市民社会論
 Civil Society Studies
 担当教員:松本 邦彦(MATUMOTO Kunihiko)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科地域公共政策コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
2016年の参院選から18歳に選挙権年齢が引き下げられたことにより、日本で若者が市民として社会に参加する道はより一層広がりました。またその参加目的も、地域の日常の困り事解決から、災害時の復興支援、さらには国境を超えた地球規模の課題解決と多様です。学生の皆さんが参加していく市民社会とは、そもそもどこから生じたのか、その概念は誕生からどう変容してきたのか。日本ではどうか。また市民の社会運動と行政や民間企業などとの諸関係を理解するとともに、今後の課題を考えていきます。

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、以下のことができるようになります。
1)市民社会という存在と経緯を他者に説明すること。
2)日本の市民社会がかかえる課題を自ら調べ、発見すること。
3)市民による社会運動についての考察を深め、課題解決のために必要な専門的な知識を探究していくこと。
4)市民として今後の市民社会形成について自らの考えを持ち、他者と討議すること。

【授業概要(キーワード)】
市民社会。市民運動。社会参加。

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
 現代社会のなりたちと課題を考えるために必要な知識と教養を身につけ、(異なった社会の)他者や異文化への理解も進めるための科目です。
日本および諸外国の事例を多数あつかうのと、事前に政治学的・社会学的なものの考え方の初歩を身につけておいてほしいので、2年次までの政治学・社会学関係科目の事前履修が望ましい。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう
02.飢餓をゼロに
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
06.安全な水とトイレを世界中に
07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
08.働きがいも経済成長も
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

【授業計画】
・授業の方法
テキストを道案内に、具体的事例を数多く取り上げながら、市民社会を理解するための基礎概念を学んでいく。
・日程
・第1回:ガイダンス
・第2~3回:市民社会はどこからうまれたか
・第4~5回:市民社会での決定の仕方 --- ガバナンス論 ---
・第6~7回:寄附とボランティアという参加の仕方
・第8~9回:市民社会組織
・第10回:社会的企業
・第11~12回:新しい公共とコミュニティ
・第13回:市民社会と政府
・第14回:企業から見た市民社会 --- CSR ---
・第15回:試験とまとめ

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
テキストと配布プリントに必要事項や気づいた点、疑問点を記入していく。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 テキストの予習として通読は重要です。難解な概念や固有名詞(人名・事件)などは国語辞典類で調べられる範囲で予習しておきましょう。古今東西の事例が頻出します。これは毎回1時間から2時間程度。
 復習としては、テキストや講義で登場した概念や考え方を現代の事例に当てはめて考えてみることをお勧めします。日々のニュースで関係する事柄に接した場合は、講義で得た知識でもってその事件・事象を他人に解説することを想像しながら視聴する(実際に解説してみるとなお良し)。
 講義関係の質問は講義時に提出するミニレポートかWebClassメッセージでどうぞ。回答は基本的にはWebClass掲示板にておこないます。

【成績の評価】
・基準
 以下を合格の基準とします。
1)市民社会という存在と経緯を他者に説明できること。
2)日本の市民社会がかかえる課題を自ら調べる能力を得ていること。
3)市民による社会運動についての考察を深め、課題解決のために必要な専門的な知識を得ていること。
4)市民として今後の市民社会形成について自らの考えを持っていること。
・方法
・毎回の終了時に、その回の要点と疑問点を書いたミニレポートを提出してもらい、最大3点をカウントする。13回×3点で39点。
・期末試験(レポートを予定)は配点50点。
・講義内容に触発されて、自分の興味関心から関係する参考書を読んだりイベント(講演会や集会など)に参加したり映画やTV番組を視聴した場合には感想票を作成する。これにも毎回2~3点を加点する。上限10点。

【テキスト・参考書】
◇テキスト:今田忠(いまだ・まこと)『概説市民社会論』関西学院大学出版会、2014年、3200円
◇必携の参考書は年表です。高校時代のものでもOKですが、未所持の場合は『年表 昭和・平成史 新版』岩波ブックレット、2019年、748円を勧めます。
◇参考書:
・小熊英二『日本社会のしくみ:雇用・教育・福祉の歴史社会学』講談社現代新書2528、2019年、1300円
・松沢裕作『生きづらい明治社会:不安と競争の時代』岩波ジュニア新書883、2018年、800円
・室井康成『事大主義:日本・朝鮮・沖縄の「自虐と侮蔑」』中公新書2535、2019年、820円
・坂本治也編『市民社会論:理論と実証の最前線』法律文化社、3200円

【その他】
・学生へのメッセージ
松本の他の講義と同様に、自分の現在の知識を確認しつつ、その正誤を認識し、考えを確かめていくという「試行(思考)錯誤」の過程を重視します。
・オフィス・アワー
松本邦彦研究室(人文社会科学部1号館3階):水曜日の11時~14時。これ以外の時間帯を希望する場合、在室時ならいつでも(短時間は)対応しますが、長くなりそうな用件ならWebClassメッセージか電子メールにて予約してください。
※先生たち宛にメールやWebClassメッセージを送る前に一読をすすめます↓。
「松本宛(先生宛)のメールについてのお願い」
http://www-h.yamagata-u.ac.jp/~matumoto/mail.htm

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