【授業の目的】
近年の作物育種法は、イネやダイズなどに代表される作物のゲノム塩基配列の解読に伴い、それら情報を最大限に活用した分子レベルでの解析が主流となりつつある。作物の育種を行う上で、農業上有用な自然変異あるいは突然変異を順・逆、両方向の遺伝学的アプローチにより探索し、有用形質に関わる遺伝子を特定する方法論について、最新の研究論文を題材にあげ解説する。また、近年急速に進歩する育種法について、逆遺伝学的アプローチ法、次世代シークエンサーを用いた塩基配列情報のカスタマイズとその利用、染色体ハプロタイプ選抜による次世代育種法について概説する。
【授業の到達目標】
(1)作物のゲノム塩基配列を基にした最新の分子遺伝学的手法を中心に、農業上有用な遺伝子の特定とその育種利用について説明できる【知識・理解】。 (2)分子レベルの解析による作物育種学分野の研究論文を理解できるようになるとともに、自身の修士論文研究に応用できるようにする【知識・理解】。
【授業概要(キーワード)】
遺伝子、QTL、マップベースクローニング、順・逆遺伝学的手法、DNAマーカーの利用、次世代育種法、アクティブラーニング
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
本講義は、生物生産に関わる高度な専門知識と課題探求能力を備えるためのものである(農学研究科カリキュラム・ポリシー)。急速に進歩している作物育種学分野の研究手法・研究成果例について、最新の研究学問と位置付ける。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
02.飢餓をゼロに 13.気候変動に具体的な対策を 15.陸の豊かさも守ろう
【授業計画】
・授業の方法
面接授業を原則とするが状況に合わせてリアルタイム遠隔授業を併用する。最新の研究論本の解説を中心にした講義を集中講義にて行う。 講義の最後には、紹介した分子的アプローチについて、自身の修士論文への応用法を検討し、各自発表を行う(アクティブラーニング)。
・日程
1:植物分子育種学分野における最新のトピックス紹介 2:ゲノム情報とは(イネ・ダイズの例) 3:順遺伝学的アプローチ①方法論の解説 4:順遺伝学的アプローチ②研究成果の紹介 5:逆遺伝学的アプローチ①方法論の解説 6:逆遺伝学的アプローチ②研究成果の紹介 7:遺伝学的アプローチのまとめ 8:DNAマーカーの育種への応用①方法論の解説 9:DNAマーカーの育種への応用①研究成果の紹介 10:次世代育種法①方法論の解説 11:次世代育種法②研究成果の紹介 12:自身の修士論文の発表(またはレポート) 13:自身の修士論文における応用法の検討①遺伝学的アプローチ 14:自身の修士論文における応用法の検討②分子生物学的アプローチ 15:発表(またはレポート)、まとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
近年、急速に発展している研究分野であるので、植物育種学・植物生理学・分子生物学・生化学の基礎的な項目を復習してから受講することが望ましい。また、授業の各項目について、参考書等で自ら積極的に調べ、分からない点は質問すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
配布する講義資料を基にして、関連する論文を読み理解できるようにする。さらに、講義中で紹介する研究例を基にして、自身の修士論文に応用が可能かどうか、検討できるようにする。 予習に必要な学修時間の目安は2時間/週です。次回の講義内容に関する項目について、参考書等を読んできてください。 復習に必要な学修時間の目安は2時間/週です。課題の提出を求める・求めないに関わらず、講義内容に関わる小レポートを配布資料や参考書等を利用してA4 1ページ程度にまとめてください。
【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した作物育種学の基礎的な事項について、適切に説明できることを合格の基準とします。具体的には、分子レベルでの研究アプローチによる作物育種学分野の学術論文ついて、講義をとおして得られた知識に基づいて主体的に考察し、論述できることを合格の基準とする。
・方法
平常点(15点)と、期末試験あるいはレポート(85点)の成績により、講義内容の理解度を評価する。
【テキスト・参考書】
事前のテキスト・参考書として個別に指定するものはありませんが、必要な資料やプリントを授業ごとに配布し、授業進度や学生の理解に合わせて、適宜、参考書等を指定します。
【その他】
・学生へのメッセージ
急速に進歩している分子レベルの技術を用いた作物の品種改良という応用分野の研究に興味がある方は、受講してください。
・オフィス・アワー
第1回の講義中に連絡をする。
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