行政法3
 Administrative Law 3
 担当教員:和泉田 保一(IZUMIDA Yasuichi)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科総合法律コース
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):教員は地方自治体の行政職経験者であり、関連事例を経験に基づいて取り扱い、法律と現実の行政現場の架橋を試みる
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
≪行政救済法・・・行政活動に対する私人の不服の解消のための諸制度≫
 行政法3、4は、行政活動によって私人が不利益を被る場合の行政上及び司法上の事前事後の手続きに関する法制度を概観し関連判例を読むことにより、行政機関がその活動について私人の救済の観点からどのような法的統制に服しているのかについて理解する。また、逐条的な学説や裁判所の法解釈に触れることにより、法や条文の解釈の方法・技術を身につける。
 そのうち行政法3では、具体的には、行政救済法のうち、行政事件訴訟法を中心として学ぶことにより、行政権限の行使に対する私人の救済手法について理解すると同時に、行政事件訴訟における固有の法的思考方法の一端について理解することを目標とする。
抗告訴訟の後、公法上の当事者訴訟等についても順次履修する。

【授業の到達目標】
(1)行政事件訴訟法所定の各訴訟類型の意義、訴訟要件、勝訴要件について理解し、異同を比較できる。
(2)それら訴訟類型についての重要判例を把握し、裁判を受ける権利の観点からみた課題について指摘することができる。
(3)紛争事例に応じて、どのような訴訟類型を選択することが可能であり、適切であるか、判断することができる。

【授業概要(キーワード)】
取消訴訟、原告適格、当事者訴訟、訴訟類型、訴訟要件

【科目の位置付け】
 本講は、法律学分野の高度な「専門知」を獲得し、多様な場面で応用可能な法的知識とその運用能力を養うための、専門展開科目(人文社会科学部のカリキュラム・ポリシー)に位置付けられる。
本授業を受講する前に、憲法や、行政法1、2を受講しておくことが望ましい。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
11.住み続けられるまちづくりを

【授業計画】
・授業の方法
 基本的にテキストを使用して講義形式で行い、必要に応じてプリント・資料を配布する。また、小テストまたはレポート兼アンケートを複数回実施し、理解度を確認するとともに、授業内容・方法についての問題点・要望を問い、フィードバックに利用する。
・日程
序 ガイダンス、行政救済法の概要
1.抗告訴訟
(1)取消訴訟の訴訟要件
(2)取消訴訟の審理
(3)取消訴訟の判決
2.その他の行政訴訟
3.仮の権利保護

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
 行政関係法令が対象とするのは大部分が日常的具体的な事項についてであるが、一方でそれら法令は、憲法の定める基本的価値を具体化するものであるともいわれる。そこで、受講にあたっては、常にこの図式を意識し、題材として取り扱う個々の法令や制度と憲法上の原理原則とを照らし合わせながら聴講するよう努めてほしい。
なお、六法(最低限、ポケットまたはコンパクト六法)を持参すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 本科目では、特に課題は課しません。しかし、通例、法律学は授業だけでは理解できません。また、単位制度の実質化のため、授業外において、自主的に、以下の予習・復習等の学修に取組んでください。
1)準備学習として、事前にテキストを読んでおくことが必須である(講義は原則的にテキストの順序通り進める)。また、事前に予告し、参考文献・判例等を読んでおくよう指示する場合がある。
2)授業内容については、後日、テキストとプリントを読み直して確認しておくこと。
3)小テストは、持ち込み可ですが、1)2)の予習復習をしていることを前提に出題する。期末試験は、2単位分90時間の学修がなされたかどうかを測るための出題をする。
 準備学修に必要な学修時間の目安は以下のとおり。
1)1回~15回 1時間/週
2、3)1回~15回 3時間/週

【成績の評価】
・基準
 小テスト等と期末試験による。これらは、本学部の定める評価基準(①「主体的な参加の度合い」、②「知識の習得の度合い」、③「理解の度合い」、④「汎用的技能の習得の度合い」)を反映した評点がなされるように作題される。
 具体的には、1)行政事件訴訟法所定の各訴訟類型の意義、訴訟要件、勝訴要件について理解しているか、2)それら訴訟類型についての重要判例を把握し、裁判を受ける権利の観点からみた課題について指摘することができるか、3)紛争事例に応じて、どのような訴訟類型を選択することが可能であり、適切であるか、判断することができるか、4)授業に積極的に参加し、教員等と意見交換を行うことができるか、が基準となる。
・方法
 小テスト等(40%)・期末試験(60%)を基本とするが、質問等の授業への積極的な参加は加点要素となる。

【テキスト・参考書】
 稲葉馨=人見剛=村上裕章=前田雅子『Legal Quest 行政法(第4版)』有斐閣(2018)
参考書
「行政法1」に挙げたものの他、高木光=常岡孝好=橋本博之=櫻井敬子『行政救済法(第2版)』有斐閣(2015)、橋本博之『要説行政訴訟』弘文堂(2006)、宇賀克也『行政法概説Ⅱ(第6版)』有斐閣(2018)、塩野宏『行政法Ⅱ(第6版)』有斐閣(2019)、西埜章『国家補償法概説』勁草書房(2008)

【その他】
・学生へのメッセージ
 本講は法律学ですが、対象とする事象は行政です。従って、本講を受講することは、法律学に加え、行政の制度に関しても学修することになり、政策問題を扱う入り口でもあります。
・オフィス・アワー
 月曜日 14:40~16:10 和泉田研究室(人社棟3号館(C4)7階703号室)。
 但し、会議や出張等で不在にすることもあるため、確実に面談したい場合は事前に予約することをお勧めします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。

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