日本経済史演習
 Undergraduate Seminar in Japanese Economic History
 担当教員:岩田 浩太郎(IWATA Koutarou)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科経済・マネジメントコース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期・後期   単位数:2単位  開講形態:演習(対面とオンラインの併用)
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
〈日本型経済発展の歴史研究〉をテーマに、主に江戸時代までの日本の伝統社会の特徴が明治維新以降の日本型資本主義の形成にいかなる影響を与えたのか、について長期的な視野で考察する。他国との比較史検討もおこない、日本社会の特徴をふまえた経済発展と社会改善を考える力を養成することを目的とする。卒業研究の準備をおこなう。また、今後の世界や日本の経済のあり方を考える大きな前提として、地球環境と資本主義の関係についても長期的な視野で考察する。

【授業の到達目標】
日本経済史の通史を理解し、長期的な社会経済変動が現代日本のあり方を規定しており、また今後の変動を見通すうえで参考となることを説明できる。【知識・理解】
学術論文を正確に読み理解する訓練を積むと同時に実証の方法を修得し、論証にもとづく独自な議論を構築した論文を作成することができる。【技能】
経路依存という経済学の概念について実際の研究を通して深く理解し、現代や未来の世界と日本の社会経済課題にも応用して自ら考察することができる。【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
日本経済,グローバル経済,資本主義,伝統社会,地球環境,古文書,歴史資料,論証,経路依存

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:76~100%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:76~100%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:76~100%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:76~100%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:26~50%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:1~25%
D-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。:26~50%

【科目の位置付け】
日本社会の特徴を経済史の方法で把握する科目である。カリキュラム・ポリシーにある地域企業の抱える課題の解決力、論理的な思考能力、統計・資料に基づく分析力などを養成するねらいをもつ科目である。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう
02.飢餓をゼロに
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
06.安全な水とトイレを世界中に
07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
08.働きがいも経済成長も
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

【授業計画】
・授業の方法
対面とオンラインを併用する。オンラインではオンデマンドとzoomを利用する。受講にはPDFを閲覧できWordを読み書きできzoomを利用できる通信環境が必要である。毎回輪読論文と発表者を予定し、発表者はレジュメ資料を作成して論文の要約とポイントの指摘及び批判的考察の発表をおこない、ゼミの全員で質疑・議論をおこなう。適宜古文書資料の解読演習をおこなう。
・日程
各回の演習の計画はゼミ生と逐次相談の上、決定していく。4年生は卒業研究の論文作成に取り組む。大まかな計画は以下の通りである。
前期=選定した輪読論文について順番にレポーターとなり発表し議論をおこなう(主にzoom)。併行して古文書資料の解読演習をおこなう(主に対面)。例えば以下の通りである。
第1回 ガイダンスとゼミ計画の話し合い/4年生の卒業研究テーマ構想発表
第2回 古文書資料解読演習Ⅰ
第3回 古文書資料解読演習Ⅱ
第4回 輪読・発表・議論A
第5回 輪読・発表・議論B
第6回 輪読・発表・議論C
第7回 古文書資料解読演習Ⅲ
第8回 古文書資料解読演習Ⅳ
第9回 輪読・発表・議論D/4年生の卒業研究中間発表Ⅰ
第10回 輪読・発表・議論E
第11回 輪読・発表・議論F
第12回 古文書資料解読演習Ⅴ
第13回 古文書資料解読演習Ⅵ
第14回 輪読・発表・議論G
第15回 輪読・発表・議論H/4年生の卒業研究中間発表Ⅱ  
後期=4年生の卒業研究の中間発表(Ⅲ~)をおこなう。併行して3年生による学術論文の輪読発表(I~)をおこなう。古文書資料の解読演習(Ⅶ~)もおこなう。上記の前期の計画を適宜修正して実施する。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
テキストとした専門図書やWebClassに掲載された学術論文や資料をよく読み、ゼミ当日に備えてください。予め学術論文についての自分なりの感想・意見や疑問点を考えてゼミに臨むことが大切です。4年生には、各自の卒業研究テーマについて自分なりに早めに検討を進めることを推奨します。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
2単位の本授業科目では演習時間と予習復習時間をあわせて90時間の学修が必要と文科省が定めています。1回あたり平均すると6時間の学修が求められることになります。輪読する学術論文を熟読するとともに、それを理解するための用語調べや引用文献の調査を図書館やインターネットでおこなってください。古文書資料の解読もくずし字辞典を用いてねばり強くおこなうことが重要です。

【成績の評価】
・基準
3年生は輪読発表の水準及び古文書資料解読の達成度を合格の基準とする。
4年生は輪読発表の水準及び卒業研究の論文作成に向けた準備の進展度を合格の基準とする。
・方法
3年生は輪読発表の水準50点、古文書資料解読の達成度50点の配点とする(100点満点)。4年生は輪読発表の水準60点、卒業研究の論文作成に向けた準備の進展度40点の配点とする。

【テキスト・参考書】
ゼミ生と相談の結果、斎藤幸平『人新世の「資本論」』(集英社、2020年)、『岩波講座日本経済の歴史2 近世』(岩波書店、2017年)をテキストとします。テキスト以外で取り上げる学術論文についてはWebClassに適宜掲載します。
なお、本演習に必要な基礎知識を提供してくれる参考文献として、石井寛治『日本経済史 第2版』(東京大学出版会、1991年)、沢井実・谷本雅之『日本経済史』(有斐閣、2016年)を紹介します。

【その他】
・学生へのメッセージ
ゼミ生は地域経済史(3年次前期開講)を必ず履修してください。
従来、本ゼミでは山形県村山地方の旧家の蔵にあるオリジナルな古文書資料を現地調査し研究する活動を長年おこなってきましたが、コロナ禍により中止しています。
・オフィス・アワー
月曜 正午~13時 岩田研究室
連絡先 iwata@human.kj.yamagata-u.ac.jp

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