この授業では、文化人類学概論で学んだ学説史をベースとして、さらに原著の一部（数ページの短いもの）を読むことで、1990年代までの古典的な人類学における様々な理論的潮流に対する理解を深めることを目的とします。

この授業を履修した学生は、
① 1990年代までの古典的な人類学における様々な理論的潮流を時系列で理解できる。【知識・理解】
② 日本とは異なる社会をみていくことで、異⽂化（あるいはそれを通じて⾃⼰）を理解する視点や⼿がかりを獲得することができる。【知識・理解】
③ 授業をとおしてえられた知識をもとに、⾃分の考えを説明・論述できる。【技能】

進化論人類学、社会学、歴史的個別主義、機能主義、文化とパーソナリティ、文化生態学・新進化論、生態学的唯物論、構造主義、民族科学・認知人類学、社会生物学、人類学とジェンダー、象徴・解釈人類学、ポスト＝モダニズム

A-1．ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。：26～50％
B-1．学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。：1～25％
C-1．自分の意見をまとめて発表する機会がある。：51～75％

人間と文化について地域や分野を横断する視点から幅広い教養を身に付け、人文学の専門知の体系的な修得に必要な基礎を獲得することを目的に編成された科目である（社会科学部人間文化コースのカリキュラム・ポリシー）。

04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
10.人や国の不平等をなくそう
16.平和と公正をすべての人に

・課題文献（英語もしくは英訳）を精読し、その内容をまとめてプレゼンテーション装置を使って口頭発表を行う。発表者以外の聴講者は発表内容を要約・提出する。
・一方通行の口頭発表ではなく、質疑応答によって進めていく。

以下の文献を時系列で扱う：

19世紀の進化論人類学（Nineteenth-Century Evolutionism）
・ハーバート・スペンサー『Social Organism』
・エドワード・B・タイラー『The Science of Culture』
・ルイス・ヘンリー・モーガン『Ethnical Periods』

社会学的思考の基礎（The Foundations of Sociological Thought）
・エミール・デュルケーム『What Is a Social Fact?』
・マルセル・モース『The Gift』からの抜粋

歴史的個別主義（Historical Particularism）
・フランツ・ボアズ『The Mind of Primitive Man』 『The Methods of Ethnology』
・アルフレッド・クローバー『On the Principle of order in Civilization as Exemplified by Changes off Fashion』
・ポール・ラディン『Right and Wrong』

機能主義（Functionalism）
・ブロニスワフ・マリノフスキー『The Essentials of the Kula』
・A・R・ラドクリフ＝ブラウン『The Mother’s Brother in South Africa』
・E・E・エヴァンス＝プリチャード『The Nuer of the Southern Sudan』

文化とパーソナリティ（Culture and Personality）
・ルース・ベネディクト『文化の型』『Psychological Types in the Cultures of the Southwest』
・マーガレット・ミード『Introduction to Sex and Temperament in Three Primitive Societies』

文化生態学・新進化論（Cultural Ecology / Neo-evolutionary Thought）
・ジュリアン・スチュワード『The Patrilineal Band』
・レスリー・ホワイト『Energy and the Evolution of Culture』
・ジョージ・マードック『Family Stability in Non-European Cultures』

生態学的唯物論（Ecological Materialism）
・モートン・フリード『On the Evolution of Social Stratification and the Sate』
・マーヴィン・ハリス『The Cultural Ecology of India’s Sacred Cattle』
・ロイ・ラパポート『Ritual Regulation of Environmental Relations Among a New Guinea People』

構造主義（Structuralism）
・クロード・レヴィ=ストロース『Structural Analysis in Linguistics and Anthropology』『Four Winnebago Myths: A Structural Sketch』
・エドマンド・リーチ『Genesis as Myth』

民族科学・認知人類学（Ethnoscience and Cognitive Anthropology）
・ハロルド・コンクリン『Hanunóo Color Categories』
・ステファン・タイラー『Introduction to Cognitive Anthropology』

社会生物学（Sociobiology）
・エドワード・O・ウィルソン『The Morality of the Gene』
・ジェローム・ H・バーコウ『The Elastic Between Genes and Culture』

人類学とジェンダー（Anthropology and Gender）
・サリー・スロカム『Woman and the Gatherer: Male Bias in Anthropology』
・シェリー・B・オートナー『Is Female to Male as Nature Is to Culture?』

象徴・解釈人類学（Symbolic and Interpretive Anthropology）
・メアリー・ダグラス『External Boundaries』
・ヴィクター・ターナー『Symbols in Ndembu Ritual』
・クリフォード・ギアーツ『Deep Play: Notes on the Balinese Cockfight』

ポスト＝モダニズム（Post-Modernism）
・レナト・ロサルド『Grief and a Headhunter’s Rage』
・ヴィンセント・クラパンサーノ『Hermes’ Dilemma: The Masking of Subversion in Ethnographic Description』

※ 履修者の数や内容の理解度に応じて、扱う文献数を調整する。

・受講者は積極的に授業に参加する。
・発表者は課題文献を精読し、その内容をまとめてレジュメやスライドを使って口頭発表を行う。
・聴講者は漠然と発表を聞くのではなく、質疑応答や議論に積極的に参加し、発表内容を要約・提出する。

課題文献だけでなく、参考書の対応する章を読むとより理解が深まるでしょう。また、授業前の予習だけでなく、復習をすることで、理解・記憶が定着するでしょう。

口頭発表や発表後の質疑応答・議論、発表内容の要約によって、①参加の度合い、②知識の修得・理解の度合い、③論理的思考力、文章表現力のそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。

口頭発表（50%）と発表内容の要約（50%）に対する評価点の合計をもって評点とする。

・テキスト：R. Jon McGee・Richard L. Warms編『Anthropological Theory: An Introductory History』Mayfield Publishing Company
・参考書：竹沢尚一郎著『人類学的思考の歴史』世界思想社

・課題文献の言語はすべて英語です。英語で学術論文が読めることが前提になっていますので、十分に注意してください。
・休講および補講を行う可能性がありますので、WebClassでのお知らせに注意してください。

・水曜日11:00～12:30（人文社会科学部2号館4階 松本剛研究室）
・連絡先：gocito@human.kj.yamagata-u.ac.jp
・事前に電子メールでアポイントメントをとること。