芸術文化特殊講義b
 Topics on Art Culture (b)
 担当教員:石澤 靖典(ISHIZAWA Yasunori)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
「イタリア・ルネサンス美術の宗教性」
15~16世紀のイタリア・ルネサンス芸術は一般に、中世ヨーロッパのキリスト教的世界観に対して古代ギリシャ・ローマの「異教」文化が復活、流入したことにより成立したといわれます。たしかにこの時代の絵画や彫刻あるいは文学に多くの古代モチーフが現れることは事実です。しかし一方で当時のイタリア、とくにローマの教皇庁が、ヴァチカンを中心とする強力なキリスト教国家体制を新たに再編成しようとしていたことも無視できません。いわばキリスト教と異教が対立と融和をくり返し、一進一退の展開を見せるなかで少しずつ中世からの脱却が図られたのがこの時代といえます。この講義ではこうした美術と宗教のかかわりを代表的な美術家の作例のみならず、同時代の思想や社会の動きを見据えながら考察します。

【授業の到達目標】
美術作品を概念や言葉で分析することができるようになります。また芸術が社会や思想とどのように結び付くかを知ることで、文化を学問的に考察するための基礎力を身につけることができます。

【授業概要(キーワード)】
ルネサンス イタリア キリスト教 宗教画 ギリシャ・ローマ神話 人文主義 詩想 ペスト 宗教改革 祭壇画 世俗画 祈念画

【科目の位置付け】
この授業は、芸術の諸問題について美術史学の観点から論理的に分析し、解決策を提案する力を身につけるために編成される科目である(人文社会科学部人文社会科学科人間文化コースのカリキュラム・ポリシー)。

【授業計画】
・授業の方法
基本的に一回の講義につき、イタリア・ルネサンスにまつわる重要なテーマを一つ取り上げます。講義はスライドを見ながら話を進めます。
・日程
以下の流れにそって、講義をおこないます。
1.ガイダンス
2.「ギリシャ様式(マニエラ・グレカ)」とチマブーエ
3.宗教図像におけるジョットの革新
4.ジョッテスキと「ペスト後のイタリア絵画」の問題
5.人文主義と古代復興
6.聖なる空間と世俗の空間
7.絵画における詩想 -ダンテとペトラルカ
8.ルネサンスにおける芸術と科学
9.サヴォナローラの宗教改革と「サン・マルコ派」
10.芸術とパトロージ ― レオナルド・ダ・ヴィンチとラファエッロ
11.ミケランジェロの聖書解釈
12.ヴェネツィアの祭壇画
13.盛期ルネサンスの芸術論
14.宮廷と美術
15.まとめ―「マニエラ」の時代へ

※進捗状況により順番および一部内容を変更する場合があります。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
毎回、スライドで作品を提示しながら問題点を論じてゆきます。配布資料にはスライドで表示される内容のすべてが記載されているわけではないので、自分なりに要点をまとめノートをとるよう心がけてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
特に毎回の予習は必要ありませんが、大まかにでもルネサンス期の世界史の流れについて押さえておくとよいでしょう。講義で取り上げる作品以外にも多くの優れた作例がありますから、自主的に美術全集などを見るよう心がけましょう。

【成績の評価】
・基準
授業への取り組み(平常点)と期末試験により、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いを判定します。基準は、1) 美術作品の分析や理解に必要な視点や概念を把握している、2)美術作品の社会的役割と宗教との関係性を理解している、の二点です。
・方法
出席状況(30%)、筆記試験(70%)

【テキスト・参考書】
とくに指定しません。毎回、参考資料を配布します。
それぞれのテーマごとに参考文献を授業内で紹介します。

【その他】
・オフィス・アワー
金曜日16:20-17:50 (その他在室時随時)石澤靖典研究室(1号館4階)
メールアドレス:ishizys@human.kj.yamagata-u.ac.jp

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