街の記憶をアーカイブする(共生を考える)
 Archiving the Memory of the City (Living with Diversity)
 担当教員:小幡 圭祐(OBATA Keisuke)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):アーカイブ(東北大学学術資源研究公開センター史料館)での勤務経験がある教員が、その実務経験を生かしてアーカイブの収集・保存・活用に関する知見を講義する。
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
皆さんが日々の生活を営む街の様子や、街に住む人々が日々頭の中で考えていることは、何もしなければ、時間の経過によって変化したり跡形もなくなってしまいます。そのような記憶は、過去の経験を踏まえて現代社会の課題の解決策を提示するため、ひいては未来の社会の青写真を描くために必要不可欠なものです。本授業は、今にも消え失せようとしている街の記憶をなぜアーカイブする(=未来のために永続的に保存する)のかを考え、またどのように活用できるのかを実践することを通じて、過去の記憶を現在や未来の共生に生かすための構えを養うこと目的とします。

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、
1)アーカイブの意味、過去の記憶が共生に果たす役割について述べることができる。【知識・理解】
2)街の過去の記憶を後世にアーカイブし活用する具体策を、他者との協力により実践することができる。【技能】

【授業概要(キーワード)】
街の記憶,アーカイブ,デジタルアーカイブ,オーラルヒストリー,山形七日町商店街

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:26~50%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:26~50%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:26~50%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:51~75%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:51~75%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:51~75%

【科目の位置付け】
この授業は、過去の記憶が現代・未来の共生に果たす役割を考え実践することを通じて、自然と人間の共生、人と人の共生、社会と個人の共生という視点から、現代社会を共に生きるために必要となる多様なものの見方を学ぶ、基盤共通教育科目(基幹科目)です(基盤共通教育の基本方針)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
11.住み続けられるまちづくりを
17.パートナーシップで目標を達成しよう

【授業計画】
・授業の方法
第1回の授業は担当教員によるガイダンス・解説を行います(オンデマンド形式によるオンライン授業)。
第2回~第5回は、アーカイブの定義と、過去の記憶がどのように残されてきたのかを、山形大学の位置する山形市街を事例として講義します。
第6回~第10回は、街の記憶をアーカイブする意味や方法についてグループで議論し、実際に行う計画を立案・発表します。
第11回~第12回は、立案した計画を山形市街(山形七日町)で実践します。
第13回~第15回は、実践によって集めた記憶をグループで一つの作品としてまとめ、成果を発表します。
・日程
第1回 ガイダンス / 第2回 アーカイブとは? / 第3回 街の記憶の残り方① 三島通庸 / 第4回 街の記憶の残り方② 山形大火 / 第5回 街の記憶の残り方③ 高度成長 / 第6回 街の記憶をアーカイブする意味?(討論) / 第7回 街の記憶をアーカイブするプロジェクト / 第8回 街の記憶をアーカイブする①(計画立案) / 第9回 街の記憶をアーカイブする②(計画立案) / 第10回 街の記憶をアーカイブする③(計画発表) / 第11回~第12回 街の記憶をアーカイブする④(計画実践) / 第13回 アーカイブした記憶を活かす①(成果準備) / 第14回 アーカイブした記憶を活かす②(成果準備) / 第15回 アーカイブした記憶を活かす③(成果発表)
※第11回~第12回は土日に山形市街で実施します(いずれか1日の参加で授業2回分)。今のところ、7月2日(土)か3日(日)を予定しています。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
第5回までの授業は講義が中心ですので、記憶を残す意味を自分自身で考えながら聴講しましょう。
第6回以降の授業はグループに分かれての作業が中心となりますので、積極的に自分の意見を述べたり、協力して作業を実践するようにしましょう。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
単位制度の実質化のため、以下の点に留意して授業外における予習・復習等の自主的な学修に取り組んでください。
1)準備学修に必要な学修時間の目安は 4.5時間/週 です。
※大学設置基準で、1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することが標準と定められています。
2)授業時間外に下準備を行うことで、計画の立案や成果の準備を効率的に行うことができます。
3)下準備にあたっては、参考書のほか、小白川図書館や山形大学附属博物館のリソースを積極的に活用しましょう。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した2つの目標に対応し、下記の2つの条件を満たすことを合格の基準とします。
1)アーカイブの意味、過去の記憶が共生に果たす役割について説明できる。
2)街の過去の記憶を後世にアーカイブし活用する具体策を、他者との協力により実践することができる。
・方法
授業参加(30点)=第1回~第5回の授業終了後にコメントの提出を求め、その内容から授業への参加姿勢を評価します。何もコメントをしなかったり(「特になし」も含む)、内容が当日の授業を踏まえたものでなかった場合は点数を与えません。
グループ作業(70点)=第6回~第15回の討論や計画の立案・実施、成果準備・発表を総合的に評価し、基本的にグループ単位で評点を行います(極端に欠席が多い、非協力的な態度をみせるなどの場合は個人単位で減点します)。

【テキスト・参考書】
テキスト:特定のテキストは指定しません。各回の授業でレジュメを配付します。
参考書:柳与志夫『入門デジタルアーカイブ ―まなぶ・つくる・つかう―』(勉誠出版、2017年)
後藤嘉一編『ふるさとの想い出写真集 明治大正昭和 山形』(国書刊行会、1979年)

【その他】
・学生へのメッセージ
授業で皆さんに作っていただいた作品は、夏季休業中に山形市街で展示会を行い、山形の市民の皆さんに見ていただく予定です。それにあわせて講演会なども行う予定ですので、そちらにも奮ってご参加ください。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を小幡研究室(人文社会科学部1号館4階)において、月曜日の11:30~13:30に設けます。
※上記時間外においても相談を受け付けますが、その場合は事前に連絡してください。連絡先は初回授業時にお知らせします。

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