応用物理学特論I
 Solid State Physics I
 担当教員:加藤 宏朗(KATO Hiroaki)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)数物学分野
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
物性物理学への理解を深めるため,外部から加えられた電場・磁場に対する物質の応答について学ぶことを目的とする.
講義では,電気双極子、磁気双極子をもつ固体の電気的・磁気的性質、外場に対する応答、双極子の協力現象と相転移、強誘電体・強磁性体に代表される双極子の長距離秩序状態について述べる.特に電子のスピンについては、その起源、合成、秩序等詳しく紹介する.

【授業の到達目標】
種々の物質の物性物理現象の理解を深めること.具体的には,
1. 誘電体内部の電場と電気双極子の関係を理解し,ベクトル解析を用いて定量的な計算ができる.
2. ランダウの相転移理論を理解し,強誘電体の相転移温度等を定量的に計算できる.
3. 角運動量の交換関係を理解し,磁性体の磁気モーメントを計算できる.
4. 平均場近似の概念を理解し,強磁性体の相転移温度や磁化率を定量的に計算できる.

【授業概要(キーワード)】
物性物理学、誘電体、磁性体、スピン、双極子、相転移、長距離秩序

【科目の位置付け】
専門領域に関連する基礎的な分野を担う,各専攻共通の科目である。

【授業計画】
・授業の方法
以下の科目の初歩的知識を前提としているが、これらの科目についてもある程度の復習と解説を交えながら授業を進める.
電磁気学、量子力学、熱力学、統計力学、物性物理学
・日程
授業計画
1. 秩序と無秩序 電気双極子と磁気双極子、双極子の協力現象と長距離秩序
2. 誘電体と強誘電体 巨視的電場と局所電場、反分極場とローレンツ場、
3. 〃 誘電率と分極率、
4. 〃 強誘電性体と構造相転移
5. 〃 相転移のランダウ理論
6. 磁性体 電子スピン・軌道・原子核による磁気モーメント
7. 〃 フントの規則、LS多重項
8. 〃 スピン軌道相互作用とJ多重項
9. 〃 多電子系の有効磁気モーメントとキュリーの法則
10. 〃 結晶場による準位分裂と軌道角運動量の消失
11. 〃 局在電子と遍歴電子、金属中の伝導電子による磁化率
12. 磁気秩序 交換相互作用と強磁性
13. 〃 平均場近似とキュリー・ワイス則
14. 〃 結晶磁気異方性と磁化曲線
15. 〃 磁区と磁壁、ヒステリシス曲線

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義は原則としてWebClassを用いたオンデマンド形式で実施する.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
講義内容に関連する資料,図書,文献等を自ら探索し,レポート課題等に取り組むこと.

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標に基づいて出題された複数のレポートに対して,提出されたレポート内容を精査して達成度を定量化する.
・方法
提出されたレポート内容を精査して達成度を定量化し,総合点が60%以上になった場合を合格とする.

【テキスト・参考書】
参考書:キッテル「固体物理学入門 下」宇野、津谷、森田、山下 訳(丸善)

【その他】
・学生へのメッセージ
自ら課題について詳しく調査して,その成果をレポートとしてまとめる経験は,修士論文や学術論文の執筆に際して大いに役立つでしょう.
・オフィス・アワー
WebClassのメッセージ機能や電子メールを使って質問を受け付けます.

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