【授業の目的】
修士論文テーマ(農地環境工学分野)に関連する専門演習を中心としたセミナーを行い、質疑応答を通じて、発表者の研究内容について深く理解し、学ぶとともに、発表者の研究の進展に役立つことを目的とする。
【授業の到達目標】
本セミナーは、発表者の研究方法と考察の展開が論理的で客観的であるかどうかを検討する場です。研究には問題意識が不可欠ですが、問題意識だけでは研究は成立しません。研究を進める具体的な方法(調査、試験、実験、データ解析、分析など)が必要です。そして、ここが、研究の中心部分であるとともに、各自のオリジナリティ、工夫、個性が最も発揮される場面です。またここに、その研究が科学的(=客観的、論理的)か否かという研究レベルの差が現れるところです。したがって、研究を進めている、または進めようとしている者のセミナーは、これを中心に議論される必要があり、と同時に、参加者が発表者から学べるところです。また、研究成果などの口頭発表術ならびに投稿論文の作成術を習得します。 この授業を履修した学生は、自身の研究方法とこれまでに得られたデータの考察の展開について、 1)問題解決のための調査や試験結果を解析できる能力を身につける。【知識・理解】 2)討論を通じて、事象に対する理解度を深めるとともに、自己を的確に表現することができるようになる。【技能】 3)身につけた研究プロセス能力を自身の研究に表現できるとともに、その内容について論理的に討議することができるようになる。【態度・習慣】
【授業概要(キーワード)】
SDGs(持続可能な開発目標),農地環境工学、資源環境計画学、農村計画学、水質水文学、水田工学、アクティブラーニング
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% D-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は豊かな人間力、食料・生命・環境科学に関わる幅広い知識や深い専門性を身につけ、国際社会や地域社会の課題解決のために創造力を豊かに発揮できる人材の養成を教育理念として行われる。具体的には、安全な農畜産物の持続的生産やそれを担う農業経営、地域の活性化等の研究領域において、より高度な知識を修めるとともに、実践的な能力を養うためのプログラム、森林科学ならびに水土環境科学に関する専門的な演習を主体とするプログラム、等を展開し、地域社会や国際社会における諸問題を解決し、人類社会の進歩と福祉に貢献できる独創的な科学技術開発を担う研究者、技術者や創造的な事業に従事できる人材を養成することを目標とするものであり、以下の農学研究科及び農学専攻のディプロマ・ポリシーとカリキュラム・ポリシーに該当する。 【ディプロマ・ポリシー:】 ① 豊かな人間力 (1)食料・生命・環境科学に強い関心を持ち、主体的・自律的に学習を継続できる。 (2)専門職従事者としての倫理観と責任感を持ち、コンプライアンス遵守の精神を身につけている。 ② 深化した専門的知識・技能と文理兼修による幅広い視野 (1)各自の専門分野における高度な知識や技術を身につけている。 (2)文理を超えた様々な分野の専門的知識を理解し、多様化・複雑化した社会の要請に応じてそれを活用できる能力を有している。 ③ 多様な文化の理解とその共生に向けて行動できる能力 (1)国際社会や地域社会における専門分野に関わる課題を抽出・探求でき、その解決のために研究・開発する行動力を有している。 (2)他分野との共同作業ができ、創造的な事業に従事するための実践的な能力を有している。
【カリキュラム・ポリシー:】 1 教育課程の編成・実施等 (1)高度な専門職従事者としての知識と技能を身につけるため、体系的に構成されたカリキュラムを編成する。 (2)多様で学際的な知識と技能を身につけるため、文理兼修を含む幅広い分野の科目を履修できるカリキュラムを編成する。 2 教育方法 (1)自ら課題を発見し、その解決に向けて探求した成果を表現する能力を身につけさせるため、授業への学生の主体的な参加を促す。 (2)他分野の学生との共同作業や討論会を推進する。 3 教育評価 (1)不断の教育課程の点検・学生からの評価を組織的に行い、到達度を確認できる明確な成績評価基準を策定した上で、その基準にもとづく評価を行う。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
02.飢餓をゼロに 06.安全な水とトイレを世界中に 12.つくる責任つかう責任 13.気候変動に具体的な対策を 15.陸の豊かさも守ろう
【授業計画】
・授業の方法
面接授業と遠隔授業の併用 1)発表者が研究の進捗状況を配付資料に基づいて、口頭発表し、討議する。 2)教員からの一方通行の授業ではなく、学生の質疑応答や討論によって授業を進めていきます。
・日程
この授業は学生の学習状況に合わせて,以下の内容で行います。 第1~7回 研究を進める具体的な方法とデータ解析手法 第8~15回 データ解析結果に対する考察の展開~初歩段階
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
発表者と出席者の双方にとって学ぶことの多い有意義なセミナーを期待します。そのように努力することは発表者の責任です。そのため、発表者は 1)体調を整え、セミナーに臨むこと。 また、その他の参加者は 2)プリント資料の重要部分に線を引くなどして活用する。 3)授業内容をノートなどに筆記して内容の理解に努める。その際、言われたことを鵜呑みにしないで、自分の頭で考える。 4)体調を整え、遅刻をしないこと。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
本授業科目では、以下の課題等を課します。単位制度の実質化のため、授業外における以下の予習・復習等の自主的な学修に取組んでください。 1)準備学修に必要な学修時間の目安は以下のとおりです。 4時間/週 1)配付資料を通読すること。 2)授業内容とそれと関連する論文の箇所について、各自で整理し、自分用のノートを作成すること。 3)図書館やインターネットを活用し、情報を収集し、整理しながら復習し、自分の考えをまとめておく。 4)回を重ねるごとに知識の連携が必要になるので、論文の該当箇所を自分で探し関連づける。 5)わからないことは担当教員に遠慮無く質問すること。
【成績の評価】
・基準
合格の基準:授業終了時に、自身の研究方法とこれまでに得られたデータの考察の展開について、授業の到達目標に示した以下の三つの事項がすべて達成されることを合格の基準にします。 1)問題解決のための調査や試験データを解析できること。 2)討論を通じて、事象に対する理解度を深めるとともに、自己を的確に表現することができること。 3)身につけた研究プロセス能力を自身の研究に表現できるとともに、その内容について論理的に討議することができること。
・方法
『宿題や授業への意欲と発言内容の論理性』(20点)+『作成したレポート(80点)』です。演習内容について毎回レポートを作成(100点満点)し、レポート回数を考慮して、レポートの合計を80点に圧縮し、成績を評価します。やむを得ない事情がある場合を除き、すべての回の演習に出席することが大前提です。病気、忌引など、やむを得ない事情で欠席する場合には、事前に、あるいは事後1週間以内に、担当教員へ知らせて、当教員から指示を受けてください。
【テキスト・参考書】
1)この授業では参考書として『ダニエル・ヒレル:環境土壌物理学、III 環境問題への土壌物理学の応用、農林統計協会、1-322,2001』を使用します。 2)事前のテキストとして個別に指定するものはありませんが、最新情報に関する資料を授業ごとに配布し、授業進度,学生の理解に合わせて、適宜、紹介します。
【その他】
・学生へのメッセージ
1)学習への熱意をもち、自学自習によって論文を理解する姿勢が大切です。 2)知識の量が増えた後でも「知的興奮」が持続できれば、よく勉強したといえるでしょう。 3)理系の学生に特化した授業内容です。
・オフィス・アワー
1)授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を石川雅也研究室(2号館2階2252号室)において、本授業終了後から1時間と木曜日の12:00~13:00の間に設けます。 2)会議や出張などで不在にすることもあるため、確実に面談したい場合は事前にメールなどでの予約をお願いします。メールアドレスなどの連絡先については授業内でお知らせします。
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