ミクロ経済学の中心的課題は，有限希少な資源や財をどのように経済主体に配分するかという資源配分の問題を分析することである。この講義では，資源配分を行う仕組みである市場に関する基本的な理論を解説することによって，市場メカニズムの意義や課題について理解を深めてもらうことを目的とする。講義では，経済学的な考え方を紹介することを通じて理論的な思考力を身につけてもらうことを目指す。あわせて，現実の社会現象を経済学的な視点から考えることにも焦点をあて，地域の抱える課題を解決するために求められる基礎力を身につけてもらうことも目指す。

（１）ミクロ経済学の基本的な事項や概念を理解できる【知識・理解】。
（２）社会現象を経済学的に考えることができる。あわせて，自分でより上級の文献を購読していくことができる【態度・習慣】。

市場メカニズム，需要と供給，余剰分析

この科目は，現代社会で活躍するために必要な知識と教養を身に付けるために，あわせて，経済分野の高度な「専門知」を獲得し，論理的な思考能力を養うために編成されている（人文社会科学部　経済・マネジメントコースのカリキュラムポリシー）。

04.質の高い教育をみんなに
09.産業と技術革新の基盤をつくろう

配布プリントを中心に板書をしながら講義を行う。講義ではミクロ経済学の理論や考え方について説明するほか，理論を用いて現実の経済現象をどのように説明できるかについても解説する。
この科目は４月から週２回，合計１５回の講義を行う。最終講義日は６月中頃になる予定である。

（1）ミクロ経済学とは何か
（2）資源配分について
（3）市場メカニズム（その１：需要と供給・均衡）
（4）余剰分析の基礎
（5）市場メカニズム（その２：需要曲線と供給曲線のシフト・比較静学）
（6）需要の価格弾力性
（7）資源配分の効率性と市場の失敗
（8）まとめと試験

科目の性質上，図やグラフを板書して説明することが多くなるが，説明に必要な図やグラフは配布プリントにも描かれている。配布プリントに必要な事項を追加記入するなどして，講述内容を集中して聞いてほしい。板書事項を書き写すことに夢中になって説明を聞きもらしてしまったということがないように。

〈予習のあり方〉配布プリントや参考書を事前に読んでおくこと。また，授業時に指定された練習問題を事前に解いておくこと。授業時に問題の解説を行う。
〈復習のあり方〉ミクロ経済学は基本的な概念や考え方を積み重ねて学ぶ学問なので，わからないところをそのままにしておくと，それ以降の内容が全く理解できなくなってしまう可能性が高い。時間に余裕があるときに，ノート・配布プリント・参考書等によって，内容を整理し，理解しておくことが重要である。わからない点は，遠慮なく質問してほしい。

「主体的な参加の度合い」，「知識の習得の度合い」，「理解の度合い」，「汎用的技能修得の度合い（論理的思考力，文章表現力）」の４つの基準で成績評価を行う。特に，ミクロ経済学の基本的な概念や理論について理解しているか，それらを用いて現実の経済現象を説明できるかを評価の際に重視する。

筆記試験や小レポート，小テストの成績を総合して評価を行う。評価ウェイトは筆記試験が８５％，小レポート・小テストが１５％である。

この授業では，担当教員が作成したプリントを授業で配布し，講義を行う。必要に応じて参考書を紹介するが，ここでは以下の文献を挙げておく。
〈参考書〉ミクロ経済学の入門書として，
１．奥野正寛著『ミクロ経済学入門』（日経文庫），２．西村和雄著『現代経済学入門 ミクロ経済学（第３版）』（岩波書店），３．倉沢資成著『入門｜価格理論（第２版）』（日本評論社），４．金谷貞男・吉田真理子著『グラフィック ミクロ経済学 第２版』（新世社），５．伊藤元重著『ミクロ経済学 第３版』（日本評論社）
を挙げておく。また，演習問題を解きながら理解を深めていきたい場合には，
・西村和雄ほか著『経済学ベーシックゼミナール』（実務教育出版）
・奥野正寛編『ミクロ経済学演習』（東京大学出版会）
を参照するとよいであろう。さらに，中・上級レベルの内容を扱いながら，理論を現実問題の分析にどのように応用するかについて詳細に解説した文献として，神取道宏著『ミクロ経済学の力』（日本評論社）を挙げておく。

講義は基本的な理論や考え方の説明に時間をかけて進めていく。また，高校で「政治・経済」を学んでいない学生にも理解できる講義を行う。

前期・後期 火曜日 １６時３０分から１８時まで 是川研究室
会議や出張等で不在にすることもあります。上記以外の時間でも質問などを受け付けますので，確実に面談したい場合は，学生便覧に記載の是川のメールアドレスに連絡してください。