【授業の目的】
これまでに学んだ「ものづくり」に関する機械工学の知識を活用し、機械装置の設計計算を行い、製作図面を完成させる。具体的には「手巻きウインチ」の設計及び製図を行う。ワイヤロープ、ドラム、歯車、軸・軸受などの各部品の設計計算を行いながら、工業材料、材料力学、機械要素、JIS規格などの知識の利用法を習得する。そして許容応力を基準とした強度設計、操作性や安全性を考慮したバランスのよい人間工学的設計に基づいた製作図面の完成をめざす。
【授業の到達目標】
(1)自分に与えられた課題に対して、これまでに学んだ様々な知識を総合的に用いて設計を行い、それをもとに製図を期限内に行うことができること。 (2)特に基礎製図、工業材料、材料力学、機械工作法などで学んだ知識やJIS規格を自分の設計に適用できること。 (3)図面を読み取ることができ,バランスのとれた使いやすい機械装置を設計できること。
【授業概要(キーワード)】
設計法、製図法と規則、加工法。産業機器/装置。
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
システム創成工学科の学習・教育目標のうち「B.専門分野の基礎力」を養成する科目である。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう 12.つくる責任つかう責任
【授業計画】
・授業の方法
主にテキストに沿った講義と演習(180分×15回)を行う。授業の最初に要点を講義する。その後、各自に与えられた課題に対し、各自で演習(設計と製図)を行う。
・日程
第1回:手巻きウインチの設計概論(強度設計法、基準強さ、安全率、許容応力、標準数、機構の選定) [予習]テキスト第1章を熟読しておく。 [復習]各自の設計仕様、制約条件を再確認しておく。 第2回:ワイヤロープの選定とドラムの設計(引っ張り、せん断、鉄鋼材料) [予習]テキスト第2、3章を熟読しておく。 [復習]ドラムの主要寸法を定め、概略図を描いておく。 第3回:歯車の基本設計(歯車設計) [予習]テキスト第4、5章を熟読しておく。 [復習]歯車の基本諸元を定め、歯車列の概略図を描いておく。 第4回:つめ車の設計(つめ車設計)、設計書の検査1 [予習]テキスト第6章を熟読しておく。 [復習]つめ車の主要寸法を定めておく。 第5回:軸の設計(軸の曲げとねじり) [予習]テキスト第8章を熟読しておく。 [復習]各軸の太さを決めておく。 第6回:軸受の選定、歯車の詳細設計(すべり軸受け、非鉄材料、曲げ、はめあいの種類と等級) [予習]テキスト第9、10章を熟読しておく。 [復習]軸受長さを定めておく。また歯車のリム、リブ、ウェブなどの寸法を検討しておく。 第7回:フレームの設計、設計書の完成、設計書の検査2 [予習]テキスト第11章を熟読しておく。 [復習]控えボルト長さを決定しておく。設計書の検査結果に従い、組立図を描けるように準備しておく。 第8-11回:組立図製図(製図) [予習]設計書に基づき、組立図を描けるように準備しておく。 [復習]遅れている場合は作業を進めておく。 第12-14回:部品図製図(製図) [予習]設計書及び組立図に基づき、部品図を描けるように準備しておく。 [復習]遅れている場合は作業を進めておく。 第15回:図面の完成、図面の検査 [予習]設計書及び図面に不備がないことを確認しておく。 [復習]合格水準に達しない場合は図面を修正しておく。 ※日程は変更になる場合がある。
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
欠席や遅刻をしないで毎週計画的に作業を進め、提出期限内に設計書及び図面を完成させること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
設計書及び図面を提出期限内に完成させるために、予習としてテキストをよく読み、授業中の講義をよく聴いて、設計法や製図法をよく理解しておくこと。引っ張り、曲げ、ねじり、せん断などの外力に対する強度計算の方法について、その都度よく理解しておくこと。 [準備学習に必要な学修時間の目安] ・【学習計画】の各回の[予習]について: テキスト内容の理解または作業内容把握・不明点の明確化(2時間/週) ・【学習計画】の各回の[復習]について: 設計仕様・寸法の再確認および進捗遅れがあった場合の作業進行(2.5時間/週)
【成績の評価】
・基準
各自に与えられた課題に対して最適な設計がなされているか、図面がJISの「製図総則」や「機械製図」に従っているか、尺度・バランス・レイアウトの適切さ、線の使用法と鮮明さ、また提出期限が守られているかなどについてチェックし、総合的に評価する。合計100点とし、60点以上得点できることを合格の基準とする。評価比率として、設計法に関する項目(到達目標(2))40%、製図法と規則、加工法などに関する項目(到達目標(1))40%、設計及び製図全体をバランスよく遂行しているかに関する項目(到達目標(3))20%とする。
・方法
設計書及び図面の結果や提出状況を総合して合計100点とし、60点以上得点できることを合格の基準とする。
【テキスト・参考書】
[テキスト]機械設計研究会編、「手巻きウインチの設計・第3版」、理工学社、2013年、2000円+税。 [参考書]林洋次監修、「機械製図」、実教出版、2000年、1745円。
【その他】
・学生へのメッセージ
欠席や遅刻をしないで毎週計画的に作業を進めること。そうでないと授業時間外の作業も必要になることがある。設計及び製図では、基礎製図、工業材料、材料力学、機械要素、機械工作法などの各科目で学んだ知識が必要になるので復習しておくこと。「基礎製図」のテキストも必要に応じて持参すること。
・オフィス・アワー
特に時間は設けないが、必要がある場合は直接担当教員の研究室をたずねること。
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