【授業の目的】
材料の変形挙動を正しく理解するため,力学的な基礎理論について講義するとともに,材料科学的な立場から材料のもつ力学的特性を解説する.前半には力学理論として,材料力学から連続体力学への展開,弾性力学・塑性力学の基礎,およびそれらの表現に必要な数学的基礎(テンソル解析,微積分)を講義し,後半には,実際の金属材料の変形挙動について,主に理論モデル・計算の観点から講義する.また,結晶構造,転位,粒界,すべり等,微視的・物理的観点からの解説を加え,結晶性固体の変形メカニズムを理解し,巨視的な力学体系との関係を正しく理解できるように講義する.|学部で学んだ材料力学と,実際の3次元構造物の力学状態の違いを明確に理解できるようにする.また,弾性や塑性といった力学特性が,材料科学的な見地から正しく理解できるようにする.理論式の記述や,それに基づく解析手法の基礎として,数学的な表現を正しく理解し,利用できるようにする.
【授業の到達目標】
(1) 3次元の応力状態を正しく理解する.(2) 3次元の変形,応力解析の基礎式を正しく理解する.(3) 材料の力学特性の本質を理解する.(4) テンソルや微積分法が正しく扱える.
【授業概要(キーワード)】
材料力学,連続体力学,固体力学,弾性力学,塑性力学,材料科学,結晶構造,転位,結晶粒界,すべり,双晶,テンソル解析,微分・積分,数値シミュレーション
【科目の位置付け】
この授業は材料の変形挙動を正しく理解するため、力学的な基礎理論と、材料科学的な立場からの材料の持つ力学的特性について解説するものである。CP1, CP3, DP3,DP4
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう 12.つくる責任つかう責任
【授業計画】
・授業の方法
教員からの一方通行の授業でなく,学生からの質疑応答を取り入れて授業を進めていく。
・日程
第1週 テンソルの概念(基底、ベクトル、テンソル、テンソルの階数) 第2週 座標系の変換とテンソルの変換 第3週 テンソル場の微分と積分(発散定理) 第4週 連続体の運動と変形(変形勾配、ひずみ、速度勾配、変形速度、スピン) 第5週 真応力、公称応力、応力の時間変化率(応力速度) 第6週 弾性体の構成式(線形弾性体) 第7週 前半の総括と中間試験 ーーー 第8週 弾塑性体の構成式(von Mises塑性、異方性塑性) 第9週 平衡方程式と境界条件 第10週 仮想仕事の原理 第11週 有限要素法の基礎(離散化と内挿)と弾性体の変形解析法 第12週 有限要素法による弾塑性体の変形解析法 第13週 微視的塑性(結晶構造、すべり、結晶塑性) 第14週 微視的塑性(転位、粒界、強化機構、クリープ、緩和) 第15週 後半の総括と期末試験
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義に出席するだけでなく,復習を欠かさず,積極的に取り組むこと.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
指定されたテキストに目を通しておくこと. 講義ノートを復習し,不明な点は自分で調べて解決するように心がけること.また,参考となる図書を探し,例題や演習問題を解いてみること.
【成績の評価】
・基準
成績の評価基準としては、筆記試験とレポート等の成績を総合して評価する.
・方法
成績の評価方法としては、筆記試験とレポート等の成績を総合して評価する.
【テキスト・参考書】
必要に応じて講義中に紹介する.また,自分にあった参考書を探すこと.
【その他】
・学生へのメッセージ
応力や変形の物理的理解,材料特性に関する知識,数学など,幅広い能力を必要とするので,復習を欠かさず,積極的に取り組むこと.
・オフィス・アワー
オフィスアワーは6号館211教官室にて、毎週水曜16:00~17:00とする。
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