地域経済史
 Local Economic History 
 担当教員:岩田 浩太郎(IWATA Koutarou)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科経済・マネジメントコース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義(オンライン・オンデマンド方式)
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
<地域経済発展の諸条件ーその歴史的考察ー>をテーマに講述する。
まず、山形県村山地方(出羽国村山郡)を事例に、同地域が江戸時代に東北地方(奥羽)南域の中心として経済発展した背景と条件、及び明治時代以降停滞ないし衰退した背景と条件について、担当教員の実証研究をもとに、長期的な視野から考察する。そして、地域の経済発展や活性化にとって必要な諸条件とは何かについて、一般的汎用的な考察をおこない、そうした思考方法を受講生が身につけることを目的とする。

【授業の到達目標】
山形県村山地方の歴史や風土について理解を深め、説明できる。同地域は江戸時代に紅花生産地帯として発展したといわれるが、具体的な経済発展の様相と諸条件について説明できる。また、明治中期以降に同地域は停滞ないし衰退する諸条件について説明できる。さらに、同地域の社会経済構造について理解を深め、そこにはどのような社会的矛盾や風土文化がみられたのかに関する知識を身につける。紅花や最上川を活かした観光や町おこしの前提となる歴史知識について深く理解し説明できる。【知識・理解】
現代にも通じる地域の経済発展や地域活性化の諸条件について、一般化して考察し議論できるようになる。【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
地域活性化、山形、地域史、紅花、養蚕製糸、最上川、歴史遺産、観光、豪農商、農業、特産物、階層差、歴史風土

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:76~100%

【科目の位置付け】
山形県村山地方を事例にしながら地域の歴史的特徴を把握しその発展の諸条件を考察する汎用性のある方法を学ぶ授業であり、他の地域実践的な多くの科目の前提となる知識を得ることができる。カリキュラム・ポリシーにある地域の抱える課題の解決力を養成するねらいをもつ科目である。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
11.住み続けられるまちづくりを
17.パートナーシップで目標を達成しよう

【授業計画】
・授業の方法
全回オンライン・オンデマンド方式で実施する。受講にはPDFを閲覧できWordを読み書きできる通信環境が必要である。WebClassに毎回掲載する講義資料を読み自由な感想・意見を書いたメモを毎回提出する形で受講する(講義資料の掲載からメモ提出まで1週間の期間を毎回確保する)。担当教員が実際に現地調査した歴史資料を用いて、地域経済の特徴と発展の諸条件を論証する方法をとる。メモに書かれた意見や質問に応える双方向の授業とする。期末に講義全体の要旨をまとめるレポート課題に取り組み自己の理解を確認する。
・日程
地域経済史の計画は以下の通りである。
事前 ガイダンス資料
第1回 地域経済史とはどのような学問か
第2回 出羽国村山郡の地域的特徴(1)
第3回 出羽国村山郡の地域的特徴(2)
第4回 出羽国村山郡の地域的特徴(3)
第5回 出羽国村山郡の地域的特徴(4)
第6回 経済構造と変動-特産物生産と全国市場-(1)
第7回 経済構造と変動-特産物生産と全国市場-(2)
第8回 経済構造と変動-特産物生産と全国市場-(3)
第9回 社会構造と変動-豪農商と階層社会-(1)
第10回 社会構造と変動-豪農商と階層社会-(2)
第11回 社会構造と変動-豪農商と階層社会-(3)
第12回 近代化の過程-資本主義化における転換-
第13回 地域経済発展の諸条件(1)
第14回 地域経済発展の諸条件(2)
第15回 歴史的総括と現代的課題 

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
WebClassに毎回掲載された講義資料をよく読み、自分なりの感想・意見を自由にメモに書き提出する。期末に講義全体の要旨を正確にまとめるレポート課題に取り組む。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
2単位の本授業科目では90時間の学修が必要と文科省が定めています。オンデマンド方式でおこなう全15回の本講義では1回あたり平均すると6時間の学修が求められることになります。WebClassに掲載した講義資料を熟読するとともに、そこで紹介された参考文献を図書館やインターネットで自分なりに調べて理解を深めてください。また、講義資料の用語でわからないものは事典やインターネットで調べて理解しながら講義資料を読了してください。また、毎回のメモの作成にあたっても講義資料を全体的に理解できているのかを確かめながら時間をかけて自分なりの感想・意見を考えて書くように努めてください。

【成績の評価】
・基準
毎回のメモではWebClassに毎回掲載した講義資料をよく理解した上で自分の感想・意見をまとめることができたか、期末レポートでは講義資料全体の要旨の正確なまとめをするなかで授業の到達目標で示した諸点の理解ができたかどうか、を合格の基準とします。
・方法
毎回のメモ14回×5点=70点、期末レポート30点の配点とする(100点満点)。なお、メモは各回200字以上、期末レポートは2500~2700字とする。

【テキスト・参考書】
事前のテキストとして個別に指定するものはありません。WebClassに毎回掲載する各講義資料で参考文献を適宜紹介します。また、講義本文とは別にプリント資料をWebClassに掲載する回もあります。
「参考文献」横山昭男編著『街道の日本史11 最上川と羽州浜街道』(吉川弘文館、2001年)、井ヶ田良治ほか編『歴史の道・再発見』第1巻(フォーラム・A、1994年)、岩田浩太郎「豪農経営と地域編成」(『歴史学研究』第755号、2001年、『山形大学紀要(社会科学)』第32編第2号~第34編第1号、2002~2003年)、同「山形城下町商人長谷川吉郎治家における紅花取引の実態」(『山形大学大学院社会文化システム研究科紀要』創刊号、2005年)、同「山形長谷川家の商業活動」(『山形大学歴史・地理・人類学論集』第9号、2008年)、同「河北地方の地主制の発達と農民」(『河北の歴史と文化』第5号、2009年)、同『村田商人の歴史像』(2014年)、同ほか編『村田紅花商人文書』(2015年)、同『柏倉家ものがたり』(2016年)、中山町教育委員会編『旧柏倉家住宅建造物調査報告書』(2018年)。

【その他】
・学生へのメッセージ
高校で日本史を学んでいない学生にも理解できるようにわかりやすい講義を心掛けます。山形県村山地方のみならず日本各地の地域活性化に取り組みたいという学生に参考となる講義にしたいと考えています。積み重ね型の講義なので、WebClassを通じて毎回講義資料を読了しメモを提出することが大事です。
・オフィス・アワー
月曜 正午~13時 岩田研究室
連絡先 iwata@human.kj.yamagata-u.ac.jp

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