行政法2
 Administrative Law 2
 担当教員:和泉田 保一(IZUMIDA Yasuichi)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科総合法律コース
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):教員は地方自治体の行政職経験者であり、関連事例を経験に基づいて取り
扱い、法律と現実の行政現場の架橋を試みる
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
≪行政作用法総論(後半)・・・行政関係法令に共通する基本理念・概念≫
行政法を学習するに当たり、学生諸君は、「行政法」という名の法律が存在しないこと、その代わりに膨大な行政関係法令が存在することに当惑されるであろう。行政法1および2のねらいは、一般には馴染みの薄い行政法について、どのような局面で行政法特有の考え方が関わってくるのかについて理解し、その研究のための手がかりを得ることにあるが、本講では、行政作用法の全体像を把握し、紛争事例を扱う救済法の習得のための前提となる知識を獲得することを目標とする。
具体的には、行政行為の瑕疵や裁量、行政契約、行政指導、そして、行政の手段・制度等について順次履修し、行政法とは何か、行政関係法令に共通する原理原則があるとすればどのようなものであり、民事法や刑事法とどのように異なるのか等について概観してゆく。

【授業の到達目標】
(1)行政行為とその他の行政活動形式(行政契約や行政指導等)の定義、性質、課題について理解し、それらの差異を比較できる。
(2)行政の現場において諸行政活動形式がどのように用いられているか、それぞれにおいてどのような問題があるのか述べることができる。
(3)行政機関情報公開・個人情報保護の制度について理解し、自ら活用できる。

【授業概要(キーワード)】
行政の行為形式、行政裁量、情報公開・個人情報保護、行政上の義務履行確保

【科目の位置付け】
 本講は、法律学分野の高度な「専門知」を獲得し、多様な場面で応用可能な法的知識とその運用能力を養うための、専門基礎科目(人文社会科学部のカリキュラム・ポリシー)に位置付けられる。
本講を受講する前に、憲法および行政法1を受講しておくことが望ましい。また、本講を受講することが、行政法3、4を受講する前提となる。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
11.住み続けられるまちづくりを

【授業計画】
・授業の方法
 基本的にテキストを使用して講義形式で行い、必要に応じてプリント・資料を配布する。また、小テストまたはレポート兼アンケートを複数回実施し、理解度を確認するとともに、授業内容・方法についての問題点・要望を問い、フィードバックに利用する。
・日程
1.行政の作用
(1)行政行為(行政行為の発生と消滅、瑕疵、裁量)
(2)行政契約
(3)行政指導
(4)行政計画
2.行政の手段・制度
(1)行政調査・情報収集制度
(2)情報の管理・公開・保護制度
(3)義務履行確保制度
(4)即時強制

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
行政関係法令が対象とするのは大部分が日常的具体的な事項についてであるが、一方でそれら法令は、憲法の定める基本的価値を具体化するものであるともいわれる。そこで、受講にあたっては、常にこの図式を意識し、題材として取り扱う個々の法令や制度と憲法上の原理原則とを照らし合わせながら聴講するよう努めてほしい。
なお、六法(最低限、ポケットまたはコンパクト六法)を持参すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 本科目では、特に課題は課しません。しかし、通例、法律学は授業だけでは理解できません。また、単位制度の実質化のため、授業外において、
自主的に、以下の予習・復習等の学修に取組んでください。
1)準備学習として、事前にテキストを読んでおくことが必須である(講義は原則的にテキストの順序通り進める)。また、事前に予告し、参考文
献・判例等を読んでおくよう指示する場合がある。
2)授業内容については、後日、テキストとプリントを読み直して確認しておくこと。
3)小テストは、持ち込み可ですが、1)2)の予習復習をしていることを前提に出題する。期末試験は、2単位分90時間の学修がなされたかど
うかを測るための出題をする。
 準備学修に必要な学修時間の目安は以下のとおり。
1)1回~15回 1時間/週
2、3)1回~15回 3時間/週

【成績の評価】
・基準
 小テスト等と期末試験による。これらは、本学部の定める評価基準(①「主体的な参加の度合い」、②「知識の習得の度合い」、③「理解の度合い」、④「汎用的技能の習得の度合い」)を反映した評点がなされるように作題される。
 具体的には、1)行政行為とその他の行政活動形式の定義、性質、課題について理解し、それらの差異を比較できるか、2)行政の現場において諸行政活動形式がどのように用いられているか、それぞれにおいてどのような問題があるのか述べることができるか、3)行政機関情報公開・個人情報保護の制度について理解し、自ら活用できるか、4)授業に積極的に参加し、教員等と意見交換を行うことができるか、が基準となる。
・方法
 小テスト等(40%)・期末試験(60%)を基本とするが、質問等の授業への積極的な参加は加点要素となる。

【テキスト・参考書】
テキスト
 稲葉馨=人見剛=村上裕章=前田雅子『Legal Quest 行政法(第4版)』有斐閣(2018)
参考書
 稲葉馨『行政法と市民』日本放送出版協会(2006)、塩野宏『行政法Ⅰ(第6版)』有斐閣(2015)、野呂充他『有斐閣ストゥディア 行政法(第2版
)』有斐閣(2020)、櫻井敬子=橋本博之『行政法(第6版)』弘文堂(2019)、高木光=稲葉馨編『ケースブック行政法(第6版)』(2018)、小早川光
郎=宇賀克也=交告尚史編『別冊ジュリスト 行政判例百選Ⅰ・Ⅱ(第7版)』有斐閣(2017)

【その他】
・学生へのメッセージ
 本講は法律学ですが、対象とする事象は行政です。従って、本講を受講することは、法律学に加え、行政の制度に関しても学修することになり、政策問題を扱う入り口でもあります。
・オフィス・アワー
 月曜日 14:40~16:10 和泉田研究室(人社棟3号館(C4)7階703号室)。
 但し、会議や出張等で不在にすることもあるため、確実に面談したい場合は事前に予約することをお勧めします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。

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