グローバル・プロブレマティーク基礎演習b
 Introductory Seminar on Global Problematique (b)
 担当教員:伊藤 豊(ITO Yutaka)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
本授業では、「グローバル・プロブレマティーク」という共通の枠組みの中で、各クラスで指定されたテーマに沿って学習を進めます。このクラス(基礎演習b)のテーマは、「日本に移民は必要か?」です。近年、日本国内の(特に若者世代の)人口減少が顕著化するとともに、移民受け入れ推進の議論が、しばしば論壇を賑わしてきました。一昨年末には改正入管法が成立し、これによって日本政府は移民を事実上解禁したと断ずる論者もいます。他方、移民には断固反対という主張も根強く、将来の日本社会がこの問題をめぐって、いったいどのような対応をとるべきか、にわかには決め難い状況にあります。この授業では、グローバルな規模での移民現象や日本の現状について、まず共通の読み物を通じて概況を理解したうえで、日本における移民受け入れ賛成論、反対論、そして中間派の議論を、個人発表とクラス討論を通じて検討します。学期末には、移民受け入れの是非に関する受講者の分析と見解をまとめて、レポートとして提出します。

【授業の到達目標】
授業の到達目標は以下の通りです。
(1)グローバルな規模での移民現象や日本の現状について、基礎的な理解ができるようになる。
(2)日本における移民受け入れ賛成論、反対論、そして中間派の議論の概況を理解できるようになる。
(3)授業で学んだ学問の基礎的手法に基づき、移民受け入れの是非に関して受講者自身で分析し、みずからの見解を提示できるようになる。

【授業概要(キーワード)】
移民(イミグレーション/マイグレーション)、グローバル化、人口減少、改正入管法、反移民主義

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:1~25%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
本授業は、受講者が「グローバル社会に柔軟に適応できる思考力と判断力を涵養」しつつ「意見や情報の受信・発信力を磨く」ための、「課題解決型の実践科目」として設計されています(GSコースカリキュラムポリシーより)。カリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう
02.飢餓をゼロに
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
16.平和と公正をすべての人に

【授業計画】
・授業の方法
各クラスで指定されたテーマにしたがって、演習形式で授業を進めます。また、個人発表やクラス討論の作法、調査のやり方、レポートの書き方など、GSコースにおける学問の基礎的手法についても、合わせて学びます。
・日程
全15回の授業のうち、初回はイントロダクションにあて、2回目以降は個人発表とクラス討論をおこないます。各人の発表日程ならびに教材の担当箇所については、初回授業時のオリエンテーションで決定します。
第1回 オリエンテーション(テキストPDFの概説&発表割り振り)
第2回 個人発表(1/9):なぜ今、移民問題なのか/日本の移民政策
第3回 個人発表(2/9):日本の移民地図/集住するブラジル人
第4回 個人発表(3/9):アジア人の集う街/外国人妻と農村
第5回 個人発表(4/9):「開かれた」日本と社会統合/日本社会の多文化・多国籍化と人権
第6回 個人発表(5/9):多文化社会の教育問題/日本語教育と複言語主義
第7回 個人発表(6/9):多文化と福祉/多文化シティズンシップとコミュニティ創造
第8回 個人発表(7/9):「労働鎖国」という選択/日本文化の崩壊
第9回 個人発表(8/9):反ヒューマニズムとしての移民受け入れ/鎖国へと向かう世界
第10回 個人発表(9/9):「国際化コンプレックス」の問題/アジアに呑み込まれる日本 (*中間報告レジュメ提出締め切り)
第11回 中間報告レジュメの輪読による情報共有と各人の立場の明示
第12回 集団討論(1/3):移民賛成論の立場から
第13回 集団討論(2/3):移民反対論の立場から
第14回 集団討論(3/3):中間派の立場から
第15回 まとめ

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
発表とクラス討議が中心となるので、受講者はみずから進んで発言することによって、授業に参加しなければなりません。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
毎回の授業内容に応じて、事前に定められた部分をきちんと読んで準備することを宿題とします。授業中には、宿題がきちんとできているかどうかを確かめるための、質疑応答をおこないます。最終的にはレポートによる評価が、成績決定の大きな要因となりますので、受講者は各回の授業で論じられる問題のうち、自分のレポートの材料として適当なものの発見に努め、また授業後は授業後はそれに関する調査を自習課題として進めてください。

【成績の評価】
・基準
評価の基準は以下の通りです。
(1)グローバルな規模での移民現象や日本の現状について、基礎的な理解ができているか。
(2)日本における移民受け入れ賛成論、反対論、そして中間派の議論の概況を理解できているか。
(3)授業で学んだ学問の基礎的手法に基づき、移民受け入れの是非に関して受講者自身で分析し、みずからの見解を提示できているか。
上記の3点について、人文社会科学部のガイドラインである、「主体的な参加の度合い」、「知識の修得の度合い」、「理解の度合い」、「汎用的技能の修得の度合い(論理的思考力、文法表現力)」の4つの観点から「授業の到達目標」の達成度を判定して成績評価をおこない、合計で最低6割の得点率をもって合格と判断します。
・方法
授業参加に20点、個人発表(レジュメ&発表内容)に20点、中間報告(レジュメ&発表内容)に10点、学期末レポートに50点を配分します。

【テキスト・参考書】
教員が選んだ論文や著作の一部をまとめてPDF化したものを、テキストとしてウェブクラス上で配信します。参考書は授業中に適宜紹介します。

【その他】
・学生へのメッセージ
グローバル・プロブレマティーク基礎演習は指定クラス制となっており、受講者の側でクラスを選択することはできません。クラス分けは、学期の初めに掲示します。
グローバル・プロブレマティーク基礎演習はGSコース学生のみを対象とした授業であり、他コースからの履修は原則として認めません。
・オフィス・アワー
オフィスアワーは原則として水曜の12:05-12:50、伊藤研究室(人文2号館4階)にて開催します。ただし、水曜の12:05-12:50に限らず研究室に在室時は随時対応しますので、時間外に飛び込みで来室しても構いません。長時間の面談を希望する者は、事前にメールで予約してください(メルアドは初回授業にてお知らせします)。

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