【授業の目的】
I. 講義 ・細胞適応、細胞傷害と細胞死、炎症の分類・発症機序、創傷治癒(修復、再生および線維化)、免疫病理(過敏症、アレルギー)、感染症といった炎症性疾患の基礎を理解することを目的とする。 ・腫瘍(発生病因と病理・病態)、血行動態の異常(病因と転帰)、環境と栄養の病理の概略を理解することを目的とする。 ・病理診断・細胞診・病理解剖と病理医の役割について理解することを目的とする。
II. 実習 ・人体から採取した病理組織標本を用いて、疾患の形態を観察する。 ・正常組織と比較することにより、疾患の発症機序および形態所見を理解し、説明できることを目的とする。
【授業の到達目標】
I. 講義:以下の事項について理解し、説明できる。 ①細胞適応、細胞傷害と細胞死の病因と細胞・組織の形態学的変化 ②炎症の定義、分類、組織形態学的変化と経時的変化 ③創傷治癒の基本過程と組織の修復、再生および線維化 ④免疫の基本過程、免疫応答を介した組織傷害および免疫不全 ⑤代表的な自己免疫疾患 ⑥腫瘍の病態、分類や用語 ⑦血行動態の異常 ⑧物理・化学的因子による疾患、代謝障害 ⑨感染症および寄生虫疾患による炎症性変化の過程 ⑩病理診断、細胞診の適切な検体の取扱い、標本作製及び診断過程 ⑪診断に必要な臨床情報の適切な提供法 ⑫術中迅速診断の利点、欠点 ⑬デジタル画像を用いた病理診断(遠隔診断を含む)の利点、欠点 ⑭病理解剖の医療における位置付けと法的事項、手続等 ※発生障害と遺伝性疾患については、「分子病理学」で行なう。
II. 実習 ①実習で使用する顕微鏡と病理標本の使用方法について説明できる。 ②実習で使用する病理標本の染色法の目的を説明できる。 ③実習の目的・スケッチ・付記所見について考察し、適切に発表できる。 ④講義で得た知識を実習の場で確認し、自己研鑽を行う態度を身につける。
【授業概要(キーワード)】
細胞適応、細胞傷害、細胞死、炎症、修復、再生、線維化、免疫病理学、腫瘍、血行動態、環境要因、感染症、病理診断、細胞診、病理解剖
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
臨床における病理診断のもととなる病理学の基礎について学ぶ。 <山形大学医学部医学科教育到達目標(コンピテンシー)> 1. プロフェッショナリズム 2. 医学知識と問題対応能力 6. 医療の質と安全管理 8. 科学的探究 9. 生涯にわたって共に学ぶ姿勢
<医学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)> B-1-5) 生活習慣とリスク, B-1-6) 社会・環境と健康, C-3-1) 生体と微生物, C-3-2) 免疫と生体防御, C-4-2) 細胞傷害・変性と細胞死, C-4-4) 循環障害、臓器不全, C-4-5) 炎症と創傷治癒, E-2 感染症, E-3 腫瘍, F-2-4) 病理診断
【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
【授業計画】
・授業の方法
教科書(ロビンス基礎病理学、下記参照)を基本とし、それに準拠した講義用レジメと関連資料を配布して講義する。
・日程
水・木・金曜日の5-8校時(13:00-16:30)に行う。必要に応じて病理組織標本の観察にデジタルスライドを用いたレポート作成などを行う。 第1回 細胞適応、細胞傷害と細胞死① 第2回 細胞適応、細胞傷害と細胞死② 第3回 炎症① 第4回 炎症② 第5回 炎症③ 第6回 修復、再生と線維化① 第7回 修復、再生と線維化② 第8回 免疫病理学① 第9回 免疫病理学② 第10回 免疫病理学③ 第11回 環境と栄養の病理学 第12回 自己免疫疾患(膠原病) 第13回 循環障害① 第14回 循環障害② 第15回 腫瘍① 第16回 腫瘍② 第17回 腫瘍③ 第18回 癌の転移 第19回 感染症① 第20回 感染症② 第21回 術中迅速診断の利点・欠点、デジタル画像を用いた病理診断(遠隔診断を含む)の利点・欠点 第22回 診断に必要な臨床情報の適切な提供法、病理解剖、病理と臨床、キャリアパス 第23回 病理診断、細胞診の適切な検体の取り扱い、標本作製及び診断過程
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
積極的な姿勢を歓迎します。休憩時間も質問などの時間に使って下さい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
教科書を指定し、資料等も配布しますので、活用して下さい。理解できなかったことは、そのままにしないで、常に質問などによって解決して下さい。
【成績の評価】
・基準
前述の授業の到達目標に記載した各項目の基本的な事項について適切に説明ができるようになることを合格の基準とします。 また、規定の出席回数に満たなかった場合には、筆記試験の受験資格を失います。
・方法
筆記試験の成績で合否を判定します。ただし、病理学総論と病理学総論(分子病理学)の双方の試験の合計 点数を100点満点とし、60点以上を合格とします。どちらかが60%に達しない場合も不合格とします。 再試験は1回のみ行います。
【テキスト・参考書】
[テキスト] 「ロビンス基礎病理学 原書10版」、監修:豊國伸哉他、丸善(2018年) 「ダイナミック病理学 ―365症例からのアプローチ―」(初版)、鈴木・山川・吉野監修、西村書店(2010年)
[参考書] 「カラーアトラス・マクロ病理学」(第3版)、山川・横井・吉野監訳、西村書店(2005年)
【その他】
・学生へのメッセージ
教科書的な内容にとどまらず、最新の情報も提供します。筆記試験への対応には、過去問や資料だけでは不十分です。是非、教科書を活用して下さい。
・オフィス・アワー
随時受け付けていますが、不在の場合がありますので、できるだけアポイントをとって下さい。
<山形大学で教えていること> 病態を制御する分子や細胞を調べ、病態のメカニズムを学ぶ。
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