フランス文化演習
 Seminar in French culture
 担当教員:寺本 弘子(TERAMOTO Hiroko)
 担当教員の所属:人文社会科学部非常勤講師
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
テーマはグローバル世界から見る「ヨーロッパの中の/ヨーロッパとしてのフランス」。地理的に欧州大陸に位置するフランスは、欧州連合(EU)の主要加盟国の1つでもあります。この演習ではそのような「欧州」に属するフランスの今日に至るまでの流れと、現在置かれている状況について考察していきます。
(1)フランスがいかに周辺欧州諸勢力との交流または衝突の中で、文化的な自己形成をなしていったのか。(2)二度の世界大戦後、地域圏諸国との平和・協調のもとでの発展をめざすべく創設されたEUを主導するフランスが、いかに自らの国家主権と、地域共同体の一員として期待されている役割とを折り合わせようとしているか。(3)自国の建国理念である「社会的・世俗的な共和国」と、EUが要請する「多文化共生」の理念のはざまでフランスがいかに葛藤しているのか、そしてこれからいかなる進路を模索しているか。
ドイツ語や英語を専攻する学生は英国、ドイツとフランスとの関係性や、ブレグジット(英国のEU離脱)について、アメリカ・アジア研究の学生にもそれぞれの切り口で調査し、発表してもらうことができます。

【授業の到達目標】
学生はこの演習への参加を通じて、
1.フランスと他ヨーロッパ諸地域・諸国との関係史および、EU発足後のフランスの地域共同体の中での立ち位置や、EU圏外の諸国との関係について、基礎的な知識を得ることができる
2.学生自身が主体的に問題設定を行って、分担して発表を組織でき、さらに集団的な討議を通して、プレゼンテーションの質を高めることができる

【授業概要(キーワード)】
グローバルスタディーズ入門、多文化共生、文化の雑種性、EU、フランス古代史・中世史、キリスト教の国教化、中世宮廷文化、ルネッサンス、啓蒙思想、ライシテ

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:51~75%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:51~75%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:51~75%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:51~75%
B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:51~75%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:51~75%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:51~75%
B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:51~75%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:51~75%

【科目の位置付け】
この授業は、欧米圏の社会や歴史について、グローバル文化学の観点から論理的に分析し、解決策を探る力を身につけるために編成されている科目である。

【授業計画】
・授業の方法
まず、最初の数回で教員による演習のテーマについての説明、発表のデモンストレーションを行います。その後、受講生と教員の合議のもとに選んだ具体的なトピックに関して、担当グループが毎回発表します。その発表を聞く受講生の全員が各自で意見表にコメントを書きます。それを用いた個別の質疑応答を経て、全体での討論を行います。各発表と討論会の司会進行は学生が担当します。
・日程
現時点で予定している授業内容は以下の通りです。
第1回  オリエンテーション、教員による演習のテーマの説明
第2回~第4回 問題設定の仕方、発表の仕方について、発表順の決定、参考文献の抜粋の講読、教員による発表のデモンストレーション
第5回~第14回 学生による発表と討論
第15回総括(これまでの発表で出た議論のまとめと授業全体のまとめ)
※履修者数が少ない場合、関連映像の上映や、関連資料を配布してそれについて討論を行う予定もあります。
※上記日程からの変更や、入れ替えを行う場合があります

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
最初の4回を必ず受講して説明を聞いたうえで、発表を行ってもらいます。
ひとりひとりの受講生が調査や発表を通じて、多様な視点から事象を検討し、討論に参加することが求められます。
発表は調査した事実の単なる提示ではなく、各発表グループで設定した「問題」への自分たちなりの解答となっていることが望ましいです。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
参考文献に挙げた論文・著作を読んで、自分なりの問題意識を作れるようにすること。発表がうまく行くように平素からグループ内のメンバー同士で打ち合わせをしながら準備して下さい。

【成績の評価】
・基準
「フランスとヨーロッパ」というテーマに基づいて適切な問題設定を行い、グループで発表を組織できること、また発表者以外の受講生は討議に参加して、自分の考えを適切に述べられること、発表を深める形で期末レポートを執筆できることを合格の基準とします。
・方法
授業参加(出席点、発表への貢献と発表それ自体、授業内での討論、)50点、期末レポート(知識の習得の度合い、理解の度合い、論理的思考力、文章表現力を見ます)50点。

【テキスト・参考書】
① 羽場久浘子、 谷川稔『歴史としてのヨーロッパ・アイデンティティ』(山川出版社、2003年)[テクスト]
② 平野千果子編、『新しく学ぶフランス史』(ミネルヴァ書房、2019年)[参考書]
③ 小田中直樹『フランス現代史』(岩波新書、2019年)[参考書]
④ 伊達聖伸『ライシテから読む現代フランス』(岩波新書、2018年)[参考書]
なお①③④は大学附属図書館所蔵です。これらのテクスト・参考書は授業外に各自で閲読しておいてください。授業に最低限必要な箇所のコピーなどは演習時に配布します。

【その他】
・学生へのメッセージ
本演習を履修するうえで、フランス語の知識は必要ありません。
本演習はフランス事情だけを学ぶものではありません。EU圏に加えて、アメリカ、アジアのことを学んでいる学生さんもぜひ履修して頂ければと思います。
・オフィス・アワー
授業に関する受講生からのご質問は各回の授業の終了後または開始前に受け付けます。

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