法哲学2
 Philosophy of Law Ⅱ
 担当教員:池田 弘乃(IKEDA Hirono)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科総合法律コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
法と正義についての哲学的思考とはどのようなものか、それにはいかなる意義があるのかについて概説し、法哲学の基礎的知識を得ることを目的とする。法哲学2では、「不正な法も法か?」という問いを軸として法の概念について様々な考え方を概観する。自然法論と法実証主義の対抗関係や法と道徳の関連性といったトピックを通じて「法とは何か」という問題群への基本的な見通しを得ることを目的とする。また法哲学1を前提に、発展的な課題として法哲学における現代的問題についても幾つかトピックを選定して考察を試みたい。全体を通じて、法に対する柔軟で多角的な考察のための機会を提供したい。

【授業の到達目標】
法の概念について哲学的に考察するための基本的知識を身につける。現代社会の抱える難問について適理的に討議することができる。法に対して柔軟で多角的な考察ができる。

【授業概要(キーワード)】
法の概念、法と道徳、自然法、法実証主義、法の解釈、社会規範、アーキテクチャ

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この授業は、現代社会で活躍するために必要な知識と教養を身につけ、法学分野の高度な専門知を獲得するための科目である。法哲学1を未受講の場合は、現代の正義論についての最も基本的な事項を各自で確認しておくことをお薦めする。

【授業計画】
・授業の方法
講義形式で行う。適宜受講生とのディスカッションを織り交ぜ理解を確認しながら進める。論点提示や参考文献紹介のためにレジュメを配布する。
・日程
初回をイントロダクションにあて、2回目以降は概ね以下のトピックを扱う。

法の概念
1. 悪法問題
2. 法と道徳
3. 現代社会と自然法論
4. 法実証主義
5. 解釈としての法
6. 様々な法
7. 現代的論点

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義の内容を各自ノートにとりながら、論点を把握すること。各トピック毎に問い掛けを事前に提示するので、応答を考えて授業に臨むこと。授業中の発言・リアクションペーパー等を通じて、授業内容に積極的に応答すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
受講ノートを見直し論点をまとめる。疑問点を質問する。授業で紹介する参考文献(映像資料を含む)にあたり、授業内容への理解を深める。授業と関連する国内外のニュースに関心を持ち、授業内容と結びつけて考える習慣をもつ。なお、折に触れて憲法学、政治思想史、公共政策学等との関連性について言及する予定なので各自の学習の参考としてください。

【成績の評価】
・基準
法の概念について哲学的に考察するための基本的知識を身につけたこと、現代社会の抱える難問について適理的に討議することができること、法に対して柔軟で多角的な考察ができること、が合格の基準である。
・方法
期末試験(60%)、課題提出・コメント提出等の形での授業への主体的参加(40%)。ただし、受講生の人数に応じて配分を変えることがあり得る。

【テキスト・参考書】
テキストは使用しない。

参考書〔授業内でも適宜紹介する。図書館に所蔵しているものを中心とするが、仮に所蔵がない場合も教員が所有している場合があるので、遠慮せず問い合わせてほしい。〕
(本授業及び現代の大学を取り巻く情況について)佐藤郁哉『大学改革の迷走』(2019年、筑摩書房)

井上達夫編『現代法哲学講義〔第2版〕』(2018年、信山社)、J.S.ミル『自由論』(翻訳は各種あり)、深田三徳・濱真一郎編『よくわかる法哲学・法思想〔第2版〕』(2015年、ミネルヴァ書房)、瀧川裕英・宇佐美誠・大屋雄裕『法哲学』(2014年、有斐閣)那須耕介・平井亮輔編『レクチャー法哲学』(2020年、法律文化社)。小林史明『法と文学――歴史と可能性の探求』(2020年、勁草書房)、宇佐美誠・児玉聡・井上彰・松元雅和『正義論――ベーシックスからフロンティアまで』(2019年、法律文化社)、森村進『法哲学講義』(2015年、筑摩書房)、中山竜一『二十世紀の法思想』(2000年、岩波書店)、浅野有紀『法多元主義 ―交錯する国家法と非国家法』(2018年、弘文堂)、宇佐美誠編『AIで変わる法と社会』。

【その他】
・学生へのメッセージ
アドルフ・アイヒマンという名前を聞いたことがあるでしょうか。この授業の「重要参考人」の一人です。エイアル・シヴァン監督『スペシャリスト』、ラース・クラウメ監督『アイヒマンを追え!』という二つの映画、それから野口雅弘『忖度と官僚制の政治学』(青土社、2018年)等をご参照いただければ、授業にとってのヒントが得られるでしょう。
・オフィス・アワー
火曜日10:30~12:00(これ以外でも研究室在室中は随時可能)/人文2号館3階、池田(弘)研究室。

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