【授業の目的】
一般に,超越方程式,大規模線形方程式や偏微分方程式の初期値・境界値問題は解析的に扱うことが不可能である.しかしながら,近年,コンピュータが高速化・大容量化するに伴い,解析的には扱えない問題を近似的に解く高精度手法が開発されてきた.
本講義の目的は,数理モデル化された理工学分野の諸問題を支配する偏微分方程式を数値的に解析する手法として,領域型解法である差分法,有限要素法を概観し,最近有力な手段としての境界型解法である境界要素法について理論と実際的な応用を論じ,最終的に得られる大型連立1次方程式の並列数値解法まで言及することである.
【授業の到達目標】
(a) 数値解法の数学的背景を説明できる.【知識・理解】 (b) 問題に適した数値解法を選択できる.【技能】 (c) 問題をプログラムに実装する形に変換できる.【技能】
【授業概要(キーワード)】
偏微分方程式,有限要素法,境界要素法,メッシュレス法,大型連立1次方程式
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% D-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
本講義は,情報・エレクトロニクス分野に関する幅広く深い知識と技能を修得し、先端技術分野への応用を通じて社会の発展に持続的に貢献できる能力を養うものである(情報・エレクトロニクス専攻の教育目標(2) ).
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
【授業計画】
・授業の方法
文献(英文)を受講者全員で輪読することにより,様々な数値解析の手法をマスターする.
・日程
第1週:数学的基礎知識 第2週ー第5週:領域型解法 第6週ー第11週:境界型解法 第12週ー第14週:Krylov空間法による大型連立1次方程式の数値解法 第15週:期末試験とまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
文献の補足説明を板書で行うので,ノートに筆記して内容の理解に努めることを勧める.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
(a)受講者は毎回指定されたURLからPDFファイルをダウンロードした後,熟読しておいて下さい. (b)単に英文を直訳するだけではなく,自分なりに数式を導出した後,毎回の授業に臨んで下さい. (c)定義をしっかり身に付けて下さい.
【成績の評価】
・基準
到達目標(a),(b),(c)の達成度を評価する.数値解析手法の基礎的事項について演習問題を解けることを合格の基準とする.
・方法
毎回の輪読(14回の予定)(25点),試験(50点),レポート(25点)を合計し100点満点で判定する.単位認定は60点以上とする.なお,毎回の輪読では,『学習の方法(授業時間外学習へのアドバイス)』(b)に記したポイントも評価する.即ち,単なる英文の翻訳だけではなく,十分に数値解法を理解しようとしているかという態度も評価する.
【テキスト・参考書】
【参考書】 1)名取 亮著:『数値解析とその応用』,(コロナ社,1990) 2)高橋大輔著:『理工系の基礎数学 数値計算』,(岩波書店,1996) 3)洲之内治男著,石渡恵美子改訂:『数値計算』,(サイエンス社,2002)
【その他】
・学生へのメッセージ
多変数の微分積分学,線形代数,ベクトル解析をマスターしていれば,本講義は十分理解できるが,これらの数学力に不安がある場合は,以下の書籍を参考にすると良い. 矢野健太郎,石原繁:「解析学概論(新版)」(1982年,裳華房)
・オフィス・アワー
神谷研究室(7号棟3階7-304)において,金曜日午後4時ー午後5時の間に設ける.
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