【授業の目的】
私法分野への入門科目であるこの授業では、私法の一般法としての民法について、その全体像を概観すると共に今後の民法学習に備え基礎的概念を説明する。また私法分野を素材に法解釈や判例の役割についての基本的理解を深めていく。これらを通じて民法の全体像を把握し、今後の民法学習の基礎を築くことを目的とする。
【授業の到達目標】
私法の特徴及び民法の全体像について説明できる。民法分野の基本的判例の意義について調べることができる。民法学習において知っておくべき基礎知識を身につける。
【授業概要(キーワード)】
市民、私法、民事法、民法、民法総則、私的自治
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は、現代社会で活躍するために必要な知識と教養を身につけ、法学分野の高度な専門知を獲得するための科目である。
【授業計画】
・授業の方法
講義形式で行うが受講生との応答も多用する。論点提示や参考文献紹介のためのレジュメをWeb Classにアップロードする。
・日程
各回著名な判例を素材に概ね以下の通りに進行する。ただし、受講生の興味関心に応じて適宜変更する可能性がある。 1.イントロダクション:私法の全体像 2.お隣さんとの「紛争」 ―隣人訴訟 3.民法とはどんなシステムか? ―宇奈月温泉事件 4.いつから「人」?、いつまで「人」? ―阪神電鉄事件 5.殺人依頼契約は有効か? ―酌婦前借金事件 6.経済学は民法と無縁なのか?:効率性と公平性 7.「悪法も法」なのか? ―制限超過利息返還請求事件 8.民法と憲法のつながりとは? ―自衛官合祀事件 9.民法は「障碍者」をどう支えるのか? :成年後見制度 10.「愛こそすべて」なのか?:家族の法(1) 11.「生みの親より育ての親」なのか?:家族の法(2) 12.「全ての道はローマに通ず」?:歴史の中の民法 13.授業全体のまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
ノートをとりながら受講する。 Web Classを活用し、疑問点を積極的に質問する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
ノートをまとめ直し、授業内容を振り返ること。毎回の予習・復習問題には必ず取り組むこと。法律の条文が出てきた際には必ず『六法』によって内容を確認すること。専門用語については『法律学小辞典』(有斐閣)等の参照が有益である。
【成績の評価】
・基準
私法の特徴及び民法の全体像について説明できること、民法分野の基本的判例の意義について調べることができること、民法学習において知っておくべき基礎知識を身につけること、が合格の基準である。
・方法
期末試験(60%)、授業への主体的な参加度合い(40%)。ただし、受講生の人数に応じて変更する可能性がある。
【テキスト・参考書】
テキストは使用しない。『六法』を持参すること(小型のもので構わない)。
参考書:山本敬三『民法の基礎から学ぶ民法改正』2017年、岩波書店。大村敦志『新基本民法1 総則編〔第2版〕』2019年、有斐閣。同『広がる民法1』2017年、有斐閣。原田昌和・寺川永・吉永一行『民法総則〔補訂版〕』2018年、日本評論社、道垣内弘人『リーガルベイシス民法入門〔第3版〕』2019年、日本経済新聞出版社。
我妻榮(遠藤浩・川井健補訂)『民法案内1 私法の道しるべ 〔第2版〕』2013年、勁草書房。我妻榮『法律における理屈と人情』1955年、日本評論社。
【その他】
・学生へのメッセージ
参考書に掲げた書籍のいずれかに挑戦してみるとよいでしょう。薄いものでもよいので、何かを一冊通読してみると格段に民法への理解度が高まるはずです。我妻榮(1897年~1973年、米沢出身)の名著もおススメです。
・オフィス・アワー
火曜日10:30~12:00(これ以外でも研究室在室中は随時可能)/人文2号館3階、池田(弘)研究室。
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