 ISBN-13: 978-4003510247 \1,048
・松尾芭蕉・ドナルド・キーン『英文収録 おくのほそ道』 (講談社学術文庫) 講談社  2007 ISBN-13: 978-4061598140 ¥821 ※電子書籍もあり

【その他】
・学生へのメッセージ
グローバル化が進んだ現代では、日本文学も日本人だけの文化資産ではなく、世界の人と共有していく時代が来ました。特に俳句は世界的に注目されている文芸形式ですし、『王の細道』は東北を海外に発信する上で重要なツールです。日本文学を代表する古典である『奥の細道』の本質を理解し、日本文化を海外へ発信するための方法論を身につけましょう。
・オフィス・アワー
研究室で面談、あるいはオンラインで質問・相談を行います。出張が多いため固定した時間を設けるのが難しいため、電子メールで事前に日程を調整します。

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