【授業の目的】
これまで,地域はさまざまな政策の影響を受けて変化してきた.その一方で,地域で発生した問題に対処するために新たな政策が考案された事例も数多く存在する.近年では特に地域政策の実施において,行政だけではなく,地域の企業や組織,住民個人といったさまざまな主体が参加することが求められてきている.このように,地域政策と地域との関わりや,政策に関わる主体が多様化しつつある現状を踏まえ,本授業ではさまざまな地域政策の事例から,各地域が持つ課題を解決するためにどのような主体によるどういった取組みが求められているのかを考えることを目的とする. 「地域政策論2」では, 都市問題とその対応策の紹介や,近年新たに行われている様々な地域政策を紹介する.特に,先端技術の活用や環境政策を中心に紹介し,将来の地域政策の在り方,各主体の役割について考える.
【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は, (1)地域の課題に関心を持つと共に,その課題がどのような地域的背景を元に成立したかを説明できる.【知識・理解】 (2)地域の課題に対し,行政,企業,地域の組織,住民といった各主体がどのような役割を果たしてきたのかについて,事例を元に説明できる.【知識・理解】【技能】 (3)地域の課題に対し,自身なりの解決策を各主体の立場から考えることができる.【態度・習慣】
【授業概要(キーワード)】
都市,先端技術,環境政策,持続可能な発展
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
本科目は,「専門基礎科目」に属し,地域社会や公共政策に関わる論理的思考力やその運用能力の習得を目指す.特に本科目は,現代社会が抱える問題の調査や分析のために必要となる,地域政策の基本的な要素を習得するために編成される科目である.
【SDGs(持続可能な開発目標)】
07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに 09.産業と技術革新の基盤をつくろう 11.住み続けられるまちづくりを 12.つくる責任つかう責任 13.気候変動に具体的な対策を 17.パートナーシップで目標を達成しよう
【授業計画】
・授業の方法
授業はパワーポイントを用いた講義を中心とする.また,各回の目次や確認してほしい図表をまとめた配布資料を毎回用意する.配布資料の「キーワード」をはじめとした空欄部分は授業中に履修者自身で埋める. 毎回,授業終了間際に小レポートを書く時間を設ける.こちらで提示した課題のほか,質問などを記入して提出する.質問に対しては次回の冒頭で可能な限り回答する.
・日程
第1回.ガイダンス 都市発展政策・環境政策をみるにあたって 第2回.理想的な都市とは?(都市概念,コンパクトシティ,持続可能な発展) 第3回.都市問題と地域政策(インナーシティ,フードデザート) 第4回.コンパクトシティ政策(コンパクトシティ,都市機能,公共交通) 第5回.新たな地域政策① ICT活用政策(ICT,オープンデータ) 第6回.新たな地域政策② 車を持たずに車を使う(カーシェア,超小型モビリティ) 第7回.新たな地域政策③ 災害への対応(ハザードマップ,V2X) 第8回.新たな地域政策④ 既存産業の新展開(水素,風力発電,実証実験) 第9回. 新たな地域政策⑤ 環境配慮と地域の主体(地球温暖化,低炭素社会) 第10回.「スマートシティ」の出現と地域政策への導入(スマートシティ,ICT,ビッグデータ) 第11回.日本の持続可能な都市発展政策(環境モデル都市,環境未来都市,次世代エネルギー・社会システム実証事業) 第12回.先端技術を活用したスマートシティ政策 ―神奈川県横浜市の事例―(太陽光発電,HEMS,電気自動車,実証実験,YSCP) 第13回.次世代自動車を活用した都市発展政策 ―埼玉県さいたま市の事例―(次世代自動車,充電インフラ,出張講座,E-KIZUNA Project) 第14回.環境政策の成果と課題(補助金,数値目標,住民参加,持続可能な発展) 第15回.地域の環境政策に関するまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
毎回WebClassにて資料を配布するが,スライドの配布は行わない.また,スライドの撮影は禁止する.これは,本授業で提示するのはあくまで「一例」であり,最終的には受講者が自身の探した事例で説明できるようになることを目指すためである.そのため,講義内容は必要に応じてノートを取って内容の理解に努めること.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・授業日程2回目以降の()内に示したキーワードについて,新聞記事やニュース,Webサイト等を用いて調べる.その際には,行政や企業,地域の組織や住民といった各主体がどのように関わっているのかに着目する. ・授業で取り扱ったテーマに関し,自分の出身地や訪れたことのある地域では同じことが言えるのか,違う状況がみられるのならばそれは何故かを考えることで,授業で得た知識を地域の課題解決に応用する能力を養うことができる. ・任意提出の課題(「授業で取り扱っていない事例」に関するレポート)に取り組む.
【成績の評価】
・基準
各回の小レポートによって「主体的な参加の度合い」と「理解の度合い」を評価する.地域の課題に対する各主体の役割を,事例を通して説明できることを合格の基準とする. また,期末試験により「知識の習得の度合い」と「汎用的技能習得の度合い(論理的思考力,文章表現力)」を評価する.地域の課題やその背景を説明できること,誰のどのような活動を通してそれを解決していくのが良いのか説明できることを合格の基準とする. 特に,授業で提示した事例ではなく,自分で調査,考察した事例に関する説明を重視する.
・方法
1. 各回で実施する小レポートの内容 3点×14回=42点 2. 期末試験(第15回目に実施) 58点 3,任意提出の課題 提出回数,内容に応じて加算 上限15点 1,2,3の合計点で評価を行う.なお,100点を超えた場合は100点とする.
【テキスト・参考書】
テキストは特に指定せず,各回の配布資料の中で内容に対応した参考書を提示する. 参考書: 神谷浩夫・梶田 真・佐藤正志・栗島英明・美谷 薫編著 2012.『地方行財政の地域的文脈』古今書院. 戸所 隆 2000.『地域政策学入門』古今書院. 山下 潤 2016.『環境都市政策入門』古今書院.
【その他】
・学生へのメッセージ
授業を通して地域の問題を自分に身近なものとして捉え,自分ならどのように解決を図るかを考えてみて下さい.
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を本多研究室(人文社会科学部棟2号館3階325)において,火曜日15時から16時に設けます. 会議や出張等で不在にしていることもあるため,確実に面談したい場合は事前にアポイントメントを取ってください.メールアドレスは初回の授業で提示します. 連絡はWebClassのメッセージ機能からでも構いません.
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