材料強度学特論
 Strength and Fracture of Materials
 担当教員:栗山 卓(KURIYAMA Takashi)
 担当教員の所属:有機材料システム研究科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):国際標準化機構(ISO)ISOTC61 -Plastic SC2 Mechanical properties /WG8 Conniver, SC14Environmental aspects WG4 Characterization of plastics leaked into the environment (including micro-plastics) and quality control criteria of respective methods 及びISOTC138-Plastic pipes and fittingsの委員及び規格開発責任者等,1999年から活動(兼業)している.
 開講学年:1年,2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
材料強度学の基礎について学ぶ.
現在,人類の福祉と安全のため,社会基盤に用いられる製品群の多くは,国際標準化機構(ISO)内の各技術委員会(TC)で,各国の専門家により開発審議し,ISO規格が発行される.当然ではあるが,この製品規格取得には,関連する基礎分野を充分理解しておくことが求められる.この授業では,このような観点から,材料強度及び寿命に関する専門基礎を身につけ,まずは,世界標準規格の技術的な内容が理解できるようになることを目的とする.

【授業の到達目標】
1)固体力学(弾性学と塑性学)の基礎を身につける.
2)線形及び非線形破壊力学の基礎を身につける.
3)速度過程論の基礎を身につける.
4)固体力学及び破壊力学と材料試験との関係を理解する.
5)上記1)から4)を基礎にした製品規格の内容を材料強度の視点から理解する.

【授業概要(キーワード)】
強度、降伏、塑性変形、破壊、時間依存および繰り返し依存性寿命

【科目の位置付け】
無機・有機・金属の各材料に共通した強度と破壊を扱う材料物性の範疇に属する.

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
06.安全な水とトイレを世界中に
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任

【授業計画】
・授業の方法
講義はパワーポイントを利用する.各単元の理解度を測るため,演習問題をレポートとして与える.
・日程
1. 固体力学入門(応力とひずみ,応力テンソル)
2. 基礎弾性力学(弾性率,ポアソン比,適合条件,線形弾性体,歪みエネルギ,)
3. 基礎塑性力学 (力学構成式、降伏条件,トレスカ,ミーゼス)
4. 材料試験(静的力学試験,引張,曲げ,その他の試験)
5. 材料強度の持つ統計的性質(力学物性値のバラツキ,構造敏感性,き裂型欠陥)
6. 破壊モデル(理想強度,Griffithモデル)
7. 線形破壊力学(ぜい性破壊,エネルギ開放率G,線形破壊じん性試験)
8. 非線形破壊力学(延性破壊,J積分,非線形破壊じん性試験)
9. 高分子材料の強靱性発現(ぜい性クレイズとせん断降伏変形)
10. 材料の強度・寿命への速度過程論の適用
11. クリ?プ破壊(クリープ曲線,クリープ寿命曲線,低速き裂成長)
12. 環境との相互作用(耐薬品性,環境低速き裂成長)
13. 疲労破壊(S-N曲線,疲労き裂成長,疲労-クリープ相互作用)
14. 材料強度と寿命評価(耐候性と促進試験)
15. 材料強度を基礎にした製品設計事例(ガス用ポリエチレンパイプ)

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
固体力学(弾性学、数理塑性力学)の基礎を習得していることが望ましい。加えて確率統計学および物理化学(とくに熱力学、速度過程論)の基礎を習得していることも授業の理解を助ける。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
固体力学(弾性学、数理塑性力学)、確率統計学、物理化学(とくに熱力学、速度過程論)をよく勉強しておくこと

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標の1),2),及び3)は,製品の強度設計に関して必ず理解していなければならない基礎知識となる.4)は,製品規格の性能値を定める手段となり,上記1)―3)を100%理解していなければ,その原理を理解できなくなり試験規格を活用することができなくなる.5)は,製品規格の技術内容を理解するために必要不可欠になり,レポート課題として与えられ,成績評価の対象になる.この課題で80%以上の理解が認められれば,1),2),及び3)は,到達度100%の理解があったものと見なされる.以下に達成要求基準を示した.
1)固体力学(弾性学と塑性学)の基礎を身につける. (到達度100%)
2)線形及び非線形破壊力学の基礎を身につける.(到達度100%)
3)速度過程論の基礎を身につける.(到達度100%)
4)固体力学及び破壊力学と材料試験との関係を理解する.(到達度80%)
5)社会インフラを支える(ISO規格)の性能規定値の意味を理解する.(到達度80%)
・方法
各単元の理解度を測るため,演習問題5回をレポートと,最終課題のレポートが求められる.演習課題レポートは各4点,最終レポートは80点,それぞれとして,総計100満点のうち,60点以上で合格とする.

【テキスト・参考書】
横堀武夫 材料強度学 技報堂出版 1957
横堀武夫 材料強度学 岩波全書 1974
成澤郁夫 高分子材料強度学 オーム社1981
岡村弘之ら材料科学2 培風館1980

【その他】
・学生へのメッセージ
材料力学特論56801および固体力学特論56807を併せて受講することが望ましい.
・オフィス・アワー
毎週月曜10:30~12;00、質問がある場合は、授業終了後に問い合わせてください。

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