【授業の目的】
中国と日本では古代から人々の理想とする風景を描き出すことに重きがおかれてきました。時代が下がるにつれて、現実に忠実に描く傾向が強まりますが、それでも、写実と異なる部分があり、それらを分析することによって、当時の人々が風景に何を見てきたのかがわかります。この授業では風景画を通して、日本美術の特質について学びます。
【授業の到達目標】
風景画は発注者と受容者の関係および社会的背景の変化により、各々の時代に特徴が見られる。風景画がどのような歴史的変化をたどり、その要因は何かを理解し、風景画に託された多様な祈りや願いを読み解けるようになることを目的とする。
【授業概要(キーワード)】
山水画 歌枕 名所絵 参詣曼荼羅 真景図 実景山水画
【科目の位置付け】
この授業は、文化的諸問題について日本美術史の観点から論理的に分析し、解決策を提案する力を身につけるために編成される科目である(人文社会科学部人文社会科学科人間文化コースのカリキュラム・ポリシー)。
【授業計画】
・授業の方法
毎回、現存する絵画を取り上げてその画像をスクリーンに投影しながら、作品から読み取れることを説明していきます。
・日程
以下の流れにそって、講義をおこないます。 1.ガイダンス 2.中国の山水画(隋・唐~宋) 3.中国の山水画(元~明) 4.和歌と屏風(平安時代) 5.描かれた聖地(鎌倉時代) 6.雪舟筆「天橋立図」(室町時代) 7.日月山水図屏風(室町時代) 8.洛中洛外図屏風(戦国時代) 9.松島図屏風(江戸時代) 10.真景図(江戸時代) 11.北斎と広重(江戸時代) 12.司馬江漢と亜欧堂田善(江戸時代) 13.鳥観図(江戸時代) 14.風景画の視点 15.まとめと試験
※進捗状況により一部内容を変更する場合があります。
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
毎回、パワーポイントで作品の画像と関連資料を提示しながら、風景画に見られる制作者の視点について論じてゆきます。配布資料に記載されているのはあくまでポイントであり、自分なりの理解を深めるためにノートをとるよう心がけてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
準備学修に必要な学習時間の目安は以下のとおりです。 2時間/週 各回授業において、授業計画で提示した絵画を取り上げます。所蔵する博物館がインターネットなどで画像を公開していますから、事前に見ておくことが望ましいです。受講後にもまた画像を見て講義内容を振り返るようにしましょう。
【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した、風景画は発注者と受容者の関係および社会的背景の変化により、各々の時代に特徴が見られる。風景画がどのような歴史的変化をたどり、その要因は何かを理解し、風景画に託された多様な祈りや願いを自分の言葉で説明できることを合格の基準とします。
・方法
授業期間内で紹介した作品に関するレポート(50点)、期末に実施する筆記試験(50点)で評価します。
【テキスト・参考書】
テキストはとくに指定しません。教員が作成した資料を配布します。
【その他】
・学生へのメッセージ
日本美術史の特質を、風景画という切り口で中国と比較しつつ、見ていくことによって、美術史的なものの見方を身につけることができます。
・オフィス・アワー
月曜日10:30-12:00 その他の時間は事前に連絡をください。(koto-s@kdw.kj.yamagata-u.ac.jp)
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