地域政策論1
 Regional Policy 1
 担当教員:本多 広樹(HONDA Hiroki)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科地域公共政策コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
これまで,地域はさまざまな政策の影響を受けて変化してきた.その一方で,地域で発生した問題に対処するために新たな政策が考案された事例も数多く存在する.近年では特に地域政策の実施において,行政だけではなく,地域の企業や組織,住民個人といったさまざまな主体が参加することが求められてきている.このように,地域政策と地域との関わりや,政策に関わる主体が多様化しつつある現状を踏まえ,本授業ではさまざまな地域政策の事例から,各地域が持つ課題を解決するためにどのような主体によるどういった取組みが求められているのかを考えることを目的とする.
「地域政策論1」では,まず地域政策を学ぶにあたっての基本的な概念を紹介する.そして,地域のさまざまな活動を維持するための地域政策の事例紹介を通して,各地域の実情に則した地域政策とは何かを考える.

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は,
(1)地域の課題に関心を持つと共に,その課題がどのような地域的背景を元に成立したかを説明できる.【知識・理解】
(2)地域の課題に対し,行政,企業,地域の組織,住民といった各主体がどのような役割を果たしてきたのかについて,事例を元に説明できる.【知識・理解】【技能】
(3)地域の課題に対し,自身なりの解決策を各主体の立場から考えることができる.【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
公共サービス,高齢化,地域活性化

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
本科目は,「専門基礎科目」に属し,地域社会や公共政策に関わる論理的思考力やその運用能力の習得を目指す.特に本科目は,現代社会が抱える問題の調査や分析のために必要となる,地域政策の基本的な要素を習得するために編成される科目である.

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
11.住み続けられるまちづくりを
14.海の豊かさを守ろう

【授業計画】
・授業の方法
授業はパワーポイントを用いた講義を中心とする.また,各回の目次や確認してほしい図表をまとめた配布資料を毎回用意する.配布資料の「キーワード」欄をはじめとした空欄部分は授業中に履修者自身で埋める.
毎回,授業終了間際に小レポートを書く時間を設ける(場合によっては,ライティングディスカッションを実施する).こちらで提示した課題のほか,質問などを記入して提出する.質問に対しては次回の冒頭で可能な限り回答する.
・日程
第1回.ガイダンス 地域政策を学ぶにあたって
第2回.都市の性質(都市,メンタルマップ)
第3回.都市の発達と交通(都市化,交通インパクト)
第4回.都市の機能と構造(都市構造,都心)
第5回.地方制度(政令指定都市,中核市,特例市)
第6回.サービスの供給方法(広域行政,一部事務組合,広域連合,民間委託)
第7回.サービス供給からみた市町村合併(市町村合併,新設合併,編入合併,規模の経済)
第8回.サービスの地域差① 高齢者福祉サービス(地域間格差,地域的公正,施設福祉サービス)
第9回.サービスの地域差② ごみ処理サービス(一般廃棄物,自区内処理の原則,NIMBY)
第10回.サービスの地域差③ 保育サービス(待機児童,保育所,保育ニーズ)
第11回.地域の課題と地域政策① 医療圏と病院の配置 ―茨城県の事例―(医療圏,階層構造)
第12回.地域の課題と地域政策② 除雪政策と各主体の役割 ―長野県飯山市の事例―(除雪,除雪計画,自助・共助・公助,住民組織,飯山市)
第13回.地域の課題と地域政策③ 漁業の維持方策 ―茨城県大洗町の事例―(漁業,直売活動,水産試験場,六次産業化,大洗町)
第14回.地域の課題と地域政策④ 保育園の再開と移住政策 ―長野県伊那市新山地区の事例―(移住,保育園,小学校,伊那市)
第15回.地域政策に関するまとめ

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
毎回WebClassにて資料を配布するが,スライドの配布は行わない.また,スライドの撮影は禁止する.これは,本授業で提示するのはあくまで「一例」であり,最終的には受講者が自身の探した事例で説明できるようになることを目指すためである.そのため,講義内容は必要に応じてノートを取って内容の理解に努めること.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・授業日程2回目以降の()内に示したキーワードについて,新聞記事やニュース,Webサイト等を用いて調べる.その際には,行政や企業,地域の組織や住民といった各主体がどのように関わっているのかに着目する.
・授業で取り扱ったテーマに関し,自分の出身地や訪れたことのある地域では同じことが言えるのか,違う状況がみられるのならばそれは何故かを考えることで,授業で得た知識を地域の課題解決に応用する能力を養うことができる.

【成績の評価】
・基準
各回の小レポートによって「主体的な参加の度合い」と「理解の度合い」を評価する.地域の課題に対する各主体の役割を,事例を通して説明できることを合格の基準とする.
また,期末試験により「知識の習得の度合い」と「汎用的技能習得の度合い(論理的思考力,文章表現力)」を評価する.地域の課題やその背景を説明できること,誰のどのような活動を通してそれを解決していくのが良いのか説明できることを合格の基準とする.
特に,授業で提示した事例ではなく,自分で調査,考察した事例に関する説明を重視する.
・方法
1. 各回で実施する小レポートの内容 3点×15回=45点
2. 期末試験 55点
1,2の合計点で評価を行う.

【テキスト・参考書】
テキストは特に指定せず,各回の配布資料の中で内容に対応した参考書を提示する.
参考書:
神谷浩夫・梶田 真・佐藤正志・栗島英明・美谷 薫編著 2012.『地方行財政の地域的文脈』古今書院.
戸所 隆 2000.『地域政策学入門』古今書院.

【その他】
・学生へのメッセージ
授業を通して地域の問題を自分に身近なものとして捉え,自分ならどのように解決を図るかを考えてみて下さい.
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を本多研究室(人文社会科学部棟2号館3階325)において,火曜日15時から16時に設けます.
会議や出張等で不在にしていることもあるため,確実に面談したい場合は事前にアポイントメントを取ってください.メールアドレスは初回の授業で提示します.
連絡はWebClassのメッセージ機能からでも構いません.

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