グローバル・ガバナンス論1
 Global GovernanceI
 担当教員:中村 文子(NAKAMURA Ayako)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科地域公共政策コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
現在のグローバル化の時代において、私たちは、地球温暖化などの環境問題、貧困、難民・移民、女性や子どもの人権、人身売買・テロリズムなどの国際犯罪、核兵器をめぐる問題など、さまざまな問題に直面している(グローバル・イシュー)。これらの問題は、一つの国家だけで対応することが困難であり、国家間協力や、国際機構、地域機構、非政府組織(NGO)との協力関係を構築することが求められている(グローバル・ガバナンス)。
この授業では、国家だけでなく、人間にも焦点をあて、①現代の国際社会にはどのような問題があるのか、②このような問題を解決するために、国際社会がどのような取り組みをしているのかについて学んでいく。これまで世界の舞台で主役を演じてきた国家は、今日のグローバル化した社会において、まだその役割を果たすことはできているのか、人権を保障し、環境問題を解決し、第三世界の貧困を乗り越える国際的な制度や取り組みはどのようなものなのか、グローバル・ガバナンス論Iでは、とくに国際社会におけるさまざまな問題を分析するための歴史的背景や国際関係論の主要な理論、アクターについて学ぶ。

【授業の到達目標】
(1)国際関係論の基礎的な概念と理論に関する知識を深めながら、現代の国際社会における諸問題の本質を分析し、理解することを目標としている。(2)受講者自身が国際社会の一アクターであるという認識を持ち、グローバル・イシューをより身近な問題として考えることにできる力を身につける。

【授業概要(キーワード)】
グローバル・イシュー、グローバル化、グローバル・ガバナンス、人間の安全保障、人権、国家、国際機構、地域機構、非政府組織(NGO)

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:26~50%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:26~50%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:26~50%

【科目の位置付け】
この授業はカリキュラム・マップにおける「横断基礎科目」であり、社会科学の基礎的な知識を身に付け、現代社会・国際社会の課題を理解する能力を養う。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう
02.飢餓をゼロに
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
06.安全な水とトイレを世界中に
07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
08.働きがいも経済成長も
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
13.気候変動に具体的な対策を
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

【授業計画】
・授業の方法
国際社会の時事問題に関するメディアの記事などを取り上げるだけでなく、スライドやDVDの視聴を積極的に取り入れる。また、授業中には受講生にも発言してもらい、受講生同士の理解を深める場を設ける。
・日程
第1回 国際社会を考える―グローバル・イシューとグローバル・ガバナンス
第2回 歴史1:国家とはなにか―主権国家のはじまり(ウェストファリア体制)
第3回 歴史2:主権の変遷―主権はだれのものか
第4回 歴史3:二つの世界大戦
第5回 歴史4:第二次世界大戦後の世界―冷戦・第三世界の独立・テロ
第6回 理論1:リアリズム―平和と戦争を説明する
第7回 理論2:リベラリズム―新しい秩序作りを説明する
第8回 理論3:ネオ・リアリズムとネオ・リベラリズム―戦後の国際社会を説明する
第9回 理論4:コンストラクティヴィズム―冷戦後の国際社会を説明する
第10回 理論5:マルクス主義とフェミニズム―批判理論
第11回 国際社会のアクター1:国際機構と地域機構(EU、ASEAN等)の役割
第12回 国際社会のアクター2:市民社会・非政府組織(NGO)と多国籍企業の役割
第13回 日本外交1:国連中心主義と日米安保体制
第14回 日本外交2:東アジアの中の日本
第15回 日本外交3: 21世紀の新たな外交戦略―人間の安全保障

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義はスライドや板書で行うため、必ずノートをとること。また、質問や議論の場では積極的に発言すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
参考図書にも目を通し、講義の内容を復習して自分で深めること。また、日頃から新聞やインターネットなど様々なメディアに幅広く触れ、講義で学んだ事項を踏まえながら、時事問題について考える習慣をつけること。

【成績の評価】
・基準
知識の習得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いの4つの基準により評価する。より具体的な評価の基準は以下のとおりである。
①国際関係論の基礎的な概念や理論が理解できているか。
②現代の国際社会における諸問題の本質を分析し、理解できているか。
③諸問題に対する自分の意見を述べ、解決策を提案できるか。
・方法
授業参加20%、中間レポート30%、期末レポート50%で評価する。

【テキスト・参考書】
テキストは特に指定しない。以下は参考書として挙げておく。
●グローバルガバナンス委員会著、京都フォーラム監訳『地球リーダーシップ―新しい世界秩序を目指して』NHK出版、1995年。
●へドリー・ブル著、臼杵英一訳『国際社会論―アナーキカル・ソサイエティ』岩波書店、2000年。
●ジョセフ・S・ナイ・ジュニア著、デイヴィッド・A・ウェルチ著、田中明彦・村田晃嗣訳『国際紛争―理論と歴史(原書第10版)』有斐閣、2017年。
●長有紀枝『入門 人間の安全保障―恐怖と欠乏からの自由を求めて』中公新書、2012年。
●庄司真理子・宮脇昇編『新グローバル公共政策』晃洋書房、2011年。
●藤原帰一・大芝亮・山田哲也編『平和構築・入門』有斐閣、2011年。
●佐藤史郎・川名晋史・上野友也・齊藤孝祐編『日本外交の論点』法律文化社、2018年。
●石井香世子編『国際社会学入門』ナカニシヤ出版、2017年。

【その他】
・学生へのメッセージ
新聞やテレビを通じて、国際社会の様々な出来事を知るだけでなく、それが自分の日常生活とどのような関係があるのかを考えてみよう。そして、自分自身が将来の日本や国際社会の担い手であることを自覚し、授業で習得したことを踏まえて行動してほしい。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を中村研究室(人文社会科学部2号館3階)において、月曜日の14:00-16:00の間に設けます。出張等で不在にすることがあるので、確実に面談したい場合は事前にメールで希望日時を相談して下さい。

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