フランス文化論
 French Culture
 担当教員:合田 陽祐(GODA Yosuke)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年(2年)  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
今年度のテーマは、知識人で考えるグローバル社会です。
「知識人」という言葉にどのようなイメージを持っていますか? この名詞が十九世紀末にフランスで誕生したとき、そこには否定的なニュアンスが含まれていました。その後も十分な定義がなされぬまま、この語は一人歩きしてきた感があります。
それまでどこか遠い存在であった知識人の役割を、「マイノリティの代弁者」という形で明確化し、その存在意義をわかりやすく解説したのが、本講義で取りあげるエドワード・サイードの『知識人とは何か』です。自身もアメリカの代表的知識人であったサイードは、この講演録で、知識人と呼ばれる者が実践すべきモラル(倫理)を説いています。そしてこのモラルは、まさにわたしたちがグローバル人として生きるために必須のものでもあります。
サイードの議論や欧米の知識人論を確認しながら、わたしたち自身が、今後グローバル社会とどう向き合うべきかを共に考えてみましょう。

【授業の到達目標】
学生はこの講義を履修することで、
1. グローバル・スタディーズの中心的な課題を理解することができる。
2. レポートや卒論に不可欠な「論理的思考」の初歩を身につけられる。
3. グローバル社会の諸問題に関心をもち、その基礎知識を獲得できる。

【授業概要(キーワード)】
グローバル・スタディーズ(再)入門、世界の知識人、ポリティカル・コレクトネスを超えて、権力批判、知識人の社会参加、国際文化とは何か

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:26~50%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この授業は、欧米の社会や文化や歴史にかんするテキストやイメージを用いて、グローバル文化学の観点から問題を論理的に分析し、整理する力を身につけるべく編成されている科目である。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
10.人や国の不平等をなくそう
16.平和と公正をすべての人に

【授業計画】
・授業の方法
教科書の内容にそって授業を進めます。他に補足プリントも配布し、教員が教科書の記述にコメントを入れていきます。学生が簡単な調べものをして、それについての短い発表を担当することがあります。
・日程
第1-2回 導入:知識人とは誰か
第3-4回 知識人の表象
第5-6回 国家と伝統から離れて
第7-8回 知的亡命 故国喪失者と周辺的存在
第9-10回 専門家とアマチュア
第11-12回 権力に対して真実を語る
第13-14回 いつも失敗する神々
第15回 総括:知識人の精神的継承

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
配布プリントに目をとおし、重要事項をノートしてください。授業中の居眠りは慎んでください。授業ごとにコメントペーパーを用いた質問タイムを設けます。双方向対話型の授業を目指します。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
授業で取りあげる教科書の範囲をあらかじめ読んできてください(分量は多くありません)。質問や感想がある場合は、授業の前後や、研究室でも受け付けています。

【成績の評価】
・基準
到達目標に掲げた3つの達成度については、期末レポートとコメントペーパーで判断します。
・方法
授業への参加度とコメントペーパー(20%)、学期末提出の2000字のレポート(80%)の3つに基づいて総合的に評価します。
レポートの内容は、(1)関連文献を読んでいるか、(2)正しく引用を行えているか、(3)主張にある程度の説得性があるか、の3点から判断します。

【テキスト・参考書】
教科書:エドワード・サイード『知識人とは何か』、平凡社ライブラリー、1998年(左記の教科書は購入してください。定価924円)。
参考書:石崎晴巳・立花英裕(編)『21世紀の知識人 フランス、東アジア、そして世界』、藤原書店、2009年
ジャン=ポール・サルトル『文学とは何か』、人文書院、1998年
ミシェル・フーコー『フーコー・コレクション〈4〉権力・監禁』、ちくま学芸文庫、2006年
フランス語の本としては、次がもっとも大系的です(授業で内容を紹介するので、学生は読む必要はありません)。
Christophe Charle, Laurent Jeanpierre, La Vie intellectuelle en France, t. I-III, Editions du Seuil, coll. Points/Histoire, 2016.
*その他の文献はWebClass で示します。

【その他】
・学生へのメッセージ
わかりやすい講義を心がけています。受講にあたりフランス語や英語その他専門的な知識は必要ありません。英語圏の知識人も取りあげます(2年生は登録前に履修条件を要確認)。
・オフィス・アワー
初回の授業で指示します(研究室は人文社会科学部棟3号館6階)。メールアドレス:y.goda@human.kj.yamagata-u.ac.jp

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