英語学特殊講義b
 Topics on English Linguistics (b)
 担当教員:富澤 直人(TOMIZAWA Naoto)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 英語ということばを研究の対象とするのが英語学という研究分野ですが、その中でも統語論に焦点をあて、英語の主要な10構文(動詞的受け身、形容詞的受け身、strike/impress…as…構文、上昇構文、tough構文、疑問詞疑問文、関係節、不定詞の形容詞的用法、分裂文、比較構文)を考察し、その文法的特性の再確認と新たな学習を行います。
 これら諸構文に横断的に成立している根源的な文法特性を掴んで、英文法を(無作為な文法事項の羅列として見るのではなく)体系的に見て実際の運用に生かせる力を身につけることが真のテーマです。この過程で、日本語の対応構文を比較対照的に考察することで、英語と日本語の対応関係とそのズレを体系的に学習します。

【授業の到達目標】
(1) 英語表現の適否を、文法に則って、指摘・説明できる。【知識・理解】
(2) 難解と感じる英語表現に対して、文法に基づいた分析・理解を試みることができる。【技能】
(3) 文法を踏まえた英語表現作りが実践できる。【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
英文法、統語論、日英対照言語学

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:26~50%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
英語の文法・用法について、言語学・日英対照統語論の観点から論理的に分析し、判断力・応用力を身に付ける科目の位置付け。(人文社会科学部人文社会科学科グローバルのカリキュラムポリシー)

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
 講義形式の授業です。教員が準備するハンドアウト(講義資料)に基づいて、トピックごとに実例や用法等を見ながら、基礎的な概念と分析法を考察します。
・日程
1: イントロ(統語論とは、統語論の目的);受け身文の分析1(基本的な規則の再確認)
2: 受け身文の分析2(動詞の意味タイプの考察: arrive atなどやelieve/considerなど)
3: 受け身文の分析3(英語と日本語の比較対照: 直接受け身と間接受け身の違いと仕組み)
4: 受け身文の分析4(英語の受け身文: 動詞的受け身と形容詞的受身の違いと仕組み)
5: 主語への移動構文1(strike/impress…as…構文の考察:虚辞や再帰形の分布)
6: 主語への移動構文2(seem/appear等の上昇構文の考察:虚辞や再帰形の分布)
7: 主語への移動構文3(tough/easy等の不定詞構文の考察:虚辞や再帰形の分布)
8: 疑問詞疑問文の分析(文法的な要因によって疑問詞疑問文が不可能になる環境を整理する)
9: 関係節の考察1(下接条件、that痕跡効果の欠如)
10: 関係節の考察2(不定詞の形容詞的用法を不定詞関係節という視点から分析する)
11: 分裂文と擬似分裂文の分析(下接条件からの考察)
12: 比較構文の分析(下接条件からの考察)
13: 英語と日本語の対照分析1(関係節:主部外在関係節と主部内在関係節)
14: 英語と日本語の対照分析2(擬似分裂文、比較構文、疑問詞疑問文に見られる英語と日本語のズレ)
15: まとめ(英語の移動現象の特性、日本語との共通点・相違点);定期試験

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
英語の諸側面の文法特性を資料と板書により説明しますので、その文法現象とその背後にあるルールとの相関を理解するよう努めてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 宿題/課題をほぼ毎回設定して授業内容の復習/予習の材料としています。毎回、宿題/課題を含めた復習/予習をおよを1~2時間を目安にして行ってください。
(予習)毎回の授業内容に継続性があり、前回までの授業内容のうえに次の授業内容が成り立つ関係にあるので、前回の授業内容を確認して授業に臨むことが大切です。また、宿題(授業内容確認)と課題(応用問題)を設けますので、取り組んだうえで授業に臨んでください。
(復習)授業内容を再確認してください。疑問点などは翌授業時に質問するなどして早い段階で解決しましょう。

【成績の評価】
・基準
 知識の習得の度合い、理解の度合い、汎用的技能の度合い、主体的参加の度合いの4点について、授業内容に関する宿題と課題、および、期末試験により、評価を行います。
 基準は次の通り:知識〔基本的概念を習得したか〕、理解〔授業で取り上げた事例を分析・判断できるか〕、汎用的技能〔実際の用例において分析・判断できるか〕、主体的参加〔応用問題に応用できるか〕。
・方法
宿題(25点)、課題(25点)、期末試験(50点)の合計による。
なお、出席が10回以下の場合、60点未満の成績になります。

【テキスト・参考書】
テキストなし。毎回、ハンドアウトを配付する。
参考文献は、順次、ハンドアウトに掲載する。
・Liliane Haegeman (1991) Introduction to Government and Binding Theory, Blackwell.
・Liliane Haegeman and Jacuqeline Gueron (1998) English Grammar: A Generative Perspective, Blackwell.
・Andrew Radford(著)(2016)、金子義明・島越郎(監訳)(2020)『英語構文を分析する』(上・下)開拓社.
・原口庄輔・中村捷・金子義明(編)(2016)『増補版チョムスキー理論辞典』研究社.

【その他】
・学生へのメッセージ
各回の授業内容には連続性があり、既習の内容を前提として次の内容が成り立ちますので、復習は重要な要素です。
・オフィス・アワー
年間を通して、火曜日16:30-17:50@富澤研究室(人文社会科学部1号館4階)

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