ヨーロッパ史演習
 Seminar on European History
 担当教員:山﨑 彰(YAMAZAKI Akira)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
ヨーロッパ中世史研究の古典として現在でも広く読まれているオーギュスタン・フリシュ『叙任権闘争』(ちくま学芸文庫)を検討する。ヨーロッパ文明はカロリング朝フランク帝国によって形成されたが、その後のヨーロッパ社会の基本的な性格と発展方向は、11世紀から12世紀にかけて起こった「叙任権闘争」によって決定づけられた。一方でローマ教皇、他方で神聖ローマ皇帝、フランス国王、イングランド国王の動向を詳しく追い、ウォルムスの協約にまで至る聖俗両勢力の間の交渉過程が検討されている。両者の間の議論と帰結の意義について、検討することを目標としている。

【授業の到達目標】
中世ヨーロッパ史研究について関心を持ち、テーマ設定や研究方法を習得し、特定のテーマについて調べ、これを調査報告にまとめることができるようになる。

【授業概要(キーワード)】
古代世界の終焉 中世ヨーロッパ、フランク帝国、ヨーロッパ精神

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:26~50%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:26~50%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:51~75%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:51~75%

【科目の位置付け】
ヨーロッパ史の専門研究のために、日本語文献講読能力を身につけるための授業である。 

【授業計画】
・授業の方法
 基本的にはテキストの輪読となるが、他に各自の関心のあるテーマ(西洋史の範囲で自由に選ぶ)について読書感想を報告する。
・日程
毎回、フリシュ『叙任権闘争』を章ごとに輪読するとともに、テキスト各章の関連文献も検討する。また出席者の歴史学に関する読書体験を、順番に報告してもらう。
1回目 ガイダンス           2回目 中世ヨーロッパの概観
3回目 第1章・教会法的伝統       4回目 第2章・教会の反撃
5回目 第3章・グレゴリウスの法規    6回目 第4章・世俗諸君主の反撃
7回目 第5章・グレゴリウス7世     8回目 第6章・ウルバスヌス2世
9回目 第7章・12世紀のイギリスとフランス 10回目 第8章・ドイツの叙任権闘争
11回目第9章・ウォルムスの協約     12回目 第10章・教会の解放
13~15回目 研究報告

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
 前・後期を通じて出席することが望ましいが、4年生は前期だけでもよい。他人の議論によく耳を傾けるとともに、積極的に自分の意見を述べる。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 各自丹念にテキストを読むとともに(最低2回)、報告者は充実したレジュメ(質量とも)を作成する。また演習中紹介された書物を積極的に読む。毎回3時間程度の予習が必要になります。

【成績の評価】
・基準
担当部分の報告とレポートにおいては、「知識の修得」、「理解の度合い」、「汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)」、討論においては「理解の度合い」と「参加の度合い」を基準に、成績を評価する。
 
・方法
 担当報告(40点)、レポート(30点)、討論の内容(30点)。3分の2以上の出席が必要。レポートはヨーロッパ中世史に関する自習の成果をまとめてもらう。


【テキスト・参考書】
テキスト:フリシュ著『叙任権闘争』ちくま学芸文庫
参考書:堀米庸三『中世の光と影』上・下(講談社学術文庫)


【その他】
・学生へのメッセージ
ヨーロッパ社会の基本は中世に作り出されます。しかし古代世界と中世ヨーロッパはどのように違うのでしょうか。また中世はどのように近代へとつながるのか、キリスト教会について学ぶことはヨーロッパ理解にどのような意味を持つのか、考えてほしい。
・オフィス・アワー
火曜日 10時30分~12時10分 山崎研究室。研究その他、気になることがあれば気軽にお訪ねください。


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