英語学概論
 Introduction to English Linguistics
 担当教員:富澤 直人(TOMIZAWA Naoto)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 英語の文法をより深く理解することを目的として、①音声学・音韻論、②形態論、③統語論、④意味論、⑤英語の歴史、⑥言語習得理論の6分野を概観し、深い理解に有効な基礎概念と分析手法を学習するとともに、いろいろな文章の読み聞きを通して学習内容の実践展開を行います。

【授業の到達目標】
(1) 英語表現の適否を、文法に則って、指摘・説明できる。【知識・理解】
(2) 難解と感じる英語表現に対して、文法に基づいた分析・理解を試みることができる。【技能】
(3) 文法を踏まえた英語表現作りが実践できる。【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
英文法、音声学、音韻論、形態論、統語論、意味論、英語史、言語習得理論

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
英語の文法・用法について、言語学・日英対照統語論の観点から論理的に分析し、判断力・応用力を身に付ける科目の位置付け。(人文社会科学部人文社会科学科グローバルのカリキュラムポリシー)

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
 講義形式の授業です。教員が準備するハンドアウト(講義資料)に基づいて、トピックごとに実例や用法等を見ながら、基礎的な概念と分析法を考察します。
・日程
 おおむね次の予定で授業を進めます:
1: イントロ〔文法研究の目的〕;音のルール1〔母語の体系、子音の体系、過去形接尾辞-edの発音ルール〕
2: 音のルール2〔音節、聞こえ度sonorityの尺度に基づく音節の数えあげ〕
3: 音のルール3〔音節の構造、分綴、強勢移動)
4: 語形成のルール1〔屈折形態論・派生形態論・複合語、内心構造、右側主要部規則〕
5: 語形成のルール2〔派生形態論での意味の継承の考察:動詞由来名詞を主要部とする構文〕
6: 語形成のルール3〔自他同型動詞の考察:grow/growthの意味範囲の違い、ゼロ派生〕
7: 統語のルール1〔文の内部構造の考察:do so置換、動詞句移動、動詞句削除〕
8: 統語のルール2〔移動現象の考察:移動元の確定、wanna縮約の可否、移動に課される制約〕
9: 統語のルール3〔移動に課される制約(複合名詞句制約など)、英語と日本語の相違〕
10: 意味のルール1〔再帰形・相互形と先行詞の指示関係の考察:統語構造に基づく束縛関係〕
11: 意味のルール2〔不定詞の意味上の主語の考察:promise/persuade、appeal/appearなど)
12: 英語の歴史と多様性1〔英語史(古英語、中英語、近代英語)、語順、助動詞doの出現〕
13: 英語の歴史と多様性2〔現代英語の使用地域、多様性、ピジン・クレオール〕
14: 言語習得理論1〔普遍文法、母語獲得モデル、第二言語習得モデル〕
15: 言語習得理論2〔脳の構造、失語症〕;まとめ〔基礎概念と分析手法〕;定期試験

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
 英語の諸側面の文法特性を資料と板書により説明しますので、その文法現象とその背後にあるルールとの相関を理解するよう努めてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 宿題/課題をほぼ毎回設定して授業内容の復習/予習の材料としています。毎回、宿題/課題を含めた復習/予習をおよを1~2時間を目安にして行ってください。
(予習)毎回の授業内容に継続性があり、前回までの授業内容のうえに次の授業内容が成り立つ関係にあるので、前回の授業内容を確認して授業に臨むことが大切です。また、宿題(授業内容確認)と課題(応用問題)を設けますので、取り組んだうえで授業に臨んでください。
(復習)授業内容を再確認してください。疑問点などは翌授業時に質問するなどして早い段階で解決しましょう。

【成績の評価】
・基準
 知識の習得の度合い、理解の度合い、汎用的技能の度合い、主体的参加の度合いの4点について、授業内容に関する宿題(内容理解)と課題(応用問題)、および、期末試験により、評価を行います。
基準は次の通り:知識〔基本的概念を習得したか〕、理解〔授業で取り上げた事例を分析・判断できるか〕、汎用的技能〔実際の用例において分析・判断できるか〕、主体的参加〔応用問題に応用できるか〕。
・方法
宿題(25点)、課題(25点)、期末試験(50点)の合計による。
なお、出席が10回以下の場合、60点未満の成績になります。

【テキスト・参考書】
テキストなし。毎回、ハンドアウトを配付します。
参考文献は、順次、ハンドアウトに掲載します。
・牧野武彦(2005)『日本人のための英語音声学レッスン』大修館書店.
・Liliane Haegeman and Jacqueline Gueron (1998) English grammar: A generative perspective, Wiley-Blackwell.
・Andrew Radford(著)(2016)、金子義明・島越郎(監訳)(2020)『英語構文を分析する』(上・下)開拓社.
・中尾俊夫・寺島廸子(1988)『図説英語詩入門』大修館書店.
・Lydia White (2003) Second language acquisition and Universal Grammar, Cambridge University Press.
・原口庄輔・中村捷・金子義明(編)(2016)『増補版チョムスキー理論辞典』研究社.

【その他】
・学生へのメッセージ
各回の授業内容には連続性があり、既習の内容を前提として次の内容が成り立ちますので、復習は重要な要素です。
・オフィス・アワー
年間を通して、火曜日16:30-17:50@富澤研究室(人文社会科学部1号館4階)

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