極東地域論
 Far East Area Studies
 担当教員:天野 尚樹(AMANO Naoki)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
1)「感染症と近代日本」をテーマとする。主として過去100年の近現代日本史を感染症との関わり方から見直す。それはグローバル化する日本の歴史とパラレルな時代区分である以上、扱う空間は現在の日本の領域に限られることはない。とりわけ北東アジア(日本・中国・朝鮮・モンゴル・ロシア・アメリカ)という空間のなかでの、ひととパワーと病気の移動と接触と展開を考える。
2)感染症に社会がいかに対峙してきたかを歴史の実例をとおして知ることで、いまの、そしてこれからの社会での生き方を考える手がかりを考える。

【授業の到達目標】
この授業を履修した学生は
1)歴史的事例の知識を、コロナ禍の時代への生き方に適用できる。
2)日本社会の感染症対応の歴史を、世界の他の社会の感染症への対応と比較できる。
3)歴史的知識をふまえて、グローバル化の功罪について討議できる。
4)楽観しすぎることなく、不安になりすぎることもなく、絶望も思考停止もせずに、冷静に、理性と良心を信じて、ほがらかに生きていくことができる。

【授業概要(キーワード)】
感染症、COVID-19、コロナ、近代日本、スペイン・インフルエンザ、天然痘、ハンセン病、戦争、帝国、植民地、北東アジア

【科目の位置付け】
この授業は,近代日本の感染症の問題について歴史学と政治学の観点から論理的に分析し,解決策を提案する力を身につけるために編成される科目である(人文社会科学部のカリキュラム・ポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
06.安全な水とトイレを世界中に
07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
10.人や国の不平等をなくそう
13.気候変動に具体的な対策を

【授業計画】
・授業の方法
以下の日程にしたがって講義します。可能な限り対面でおこないたいと思っていますが、状況次第でオンライン(Zoom配信、録画録音でオンデマンド視聴可能)になる可能性も十分あります。授業形式についてはWebclassで通知するので確認を欠かさないでください。
 配布資料はWebclassでの配信を原則とし、教室での配布はなるべく避けるつもりです。
 感染症拡大の状況次第で授業内容に変更もありえます。
・日程
第1回:ガイダンス
第2回:はじまりの武漢を想起する
第3回:方方『武漢日記』を読む
第4回:総力戦とパンデミック:スペイン・インフルエンザ (1)
第5回:田舎のパンデミック:スペイン・インフルエンザ (2)
第6回:西班牙風邪と日本社会:スペイン・インフルエンザ (3)
第7回:『流行性感冒』を読む:スペイン・インフルエンザ (4)
第8回:「無癩県運動」の「論理」:近代日本とハンセン病 (1)
第9回:「公共の福祉」のための排除:近代日本とハンセン病 (2)
第10回:『小鳥の春』を読む:近代日本とハンセン病 (3)
第11回:国際保健協力:帝国・冷戦・天然痘
第12回:「水際対策」という政治の罠:新型インフルエンザと境界研究
第13回:コロナ時代の人文社会科学:COVID-19の政治学 (1)
第14回:コロナ時代の国際政治・地政治:COVID-19の政治学 (2)
第15回:まとめ

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
授業で示されるパワーポイントを参考に講義内容をノートに筆記するなどして内容の理解に努めてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
単位制度の実質化のため,授業外における以下の予習・復習等の自主的な学修に取り組んでください。
1)準備学修に必要な学修時間の目安は以下のとおりです。
  1時間/週  
2)授業で習った内容に関連することを自ら図書館やインターネットで自分なりに調べて,理解を深める努力が不可欠です。また図書館やインターネットを活用し情報収集や配布資料の事前学習を行い,自分の考えをまとめておくことを推奨します。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した感染症と近代日本に関わる諸問題の基礎的知識が正しく習得できているか、歴史的思考に基づいた問題解決能力が十分身についているかについて学期末のレポートによって判定し、合格の基準とします。
・方法
学期末レポート100点。
学期末に提出する2000字程度のレポートによって、上記基準の到達度を判定し評価します。

【テキスト・参考書】
テキスト:指定しません
参考書:方方『武漢日記』(河出書房新社)、速水融『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』(藤原書店)、藤野豊『ハンセン病と戦後民主主義』(岩波書店)、美馬達哉『感染症社会』(人文書院)など、その他授業中に紹介します。

【その他】
・学生へのメッセージ
ぼくが知りたいことは、みなさんも知りたいはず。答えはみつからないかもしれません。でも、学び、悩み、考え続けましょう、いっしょに。
・オフィス・アワー
学生からの質問・相談を受け付けるオフィス・アワーは火曜日の12時10分から12時50分です。人文社会科学部1号館の天野研究室までおいでください。その他の時間でも在室時なら随時受け付けます。また、Webclassやメールでの質問・問い合わせはいつでも歓迎します。

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