【授業の目的】
量子力学はミクロの世界の物理法則を記述する。そのため,直観的なマクロな世界の物 理法則とは異なり,数学的・抽象的な理論構成となっている。このような量子力学の理 論的枠組の理解を目指し,あわせて基本方程式であるシュレーディンガー方程式の取扱 に習熟することを目的とする。
【授業の到達目標】
1)不確定性関係等のミクロの世界を支配する原理や法則を説明できる。【知識・理解】 2)量子力学的状態や物理量について波動関数を用いて記述することができる。【知識・理解】 3)量子力学を学ぶ上で必要となる力学や数学の運用ができる。【技能】
【授業概要(キーワード)】
干渉的選択肢、経路積分、確率振幅、シュレディンガー方程式、波束
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
理学分野の先端的な研究内容を理解し、説明できる能力を身に付けるための科目。さらに、専門的な素養を基盤に科学的思考方法に従って社会が要請する課題を解決する能力を身に付けるための科目。(理学部理学科ディプロマ・ポリシー参照)
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
毎回レポートを出し量子力学を理解するとともに数学の力を向上させます。経路積分に関しては詳細な説明を行い、シュレディンガー方程式の導出までおこなう。後半には不確定性原理について解説し、電子回折の実験を再考する。
・日程
1.電子回折実験と干渉的選択肢 2.経路積分の概念 3.古典極限とラグランジュ方程式 4.確率振幅と核(カーネル) 5.自由粒子の核の計算 6.核の性質 7.核と波動関数の関係 8.経路積分から微分方程式へ 9.シュレディンガー方程式の導出 10-11.不確定性原理と電子回折実験再考 12.シュレディンガー方程式の一般的解法 13.エルミート演算子 14.固有状態の直交性と完全性 15.踏み段型ポテンシャルによる反射と透過
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
焦点を絞ってかなり詳しい説明を行いますので、しっかり板書を写して理解してください。数学について復習しますので計算力を高めてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1)準備学修に必要な学修時間の目安は2時間/週です。 2)復習はとても大切です。必ず式は自分で計算し、不明な点は質問すること。 3)レポートを課す時があります。
【成績の評価】
・基準
○量子力学の基本概念である干渉効果について、不確定性原理と絡めてしっかり理解する。 ○波動関数の概念を理解する。 ○波動関数に成り立つ一般的な性質を理解する。 ○簡単な一体問題を解くことができる。
これらができれば合格です。
・方法
レポート(20~30%)と試験(70~80%)で評価します。試験は講義の内容に基づいて行い、事前に解説もします。欠席が5回を超える場合は0点とする。成績評価について詳しくは授業で説明します。
【テキスト・参考書】
教科書の指定はありませんが、参考書としては R.P.ファインマン、A.R.ヒッブス,ファインマン経路積分と量子力学,(マグロウヒル)をお勧めします。
【その他】
・学生へのメッセージ
量子力学は現代科学の花形です。最新のテクノロジーの多くが量子力学の原理に従って動いています。ぜひマスターしてください。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は火曜日の12時~13時C309号室です。ただしそれ以外の日時でも質問には対応しますので遠慮なく聞きに来てください。
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