【授業の目的】
目に見える物質は、アボガドロ数程度の粒子によって構成されているが、これらの数の粒?を厳密に取り扱うことは(現時点では)不可能である。一方、取り扱う粒子の数が大きいということは、統計的集団としては理想的で、相対誤差は限りなくゼロに近づく。本講義ではこうした統計的な扱いを習得し、多粒子系について成り立つ普遍的な法則を理解することが目的である。 表現を変えるなら、ミクロな運動理論を考慮せず、データサイエンスに基づいて現象を説明していく理論を学ぶことになります。
【授業の到達目標】
多粒子系の統計的な取り扱いができるようになる。具体的には 1) 酔歩を例に大きな数Nに対する確率分布を理解する。【知識・理解】 2) 多粒子系に応用できる。【知識・理解】 3) 巨視的な系の間の相互作用とエネルギーの保存について理解できる。【知識・理解】 4) 統計力学と熱力学の関係について理解できる。【知識・理解】 5) 温度の概念について理解できる。【知識・理解】
【授業概要(キーワード)】
確率、統計、平衡、温度、エントロピー
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
理学分野の先端的な研究内容を理解し、説明できる能力を身に付けるための科目。さらに、専門的な素養を基盤に科学的思考方法に従って社会が要請する課題を解決する能力を身に付けるための科目。(理学部理学科ディプロマ・ポリシー参照)
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
確率統計を用いた微視的理論から出発し熱力学の法則を導く。パワーポイントを用いた講義形式。数学の詳細については適宜板書する。レポートを出す。
・日程
1回~3回.統計的方法への入門・酔歩の問題と二項分布・酔歩の問題の一般的考察 4回~8回.粒子系の統計的記述 ・力学の問題の統計的定式化・巨視的な系の間の相互作用 9回~10回.統計熱力学 ・非可逆性と平衡の達成・巨視的な系の間の熱的相互作用・巨視的な系の間の一般的な相互作用 11回.巨視的パラメーターとその測定 ・仕事と内部エネルギー・熱・絶対温度・熱容量と比熱・エントロピー・示量変数と示強変数 12回.巨視的熱力学の簡単な応用 ・理想気体の性質・均一な物質に対する一般式・自由膨張と細孔通過の過程・熱機関と冷却機関 13回~14回.統計力学の基本的方法とその諸結果 15. 試験とまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
理解できない時は積極的に質問する。講義ノートをしっかり作る。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1)準備学修に必要な学修時間の目安は2時間/週です。 2)復習をすること。 3)不明な点は、まずは自力で、次に友人先輩と、そして教員と議論すること。 4)この講義はライフの教科書に基づいていますので、予習をしてくると理解が深まります。
【成績の評価】
・基準
多粒子系の統計的扱いと熱力学の基本を理解すること。具体的には ○統計の概念を理解する。○多粒子系に統計を適用する意味を理解する。○巨視的な系に統計を適用した結果について、きちんと導出できるようにする。 これらを理解できれば合格です。
・方法
試験での理解度評価を70点、レポートによる評価を30点。試験は、講義の内容に基づいて行い、事前に解説もします。欠席が5回を超える場合は0点とする。
【テキスト・参考書】
この講義はライフの統計熱力学の基礎に基づいて行われます。ただし講義は板書や配布資料で理解できるようにしています。
【その他】
・学生へのメッセージ
難解な数学は一切出てきません。そのかわり頭の柔軟性と理解力を問われます。物理的な直観を鍛えて行きましょう。 統計力学はデータサイエンスの基本でもあります。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は火曜日の12時~13時C309号室です。ただしそれ以外の日時でも質問には対応しますので遠慮なく聞きに来てください。
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