演習テーマ 「現代社会と正義論」
互いに異なる価値観や考え方を持った人々の共生はいかにして可能か、そのために法制度・法的思考はどのような役割を果たすことができるのか、を考察する。そのために、正義論に関わる基本的な著作を精読し、現代社会で生起する正義に関わる難問を考察していくための基礎的教養を培うことが本演習の目的である。なお言うまでもなく、下記SDGsに関する記述は、本科目と特に「関連している」事項の摘示であり、SDGs自体をどのように考えるかについて、特定の結論が先取りされるものではありえない。また「シラバス」という「和製英語」をめぐる事情については、下記（佐藤2019）を参照のこと。

法哲学の専門文献を読解する基礎的能力を習得すること、法哲学的な考察方法を活用することで社会問題を多面的に検討する能力を高めること、論文や発表において自らの考えを的確に表現できるようになること。

正義論、リベラリズム、法的思考、価値の多元性

C-1．自分の意見をまとめて発表する機会がある。：1～25％
C-2．事前学習（下調べ、調査等含む）をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。：1～25％

この授業は、現代社会で活躍するために必要な知識と教養を身につけ、法学分野の高度な専門知を獲得するための科目である。

01.貧困をなくそう
02.飢餓をゼロに
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
16.平和と公正をすべての人に

正義論に関わる基本的な著作を輪読し、議論することが中心となる。取り扱う著作は下記のテキストのほか、入門的著作や古典的作品も視野に入れつつ参加者と相談して決定する。

前期は毎回、担当者を決めテキストについてレジュメに基づき報告してもらった後、全員で内容について議論する。
後期は、テキストの輪読と受講生の個別報告を並行して行う。個別報告では、各自興味をもつテーマを選定し、法哲学的な考察を加えて発表してもらう。各自のテーマ報告は最終的に卒業論文の執筆へとつながるものである。

文献を熟読し、報告担当である場合はレジュメを作成する。議論に積極的に参加する。

授業内容を振り返り文章としてまとめる。
新聞、テレビ、映画等を通じて様々な社会問題に真摯な姿勢で接し、演習との接点を発見するよう努める。

哲学の専門文献を読解する基礎的能力を習得したかどうか、法哲学的な考察方法を活用することで社会問題を多面的に検討する能力を高めたかどうか、論文や発表において自らの考えを的確に表現できるようになったかどうか、を合格の基準とする。

ゼミでの報告：60％、ゼミでの議論への参加態度：40％ の割合で成績評価を行います。

テキスト：デイヴィッド・ミラー『はじめての政治哲学』（山岡龍一・森達也訳）、岩波現代文庫、2019年、定価1080円＋税。この他にも追加予定。

参考書：佐藤郁哉『大学改革の迷走』（2019年、筑摩書房）、那須耕介・平井亮輔編『レクチャー法哲学』（2020年、法律文化社）、井上達夫『生ける世界の法と哲学　―ある反時代的精神の履歴書』（2020年、信山社）、安藤馨・大屋雄裕『法哲学と法哲学の対話』（2017年、有斐閣）、瀧川裕英編『問いかける法哲学』（2016年、法律文化社）、J.S.ミル『自由論』（関口正司訳ほか邦訳は多数あり）、M．サンデル『これからの「正義」の話をしよう』（2011年、ハヤカワ文庫）

毎回全員の発言を求めます。とはいえ皮相的な「アクティブさ」ではなく、良き友と共に良き書を繙き、事実を踏まえた上で、じっくりと議論していくことを目指したいと思います。

火曜日10：30～12：00（これ以外でも研究室在室中は随時可能）／人文2号館3階、池田（弘）研究室。