行政学b
 Study on Public Administration (b)
 担当教員:源島 穣(GENJIMA Yutaka)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科地域公共政策コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
後期の授業では、主に地方政府に焦点を当てた上で、日本の地方自治の仕組みと活動の理解を深めることを目的とします。今日の地方自治は、中央政府よりも深刻な財政難と、少子高齢化、過疎化、災害といった日常生活の存続にかかわる公的課題に直面しています。そのため自治体は、かつてのように単独で公共サービスを提供するのではなく、地域の企業や団体、住民との協働による公共サービスの提供を求められています。本講義では、こうした状況において、地方自治の実施体制がどのように構成されており、公的課題に対してどのように取り組んでいるのかを取り上げます。

【授業の到達目標】
この授業を履修した学生は、
1)地方自治の仕組みと活動を記述できる。
2)地方自治をめぐる公的課題に対する取組みを説明できる。

【授業概要(キーワード)】
地方分権、課税自主権、住民参加、メタ・ガバナンス

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:76~100%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:76~100%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:76~100%

【科目の位置付け】
この授業は、地域公共政策分野の高度な「専門知」を獲得し、地域社会・公共政策に関わる論理的思考力とその運用能力を養うために編成される科目である。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを

【授業計画】
・授業の方法
前半では、地方自治の歴史と、今日的な公的課題をおさえたうえで、地方自治を展開するための制度を解説します。様々な制度がどのような機能を担うことで、相互に連関し、一つの実施体制として成立しているのかを学びます。後半では、実施体制が公的課題に対して、実際にどう機能しているのかを解説します。公的課題に取り組むための行動理論と、政策決定過程をおさえた上で、今日の代表的な公的課題に対して自治体がどのような政策を決定し、住民などの諸アクターと協働しているのかを学びます。さらに、そうした取り組みに対する評価の手法を学ぶことで、成果と課題についても考察していきます。
・日程
(1)ガイダンス
(2)自治体から見た地方分権の時代
(3)日本・東北地方の公的課題
(4)税財政:予算の確保と編成
(5)政治家:首長と地方議会の権限、委員会制度
(6)公務員:人事と組織編成
(7)住民参加:参加の手段と形態
(8)自治体改革:NPMとネットワーク・ガバナンス
(9)自治体の政策決定過程①
(10)自治体の政策決定過程②
(11)政策実践①:介護福祉
(12)政策実践②:子育て
(13)政策実践③:震災復興
(14)政策評価:量的指標と質的指標
(15)授業のまとめとレポート課題の説明

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
地方自治を学ぶ上でも、専門用語や概念をおさえることは不可欠です。ですが、本講義では教科書に沿った説明に終始するのではなく、そうした専門知識が地方自治のどの局面で必要になるのか、映像資料などを活用し、円滑に理解できるようにします。また、授業ではパワーポイントを使用するので、そのコピーの重要箇所に線を引くなどしてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
予習・復習の時間を毎週2時間程度確保し、以下の内容に取り組んでください。
<予習>
・各回の教科書該当ページを必ず読み、理解できないところをまとめておきましょう。
・レジメも授業前にwebclassにアップします。ですので、事前にレジメを入手してよく読んでおきましょう。その上でレジメに線を引くなどして、要点をつかんでください。
<復習>
・教科書とレジメを見直して、理解できなかった点を自分で調べておきましょう。
・特に、レジメには授業のキーワードを詳しく説明している箇所があります。そこを中心に、自分でもキーワードを説明できるか確認すると効果的な復習になるでしょう。

【成績の評価】
・基準
以下について、毎回の授業で配布する学期末レポートおよび小課題で評価します。
1)地方自治の仕組みと活動を記述できることを合格の基準とします。
2)地方自治をめぐる公的課題に対する取組みを説明できることを合格の基準とします。
・方法
学期末レポート、小課題、中間レポートを合わせて100点とします。
配分は、学期末レポート:90%、小課題:15%、中間レポート:15%を目安とします。

【テキスト・参考書】
テキスト:特に指定しません。授業の際に、各回のテーマに関する参考文献を紹介します。
参考書:村松岐夫編『テキストブック地方自治〔第2版〕』(東洋経済新報社)、柴田直子・松井望編『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房)、田村哲樹・近藤康史・堀江孝司『政治学』(勁草書房)
これらは授業で間接的に使用します。目を通しておくとより理解が深まります。

【その他】
・学生へのメッセージ
前期の授業と同様に、各回の理解度の確認内容だけでなく、授業の感想や質問、要望について気づいたことは何でも受け付けます(もちろん授業の感想、質問、要望は成績評価に影響しません)。直接話したいことがあれば、授業の前後やオフィスアワーでも対応します。授業に関連する内容(より発展的な研究など)も、関心のある受講生は質問してください。
・オフィス・アワー
火曜日 12:30~14:00 源島研究室(人文社会科学部2号館4階402)。
それ以外の日時は事前に連絡ください。適宜調整します。

11051009-2021-31-12609